産業機器や生産ラインで発生する異常を動作音から判断できる熟練作業員を育成するには多くの費用と時間がかかるため、音響監視センサーの開発が望まれている。また、独居高齢者や障害者の安心・安全な自立的生活を支援するために、ITを活用した見守りや生活支援システムの開発も急務となっている。一方、私的な生活環境に監視カメラを設置することはプラシバシーの問題を抱えるため導入は困難である。そこで、音環境監視技術を用いて、不正侵入行動による破壊行動、悲鳴やうなり声、歩行音や転倒音を音響的に検出することを目指している。
動画像からの異常行動検出で有効性が示されているCHLACを音響信号に応用することで、多様な音源からの異常音検出が可能な音響分析手法（音響HLAC）の研究開発を行っている。この音響HLACと、マイクロフォンアレイによる音源定位・分離、ノイズロバスト音認識を組み合せることにより、複数音源が干渉し合う環境下でも特定位置で発生する異常音の検出、通常音の認識、またそれらが「どこで」または「どのように移動しながら」発生したかをリアルタイムで認識するシステムを開発した。
図 音響HLACを実装したソフトウェアの実行画面
図 マイクアレイと音響ＨＬＡＣを組み合せた音響監視装置の試作機
