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線形システム

本稿の読者にはシステム制御理論をご専門とされる方も多いであろう. 正規ノイズを入力とする最小位相の線形システムは,パワースペクトル で特徴付けられる. 対応する確率モデルは, システムのイノベーションの周波数成分が パワースペクトルを分散とする(一般には無限次元の)正規分布となる. 実はこのパワースペクトルの空間はすべての$\alpha $に関して$\alpha $-平坦とな っている[4].

AR モデルや MA モデルはこのパワースペクトル空間の部分空間として 特徴付けられるが,AR モデルは$e$-平坦,MA モデルは$m$-平坦な部分空間と なっており,推定が単純であるが,ARMA モデルは AR と MA の両方を合わせた ような空間になっているため,どちらに関しても平坦ではなく, 一般に推定は難しい(図6).

また,フィードバックシステムなどの安定性を議論する際には,行列の固有値が 重要な役割を果たす. その中でも正定値行列の空間が基本的で, これは正規分布の分散の空間とみなすことができるので,平坦な部分空間 として扱うことができる[25,29].

図 6: 線形システムの空間
\includegraphics{system.eps}



Shotaro Akaho 平成19年6月13日