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窒化アルミニウム製フィラー粉体の化学炎プロセス(化学工学会H13講演)

(経済産業省・産業技術総合研究所、名古屋工業技術研究所)(正)○高尾泰正*・(正)山東睦夫

1. はじめに 

半導体封止材料など無機粒子-ポリマー複合材料は、SiO2等の無機粒子を高充填し、同時に低粘性に留めるという相反する材料設計が求められる。AlNフィラー応用が確立できれば、高熱伝導性を利用した革新的な特性向上が期待できる。しかし既往のAlN製法はフィラー特性を満足せず、非酸化物で融点の無いAlN粉体の、非バッチ式SiO2系フィラー製法(化学炎プロセス)による合成は、報告されていない1-3)。

2. 実験 

液化石油ガス(LPG)と酸素・窒素、またはアンモニア系の化学炎と、粒子状の原料粉体とから成る、エアロゾル合成プロセスを基礎とした、窒化アルミニウム化学炎プロセスを検討した(Fig. 1)。一例としてAl粉体の直接窒化法を、化学炎法へ適用する基礎反応系として用い、LPG燃料をCH4・C3H8・C2H2として、反応温度の影響を調べた(還元窒化法も適用検討中)。評価はSEM、XRD、粒子径分布や組成分析などを行っている。

3. 結果と考察 

現在国内で流通している、フィラー用途レベル粒子径の、直接窒化法による市販粉体は、粉砕工程を必須とするためか、角張った形状を有し、粒子高充填にとって不利である(Fig. 2)。現行SiO2は真球状で、表面付着超微粒子が議論されるレベルで、其処へ近づけなければならない。 反応場へ与える温度が大きくなるほど、未反応前駆体やAl-O-Nなどの中間体が減少し、窒化アルミニウム等の生成率が増加した。火炎の構成方法は未だ最適化中だが、この実験では、C3H8・C2H2の比較から、発熱量よりも温度の効果が高いこともわかった。 この方法で合成したAlN粉体は、平均粒子径10μm程度で、気相法による粉体としては比較的、大粒子径であった。またサブμm〜10数μmに及ぶ幅広い粒子径分布を有し。特に、従来の市販粉体に比べて球形度の点で優れることが明らかとなった(Figs. 2, 3)。以上の検討により、粒子-樹脂複合材料の無機フィラー粉体の供給方法として、窒化アルミニウム化学炎プロセスの実現可能性・第一段階が確認された。

4. 文献 

1) Weimer,A.W., G.A.Cochran, G.A.Eisman, J.P.Henley, B.D.Hook, L.K.Mills, T.A.Guiton, A.K.Knudsen, N.R.Nicholas, J.E.Volmering and W.G.Moore; "Rapid Process for Manufacturing Aluminum Nitride Powder," J. Am. Ceram. Soc., 77, 3-18 (1994). 

2) Takao,Y. and M.Sando; "Flame Synthesis of Aluminum Nitride Filler-powder," J. Chem. Eng. Japan in press. 

3) 高尾泰正、山東睦夫; "火炎で合成した窒化アルミニウム製フィラー粉体," 特許出願中.

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