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2.高尾の研究概要

【新製法を半導体封止材料に応用した場合の解答例(H13.6月)】

ハイパワーデバイスなどでは放熱性が特に問題となり、放熱フィンや放熱板の使用、リードフレームや樹脂材料の高熱伝導化が行われているが、封止材料中大部分を占めるフィラー材料の変更が、寄与度が大きい。そこでSiO2と並び球状粉体の技術基盤の充実しているAl2O3や、BN等が検討されている。

AlNは高熱伝導性などを利用して、代替の回路基板として応用が進められているが、フィラー応用が確立できれば、その高熱伝導性と、Si基板との小熱膨張率差より革新的な特性向上を達成する可能性がある(AlN, metal Si, Al2O3 and SiO2; 300, 90, 20 and 2 Wm-1K-1 at 400K/ thermal expansion coefficient of AlN is close to that of Si substrate, 5×10-6 K-1)。

1999年度・全世界のAlN粉体生産量250t/年、2001年には代表的メーカーのトクヤマが240t/年級製造設備を480t/年にすると発表するなど、AlN粉体市場は拡大傾向にある。

AlN粉体の製造方法 は次の 1と2で殆どを占める 

  1.  直接窒化、2Al+N2=2AlN+328kJ/AlNmol (但し1800℃)東洋アルミ、Dow Chemicalなど単位原料当たりの収率が還元法より高い利点あり=低コスト、粗粒作りに有利か、但し粉砕必須でミクロンサイズ以上は“Non-spherical”
  2. 還元窒化、Al2O3+3C+N2=2AlN+3CO-27kJ/AlNmol (但し1800℃)トクヤマなど。炭素除去工程で表面安定化(Al2O3化)=AlN本質的欠点であるair中H2Oとの反応性が改善、高性能焼結体用サブミクロンサイズで一般的
  3. 気相法。Al(C2H5)3+NH3→AlN+3C2H6、AlCl3+NH3などの三井化学など。先駆的検討例のみ、用途を限定すれば其のポテンシャルが発揮される可能性も(「球状」「Filler-size=100nm-50ミクロン」)

「フィラー」(即ちSiO2のこと)の製造方法は;

  1. 溶融法、Si-O前駆体→SiO2(非晶質、球形)。低コスト、サブ〜数10ミクロンまで可。電気化学工業、日本化学工業、(旧日本アエロジル)三菱マテリアル(但し2001年撤退)など。
  2. 固体前駆体の気相法(化学炎法)。高球形度、サブ〜数ミクロンまで、トヨタ自動車・信越化学工業のジョイントベンチャーのアドマテックスなど

AlN粉体の工業的製法である直接窒化法と還元窒化法は、焼結体原料として開発が行われており、フィラー粉体に必要な10数ミクロンの粒子径、幅広い粒子径分布、高い球形度を必ずしも満足していなかった。一方SiO2フィラーは天然硅石原料の化学炎法(可燃性ガス-酸素系)で製造されている。AlN粉の化学炎合成が可能となれば、上記のフィラー粉体特性の達成、SiO2系の知的資産や製造設備の利用、生産性、熱伝導性に特長を有した新規フィラー供給方法を提供するものと期待される。従来は、非酸化物で融点の無いAlN粉体の、酸素雰囲気中の火炎法合成は報告されていなかったものと考えられる。

<合成方法の想定される利点、整理>

  1. 非バッチ式の連続(Feed)プロセスの提案(収率、低コスト化)
  2. 気相中の合成である点を利用して、球状粒子製造(例えば直接窒化過程でのAl溶着防止、Gas-Solid変換過程での易球形化など)
  3. SiO2系の知的資産や製造設備の利用(初期設備投資の低減化、低コスト化)
  4. Dow Chemical等の気相法先例で問題であった要・高温炉体の問題の解決(低コスト化)
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