[研究テーマについて (2002.9.18)]


21世紀に入り、社会はこれまでの工業化社会の延長ではない新しい 枠組を必要としています。情報処理技術(IT)がこの新しい枠組の 確立に寄与するために、必要となる研究課題に取り組んでいます。

情報化が進み、様々な情報がオンラインデータの形で 利用できるようになりましたが、まだこれを「知識」の形で 有効活用するには至っていません。そこで、大量のデータの中から 有益な知見を得るための方法の一つとしてベイズ的手法や、確率 ネットワークによるモデル化の研究に焦点を当てています。

[確率ネットワークによる不確実性モデリング]

知識を表現するために因果関係をグラフ構造で表す方法があります。 とくに例外データや常にそうなるとは限らない不確実性を定量的に 表現するために確率ネットワーク(ベイジアンネット)によるモデル化が有効です。このベイジアンネットを データベースとして構築する技術の研究を進め、その成果はソフトウェアとして 民間企業へ技術移転(ライセンス契約)をいたしました。 これによりさらに多くの方に研究成果を活用していただくことが可能になり、 このソフトウェアの拡充という形で、今後の先端的な研究成果を社会に還元して いくつもりです。また、大量のデータを解析したいというニーズを持った企業との 共同研究も進めています。

[ユーザモデリング、対話システム]

また、解析対象とするデータはすでにデータベースに格納されているものだけに限らず、 情報家電や知能ロボットが観測したデータからも様々な知識を得ることが できます。人間とやさしく対話できるシステムの構築を目指して、ユーザの 意図や要求を汲み取り、適切なフィードバックを返すことのできるメカニズム の研究もまた、不確実性モデリングの研究の延長線上にあります。

産総研内で開発された新しいデバイス(音声対話インタフェース、位置計測デバイス、 自動車運転シミュレータなど)から得られたデータから確率モデルを構築し、 これを利用してユーザの挙動や意図などを推定する方法の研究も行います。

[応用分野]

この研究の応用領域としては、