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確率分布の空間

情報幾何の出発点は,$n$次元の実数パラメータ $\boldsymbol{\xi}=(\xi^1,\ldots,\xi^n)$をもつ確率変数$X$の確率分布モデル $f(x; \boldsymbol{\xi})$である2 $\boldsymbol{\xi}$を座標系と考えると,確率分布モデル全体はこの座標系の張る なめらかな空間(幾何の言葉で言うと多様体 とみなすことが でき,一つ一つの確率分布はその空間中の1点として表される.

例 1 (離散分布)   $X$が離散変数で $\{x_0,x_1,\ldots,x_n\}$を取るとし, $\mathrm{Prob}(X=x_i)=q_i(>0)$とおく. $\sum_{i=0}^n q_i=1$だから, 独立なパラメータの個数は$n$個で,例えば $q_1,\ldots,q_n$を取れば, $n$次元のパラメータ空間となる.

例 2 (正規分布)   $X$を1次元実数とし,その確率密度を $f(x;\mu,\sigma^2)
=\exp(-(x-\mu)^2/(2\sigma^2))/\sqrt{2\pi\sigma^2}$とする. これは $\mu,\sigma$によって規定される2次元空間である.

ちなみに,上の例を考えればわかるように,パラメータは一般に実数空間全体に 定義されるわけではなく,その部分集合( $q_i>0,\sigma>0$など) が定義域となっている.



Shotaro Akaho 平成19年6月13日