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再生核ヒルベルト空間

Mercer カーネル $k(\mbox{\boldmath$x$},\mbox{\boldmath$y$})$ はそれに対応する基底関数 $\psi_j(\mbox{\boldmath$x$})$ $\psi_j(\mbox{\boldmath$y$})$ の内積で書くことができることは すでに述べた((2) 式). ところが識別関数にでてくる $\mbox{\boldmath$w$}$ についてはきちんと考えて いなかった. Mercer カーネルの定める特徴空間を数学的に考えると, 再生核ヒルベルト空間というものが得られる.

基底関数の線形和で書けるような関数の集合 $\cal F$ を考え, その中の二つの要素 $f(\mbox{\boldmath$x$}) = \sum_{j=1}^\infty c_j \psi_j(\mbox{\boldmath$x$})$, $g(\mbox{\boldmath$x$}) = \sum_{j=1}^\infty d_j \psi_j(\mbox{\boldmath$x$})$ を考えよう. 少しトリッキーであるが,これらの関数の間の内積を新たに次で定義する.

\begin{displaymath}
\langle f,g\rangle = \sum_{j=1}^\infty {c_j d_j\over \gamma_j}.
\end{displaymath}

これを(2)式の内積と区別するために $\cal F$内積と呼ぶことにする. カーネル関数 $k(\mbox{\boldmath$x$},\mbox{\boldmath$y$})$自身, $\mbox{\boldmath$y$}$ を固定すれば $\gamma_j\psi_j(\mbox{\boldmath$y$})$ を係数とする $\cal F$ の要素とみなせる. そこで,上記の $f$ との $\cal F$内積を取ってみると

\begin{displaymath}
\langle f,k(\,\cdot\,,\mbox{\boldmath$y$})\rangle = \sum_{j...
..._j(\mbox{\boldmath$y$})\over\gamma_j} = f(\mbox{\boldmath$y$})
\end{displaymath}

という関係式が導かれる. これは, $k(\mbox{\boldmath$x$},\mbox{\boldmath$y$})$$\cal F$ の中で まるで $\delta$ 関数のように働くことを意味し,$f$ を再生するという 意味で再生核ヒルベルト空間 (RKHS)と呼ばれる.



Shotaro Akaho 平成15年7月18日