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$\alpha $-接続

さて,接続係数はどのように決めたらよいのだろうか. 二つの接ベクトル $d\boldsymbol{\xi}_1, d\boldsymbol{\xi}_2$を平行移動させた とき,通常はその幾何的な関係が変わって欲しくない. 具体的には,平行移動させる前の内積と,平行移動させた後の内積は同じ 値であってほしい. この制約下では,接続係数は計量$g_{ij}$ に依存して一意に決まってしまう6. これをリーマン接続(または レビチビタ接続)という7. だから,普通の微分幾何では空間の構造は計量だけから決まってしまう.

ところが,後で述べるように統計的な立場からは, むしろ内積を保存しない接続の方が意味をもつ場合がある. といっても何でもいいわけではなく, ある種の統計的不変性を仮定すると,接続係数は次のように自由パラメータ $\alpha $をもつものに限定される. 便宜上接続係数 $\Gamma_{ij}^k$を 計量$g_{ij}$で変換したものを $\Gamma_{ij,k} = \sum_{h}\Gamma_{ij}^h
g_{hk}$とおくと,

$\displaystyle \Gamma_{ij,k}^{(\alpha)} = \mathrm{E}_{\boldsymbol{\xi}}\left[\le...
...ial_j l + \frac{1-\alpha}{2}\partial_i l \partial_j l\right)\partial_k l\right]$ (7)

となる. これを $\alpha $-接続という.$\alpha=0$の場合がリーマン接続となるが, 情報幾何では次の節で見るようにむしろ $\alpha=\pm1$の場合が特に重要である.



Shotaro Akaho 平成19年6月13日