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セラミック粒子-樹脂分散系中の粒子充填構造とレオロジー特性(化学工学会H12講演)

(経済産業省・産業技術総合研究所、名古屋工業技術研究所)(正)○高尾泰正*,  (JFCC)(正)内藤牧男

1. はじめに 

SiO2やAlNなど酸化物粒子をエポキシ樹脂等の非水系液中に分散した材料系は、絶縁材料・半導体封止材料等で多用されているが、分散系流動中の凝集体形成などに起因してその挙動は複雑である。この研究ではセラミック材料で確立されている偏光顕微鏡・内部直接観察法1)を応用し、粒子充填構造とレオロジー特性との関係を検討した2)。

2. 実験 

非晶質球状SiO2粒子(数〜数10ミクロン)を70mass%、Bisphenol-A型液状エポキシに充填した分散系について、SiO2の比表面積・粒子径分布や分散系内部構造・粘性曲線を評価し、SiO2粒子径、Organosilane系カップリング剤のSiO2表面処理の影響などを整理した。

3. 結果と考察 

透過観察法により、分散系中に充填されたSiO2粒子を直接観察する事が可能であり、粒子径などによりその充填密度に粗密があることがわかった。また直交偏光観察で、分散系中に45°毎に輝度の明暗を繰り返す光学的異方性が存在することが明らかとなり、SiO2条件によって異方性に程度差があることが確認された(Figs.1,2;平均粒子径が17および27ミクロンのSiO2分散系直交偏光透過像)。一般にSiO2分散系では、例えば平均粒子径が大きく、粒子径分布幅が広いほど低粘性になるとされているが、実用粉体系では両者が単独で変化することは少ない。比表面積などSiO2の一次的な情報のみでは、平均粒子径に対し分散系粘性値が極小をとる現象(Fig.3)など、分散系の粘性挙動を十分に説明することは難しいものと考えられる。一方、直交偏光により検出された光学的異方性と粘性挙動は、傾向が比較的よく一致し、異方性が小さい分散系ほど低粘性になることがわかった。光学系の検討から上記異方性部は、SiO2一次粒子・凝集体・それらの界面などの形状異方性に基づくものと考察された。また凝集体が形成されたさい、分散媒の一部をその内部に取り込み、剪断に寄与しない分散媒が増加することで相対的にSiO2充填密度が増加するとした模型を考えることで、分散系の粘性挙動をよく説明できた。

4. 文献 

1) Uematsu, K.; "Immersion Microscopy for Detailed Characterization of Defects in Ceramic Powders and Green Bodies," Powder Technol., 88, 291-298 (1996). 

2) Y.Takao and M.Naito, "Particle Aggregated Structure in Silica Particle filled Epoxy Resin Composite System," J. Chem. Eng. Japan in press.

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