歩行音からの動線推定

研究目的
独居高齢者の生活状況を、プライバシを守りつつ、遠隔から見守れるシステムの構築を目指しています。監視カメラを住宅内に設置するのはプライバシの問題から困難となるため、音響センサの状況認識に基づいた見守りシステムの研究開発を行っています。

音響センサの状況認識として、異音検知、通常生活音の認識、音発生場所の特定、そして歩行音からの動線推定に取り組んでいます。住宅内の各種家電の使用状況などと共に、音響センサで認識した状況を、インターネットを介してスマートフォンなどの画面上に住宅内地図と共に表示することで、遠隔から高齢者の生活状況を容易に確認できる見守りシステムを実現します。

研究内容
音響センサに基づいた見守りシステムの重要な要素技術として、部屋の中を動いている人の動線を、歩行音から推定する技術について紹介します。

従来、人の動線をカメラで撮影した動画像から抽出することが多いですが、生活環境内にカメラを設置することはプライバシの問題を抱えるため困難となる場合がすくなくありません。提案法は、部屋の中に小型シリコンマイクロフォンアレイを2組設置し、人の歩行音から動線を推定することが可能です。

ディスプレイ内に表示されている赤色の点は、マイクロフォンアレイによって定位した音源の位置を示しています。断続的に発生する歩行音から、ある程度滑らかに連続的に変化する動線をパーティクルフィルタを用いて推定します。ディスプレイ内に表示されている黄色の点はパーティクルフィルタで推定した現時刻の歩行位置を示しています。紫色の軌跡は一定の時間を過去へ遡った動線を表しています。

障害物として中央に椅子を置いても、歩行音からの動線推定は可能です。


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