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千島列島の火山 Volcanoes of Kuril

千島列島の火山

千島列島は,北海道根室半島からカムチャツカロパトカ岬まで1200 kmに渡って続く島々からできています(図).地質学的には深い海峡を境に北千島,中部千島,南千島に分けられています(Gorshkov, 1970など).北端のシュムシュ(占守)島からシャシュコタン(捨子古丹)島までが北千島,その先Kruzenshtern海峡(深度1900m)を境にライコケ(雷公計)島からシムシル(新知)島までを中部千島,そして最も深いBoussole海峡(深度2200m)を境にチリポイ(知理保以)島から国後島・歯舞諸島までを南千島と呼んでいます.これら区分は地殻の厚さと対応しており,中部千島では薄い海洋地殻(10~15km),北千島と南千島で比較的厚い大陸地殻(15~30km)をもちます.

千島列島の島々の多くには,新第三紀中新世の海底火山活動を基盤岩の上に第四紀火山が形成しています.ロシア人火山学者Gorshkovらは千島の火山を精力的に研究し,陸上で160,海底で89の第四紀火山を認識しました.このうち32の火山には歴史時代(18世紀初頭~現在)に噴火記録があり(Gorshkov, 1954),戦後(1945年)になってからは19の火山が新たに噴火しました(Simkin and Siebert, 1994).

千島列島の火山はその高い噴火頻度,高密度な航空路(アジア-北米ルート)の直下にありながら,気象の厳しさ,交通の悪さ,政治的対立から,調査・研究がほとんどなされていないのが現状です.


図,千島列島の第四紀火山の分布(Gorshkov, 1970; Zhuravlev et al., 1987). 1945年以降に噴火した火山はSimkin and Siebert (1994)による.