活断層のジオメカニクス

地球における力学的な研究(ジオメカニクス)、特に断層の動きについて研究しています。この研究は、地震がどのようにして起こるのか、そして私たちがそれをどう予測できるのかに取り組みます。 地震が起きやすい断層を見つける方法として、地殻に作用する力の場(応力場)と断層の姿勢の関係から、すべり傾向(slip tendency)を計算しています。この方法を使うと、断層がどれだけ滑りやすいかを数値で示すことができ、より正確な地震予測が可能になります。 これらの研究を通じて、地震の予測や理解に大きく貢献することを目指しています。

活断層と非活断層の力学的条件の違い

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東北地方から近畿地方にかけて断層の活動しやすさを、地殻に作用する力の場(応力場)と断層の姿勢の関係から、すべり傾向(slip tendency)を計算することで調べました。 東北地方から近畿地方にかけて、いずれの地域も活断層としてしられる活動している断層はすべり傾向も高いことから、これらの地域の活断層は地殻の応力を反映して活動していると考えられます。 一方、活断層と考えられていない断層(地質断層)については、東北地方ではすべり傾向が低いのに対して、近畿地方ではすべり傾向が高い地質断層が複数存在することがわかりました。 これらのすべり傾向の高い地質断層は長い地質時間スケールでは、将来動き出すかもしれないことがわかりました。この発見は、地震予測に役立つかもしれません。

参考: Miyakawa and Otsubo (2017)

2011年福島県浜通り地震の発生メカニズム

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2011年4月11日に発生した福島県浜通り地震(Mw 6.6)は、2011年東北地方太平洋沖地震の直後に発生した大規模な内陸地震です。 この地域の地殻に作用する力の場(応力場)と、福島県浜通り地震を引き起こした断層の姿勢の関係から、すべり傾向(slip tendency)を計算し、この地震の発生メカニズムを探りました。 解析の結果、この地震は地下深くの水の圧力が関係していることが明らかになり、地震の仕組みを理解する手がかりとなりました。

参考: Miyakawa and Otsubo (2015)

断層の活動性評価へのすべり傾向(slip tendency)の活用

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これまで地震を引き起こす活断層の調査では、その断層が過去いつの時代に活動したのか(地震を引き起こしたのか)をもとに、今後その断層が同様に活動する可能性について調べられてきました。 一方で、いつも「断層がいつ活動したか」がわかるわけではありません。 そこで、地震が起きやすい断層を見つける方法として、すべり傾向(slip tendncy)を用いた断層活動性評価の活用法について検討しました。 この方法では、断層がどれだけ滑りやすいかを数値で示し、将来の地震予測に役立てることができます。

参考: Miyakawa and Otsubo (2015)