ゲノムDNAを覆う細胞内膜を有する新門バクテリア
Atribacter laminatus
天然ガス田から長期培養を経て分離した新門バクテリアです。原核生物でありながら、ゲノムDNAを包み込む細胞内膜を持ち、クライオ電子線トモグラフィーでは独立した三つの膜構造が確認されました。原核生物の細胞構造に関する従来の前提を問い直す発見です。
MOTIVATION
バクテリア(真正細菌)とアーキア(古細菌)を大きな分類単位「門」でみると、186門に分けられます。しかし、人工的に培養できる株が存在する門は概ね30%です。残りのほとんどは、環境から直接解読したゲノム情報から推定された、実態の明らかでないグループです。
これら未培養微生物は既知の培養株から遠縁、つまり系統的に遠く離れています。その進化的な距離は、細胞構造や代謝能力、生き様が私たちの持つ常識とは大きく異なる可能性を示唆します。
その可能性を追い求め、環境から未培養微生物を培養し、新しい特性を見出してきました。
Genome Taxonomy Database ↗FEATURED BACTERIA
Atribacter laminatus
天然ガス田から長期培養を経て分離した新門バクテリアです。原核生物でありながら、ゲノムDNAを包み込む細胞内膜を持ち、クライオ電子線トモグラフィーでは独立した三つの膜構造が確認されました。原核生物の細胞構造に関する従来の前提を問い直す発見です。
Fidelibacter multiformis
約4年にわたる培養から得られた新門バクテリアです。細胞壁を一から合成するための遺伝子を失い、周囲のバクテリアが放出するムロペプチドを取り込んで細胞壁を作ります。他種への依存と引き換えに、細胞壁合成に必要なエネルギーを大幅に節約する生存戦略が明らかになりました。
Minisyncoccota / Patescibacteriota
宿主バクテリアの表面に付着して増殖する極小バクテリアです。9年にわたる分離培養を通じ、宿主との接触を介した独特な寄生戦略と、宿主由来RNAの利用が明らかになってきました。詳細は現在プレプリントとして公開しています。