しかしながら一方で,ロボットアームが床に固定されていないため,不安定な姿勢によりロボットが転倒するのを防ぐ必要がある.また同時に,アームがどの方向にも自在に動けるように,作業領域を確保しなくてはならない.そのために適切な重心位置や姿勢を保つような台車とアームの協調制御手法が必要となる.特にパワーアシスト装置のように人間と共存して作業を行う場合には,重い移動台車を頻繁に駆動することは,エネルギー消費,応答速度や安全性の観点から好ましくない.そこで,転倒問題の回避や作業領域の確保を行いながらできるだけ台車の移動量を抑える制御手法について研究を進めている.
本研究では,ロボットアームの手先と台車の間に仮想的な非線形のバネ要素を設定する方法を提案している.ロボットアームの手先が安全領域内にある場合には台車が静止したままでパワーアシスト作業を行う.また,ロボットアーム手先が警告領域に入ると,人間の操作力に仮想バネによる抵抗力が加わり,人間は手先が安全領域から外れたことを認識することができる.また,人間がそれでも力を加え続けると,台車は動き始め,ロボットアーム手先が動作領域の中央となるような姿勢をとる.下図右の移動型パワーアシスト装置を用いて実験を行った.(ビデオ)
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