Environmental changes recoded in aeolian sedimentary archives
風成堆積物に記録される環境変動
海岸や乾燥地に発達する砂丘や風成塵(レス)の風成堆積物は,風向き,風の強さ,降雨量変動による植生密度の変化などの相互作用に影響を受けて発達します.地中レーダやルミネッセンス年代測定を駆使することにより,風成堆積物から過去の地域的・全球的な環境変動の復元を試みています.
Long-term evolution of fluvial landforms and its controls
河川地形の長期発達とその要因
河川流域では降雨によって生じた土砂が河川で運搬されて下流に堆積し,自然堤防や砂州などの堆積地形が発達します.降雨は気候変動により変化し,また流域の土地利用により土砂生産量も変動します.メコン河・インダス河など世界を代表する大河の地形と気候変動・人間活動との関係をルミネッセンス年代測定や地理情報システムなどを駆使して探求しています.
Late Quaternary uplift & subsidence of the Kanto Plain
関東平野の第四紀後半地殻変動
関東平野は第四紀後半において日本列島最大の堆積盆ですが,最終間氷期以降の過去10万年間では隆起傾向を示し,それ以前のどこかで沈降から隆起へと転じたと考えられます.地層の対比が困難な地域・層準においてボーリング掘削やルミネッセンス年代測定を展開して,関東平野の地殻変動像の刷新を目指しています.
Chronology of late Pleistocene Human evolution
後期更新世における人類進化の編年
後期更新世は新人Homo sapiensが世界に拡散し,旧人と交替した時代です.しかし当時の拡散経路や旧人との交替の様式,またその地域的な多様性など,明らかになっていない点が数多くあります.新人がアフリカから全世界に拡散した5万年前前後は,放射性炭素が使えないため,ルミネッセンス年代測定により編年を行い,人類進化史の解明に貢献することを目指しています.
Long-term carbon storage in deltaic coasts
三角州海岸における炭素の長期貯蔵
熱帯〜亜熱帯域の三角州の海岸に発達するマングローブでは,マングローブの遺骸や上流から運搬された植物片が,河川から供給される土砂により埋積され,大量の炭素が貯留されていると考えられますが,その長期的な貯留機能は明らかでは
ありません.三角州沖積層の堆積学・年代学に有機地球化学を組み合わせて,アジアの三角州における完新での炭素貯留機能の定量的評価を試みています.
Quantification of long-term uplift & erosion rates
長期的隆起・侵食速度の定量
10万年スケールの地殻隆起速度は,放射性廃棄物の地層処分地を選ぶために重要な情報です.その情報が得られる地層や地形の記録は限られており,海岸では海成段丘とその構成層が有効です.詳細な堆積相解析・GPR測量・ルミネッセンス年代測定を組み合わせて,長期的な隆起速度を精度よく定量的に求める手法を確立することを目指しています.
Beach processes and environmental changes
海浜の堆積・侵食プロセスと環境変動
太平洋や日本海などの外洋に面した海岸には砂や礫の海浜が発達します.海浜の環境保全に資するために,堆積・侵食プロセスの理解を深め,そうしたプロセスの結果として作られる地層や地形の解析から環境変動を復元しています.
Environmental changes of deltaic coasts and lowlands
三角州海岸・低地の環境変動
河川が海や湖に流れ込む河口では,上流から運搬された土砂が堆積し三角州が発達します.三角州の海岸や海岸低地では,海岸侵食や地盤沈下などの環境問題が起こっています.表層プロセスの基礎的な理解を向上し,そうした環境問題の原因やメカニズムを解明することを目指しています.
Luminescence dating
ルミネッセンス年代測定
ルミネッセンス年代測定は,砂粒や泥粒の発光の強さから地層の年代を決定する方法です.数年から数十万年と幅広い時代に適用できます.国内外の様々な研究グループとの協働により,ルミネッセンス年代を砂漠・海岸・河川・考古遺跡など様々な環境の地層・地形に応用し,さらにそのための手法開発も行っています.