早稲田大学 先進理工学部
「パターン認識」2010年度前半部分
担当:
赤穂
昭太郎
参考URL
講義概要
人間は、学習を通して、現実世界の多様で膨大な情報を類型的なパターンと
して概念に対応付け、それらの関係を知識として蓄積することで、さまざまな
状況に柔軟に対応できる。パターン認識は、人間が生存するための最も基本的
な能力であり、知能の根幹をなしている。最近、犯罪・テロの防止、交通事故
の削減等の「安心・安全で快適な社会」を構築するのための技術開発の重要性
が指摘されている。これらの応用では「人間なら簡単にできるが今のコンピュー
タでは難しい」機能を実現することが重要である。パターン認識は、こうした
課題の解決のための鍵となる技術である。また、インターネットや携帯電話等
が急速に普及し、生活の様々な場面で情報技術が利用されるようになったが、
そうした情報機器と人間との自然なインタフェースを実現するためにもパター
ン認識は重要な役割を担っている。さらには、インターネット上に分散的に蓄
えられた大量のデータの中から意味のある情報を取り出すためのデータマイニ
ングや遺伝子配列とその機能との関連性を抽出するバイオインフォマティクス
等でも、パターン認識が多用されている。パターン認識の実現には、現実世界
の曖昧さや不確かさを扱う必要がある。本講義では、パターン認識および機械
学習の話題について、確率統計的な視点から解説し、人間のような柔軟な知的
情報処理システムを実現するための基礎技術の習得を目指す。
履修の注意
- 線形代数と確率統計の基礎を修得していることが望ましい。
- 教科書は特に指定しない (以下参考書)
- Richard O.Duda, Peter E. Hart, and David G.Stork, ``Pattern Classification,''
Second Edition, John Wiley \& Sons (尾上守夫監訳: 「パターン識別」新技術コミュニケーションズ)
- 大津展之、栗田多喜夫、関田巌著 「パターン認識--理論と応用」、
朝倉書店、1996
- 石井ほか:わかりやすいパターン認識,オーム社
- 麻生ほか:パターン認識と学習の統計学,岩波書店
- 渡辺ほか:学習システムの理論と実現,森北出版
- Mackay: Information theory, inference and learning algorithms,
Cambridge univ. press
- そのほか授業にて適宜指示
- ビショップ著 元田他監訳、「パターン認識と機械学習 下」、
シュプリンガー・ジャパン、2008.
- ビショップ著 元田他監訳、「パターン認識と機械学習 上」、
シュプリンガー・ジャパン、2007.
授業予定
赤穂担当分 (注意: 進度は休講等の状況によって適宜変更される)
- 第1回 (9/28) オリエンテーション
- 第2回 (10/5) 確率モデル
- 第3回 (10/12) 線形モデル
- 第4回 (10/19) 基本的な識別器
- 第5回 (10/26) カーネル法と正則化
- 第6回 (11/02) 栗田多喜夫さん(広島大)による特別講演
- 第7回 (11/9) 授業理解の確認
- 第8回 (11/16) 藤木さん担当
- 第9回 (11/23) 藤木さん担当
- 第10回 (12/7) いろいろな学習の枠組
- 第11回 (12/14) 藤木さん担当
- 第12回 (12/21) 藤木さん担当
- 第13回 (1/11) 藤木さん担当
- 第14回 (1/18) 藤木さん担当
授業内容の記録
- 第1回 (9/28) パターン認識と学習・歴史・応用・みにくいアヒルの子の定理・あるなしクイズ
- 第2回 (10/5) 確率・条件付き確率・ベイズの公式・正規分布
- 第3回 (10/12) 確率の推定・最尤推定・ベイズ推定・予測分布
- 第4回 (10/19) No free lunch theorem・次元の呪い・表面集中現象・低次元化・識別モデルと生成モデル
- 第5回 (10/26) パターン認識手法・最小二乗識別・k-nearest neighbor・クロスバリデーション・テンプレートマッチング・クラスタリング・決定木・ナイーブベイズ法・サポートベクトルマシン
- 第10回 (12/7) カーネル法(カーネル主成分分析・サポートベクトルマシン)・アンサンブル学習(バギング・ブースティング)・動的計画法
レポート課題についてはコースナビにて出題・提出管理をします.
https://www.wnp.waseda.jp/portal/portal.php
過去の資料 (注意:
2008 年度までは栗田さんが前半,赤穂が後半を担当していましたので
2009 年度は内容が異なります)
質問、レポート提出先アドレス: s .akaho アトマーク aist .go .jp まで