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時間依存密度汎関数理論(TDDFT)

参考文献
E. Runge and E. K. U. Gross, 'Density-Functional Theory for Time-Depndent Systems', Phys. Rev. Lett. 52, 997 (1984)

TDDFT と FPSEID21について

密度汎関数理論は電子同士の複雑な相互作用を近似する数ある理論のうちの一つで、電子同士の交換-相関相互作用は電子密度の汎関数で記述されます。電子密度と電子にとっての外部からのポテンシャルには1対1の関係があることが証明されました。 一方時間依存密度汎関数理論(TDDFT)はその1対1関係を時間に依存する電子密度と時間に依存する電子にとっての外部ポテンシャルにまで拡張したもので、それにより時間に依存する外場がかかった場合の電子のダイナミクスの数値計算が可能となりました。(上記参考文献参照)例えば、高速でイオンが動く場合、光による場が生じた場合、電場が時間によって変調された場合などです。 更に、この時間に依存する電子密度は原子にかかる力場(これには近似が入ります)への変調も引き起こし、これにより電子励起が起きた場合の原子のニュートン動力学を計算できるようになりました。 公開コード FPSEID21は周期的な(広がりのある)系において、速度ゲージで表現される光の場(つまりベクトルポテンシャル)のもとでの分子動力学計算を、局所密度近似(LDA)または一般勾配近似(GGA)、ノルム保存擬ポテンシャル、そして平面波基底による波動関数の表現にて行うことができます。 電子の時間発展(時間依存Kohn-Sham軌道)の数値計算はsplit-operator技法で求められます。 これらの技法の詳細な説明は次のの文献をご覧ください。 [O. Sugino and Y. Miyamoto, ‘Density-functional approach to electron dynamics: stable simulation under a self-consistent field’, Phys. Rev. B59, 2579 (1999)] and [Y. Miyamoto, ‘Direct treatment of interaction between laser-field and electrons for simulating laser processing of metals’, Scientific Reports, 11, 14626 (2021)]
  この計算コードはMPIとOpenMPのハイブリッド並列で実行されますが、ほとんどのHPC環境での実行時の設定に 'OMP_NUM_THREAD=1'としていただくことを強く推奨します。並列計算はバンドごとに行われ、平面波のG-ベクトルに関しての並列化は行われておりません。

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