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三宅島2000年活動に関する見解

8月18日のカリフラワー状火山弾の上面および下位の
赤灰色火山灰の構成物分析

地質調査所 2000.08.31

担当:伊藤[順]・浜崎


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■結論

カリフラワー状火山弾の上面および下位の赤灰色火山灰の細粒物組成は, 8月18日に噴出した青灰色火山灰と同質である. 両者は色調が異なるだけで,構成物の点からは区分することはできない. 今回の分析結果は,「火山弾付着および下位の赤灰色火山灰は 8/18 火山灰が高温の火山弾により加熱され高温酸化したものである」 とする見解を支持するものである.

■分析試料

○ 赤灰色火山灰3 種
[1 ]村営牧場に落下した カリフラワー状火山弾(18 ×13 ×10cm )上面の冷却割れ目内に付着する 赤灰色火山灰.
[2 ]カリフラワー状火山弾直下の赤灰色を呈する火山灰
(火山豆石を分離.基質部のみを分析試料とする)
[3 ]同上火山灰から抽出した赤灰色火山豆石

○8/18 に噴出した青灰色火山灰3 種
[4 ]最上部細粒火山灰
[5 ]火山豆石含有火山灰
[6 ]同上火山灰から抽出した青灰色火山豆石


分析チャート図
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■分析作業

分析試料は全て水簸し,水中浮遊成分を蒸発乾固させたのち, 粉末X 線回折装置にて,構成鉱物の同定を行った. 別紙として分析チャート図を添付する.

■結果

a )試料[ 1] と[ 4] ,[ 3] と[ 6] において, 構成物種およびX 線回折強度から推定される相対的な鉱物量比はほぼ等しい.
→ それぞれの試料は,赤灰色火山灰を8/18 噴出物と仮定した場合, 層序学的にも一致する.

b )赤灰色火山豆石(試料[ 3] )には, 明瞭な硬石膏の回折線ピークが特徴的に認められる. 一方,火山豆石を除去した赤褐色火山灰[ 2] からは 硬石膏ピークがほとんど認められない.
→ これは硬石膏が赤灰色火山豆石に選択的に濃集している事を示している.
硬石膏は水溶性であることから, 分析結果は「噴煙柱内において周辺の水蒸気(+/‐ 静電気力)により 火山灰が凝集して形成される」とする火山豆石の生成機構と整合的である.