●カーボンナノチューブ研究:片浦のページに戻る

Logo SWCNTs
科研費 基盤S
完全構造カーボンナノチューブの創製と応用
日本学術振興会 令和2年度 基盤研究(S)

研究概要
カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube: CNT)は、1991年に多層CNTが、1993年には単層CNTがいずれも日本で発見された。特に単層CNTは、炭素一原子層からできた直径1ナノメート程度の筒状物質であり、優れた物理的・電気的特性が理論的に予測され、電子デバイスをはじめ様々な分野での応用が期待されている。しかし、これを実現するには合成時に多様な構造の混合物となるCNTを、精密に分離精製する必要があった。これまで我々はCNTの構造分離の研究を行い、20種類以上のCNTを自動で精密構造分離する分離法を開発した。大量・高純度CNT合成法と組み合わせることで、現在は構造を制御された単層CNTを容易に得ることが可能となっている。しかし、それでも未だ実用化に至る十分な性能が発揮されていない。その原因の一つが近年明らかになった。それは「欠陥」である。単層CNTは、炭素原子が共有結合で結びついたネットワーク(網目)で構成されており、すべての原子が表面に位置する構造を持つ。このネットワークを、炭素原子が一つも欠けること無く、完璧に構築するのは容易ではない。しかも、CNTの合成時間は触媒の活性度が維持できる短時間に限られているため、実際の単層CNTには多数の欠陥が含まれているのである。この欠陥が単層CNTの優れた物性を大きく低下させてしまうと考えられる。そこで本研究課題では、この欠陥問題に決着をつける事にチャレンジする。 我々はこれまで、デキストランなどの多糖類から合成したゲルを詰めたカラムに、界面活性剤で水に分散したCNTを流すだけでCNTのバンドギャップや長さの違いで精密に分離する手法を開発したが、本研究課題では、全く新しい手法として、欠陥の少ないCNTを選択する分離法を導入する。この技術により、低欠陥CNTが分取できるだけでなく、CNTの欠陥密度を定量的に高感度で評価することが可能になる。この新たな欠陥評価法を活用して、CNTの欠陥修復に挑戦する。低欠陥CNTが得られれば、CNTの構造分離技術により、欠陥をほとんど持たず、かつその構造も明確に定義できるいわば「完全構造CNT」を実現できる。これは、CNT発見当初に理論研究者が予言した理想的CNTそのものであり、理論的予想通りの高性能材料として機能するはずである。本研究課題では、完全構造CNT創製によりCNTの真の物性を引き出す事を目指す。

研究代表者:片浦弘道(産総研ナノ材料研究部門)
研究期間:2020年9月1日〜2025年3月31日

メンバー
研究代表者:片浦 弘道
分担研究者:田中丈士、平野 篤、斎藤毅、繻エ有紀
ポスドク:未定(常時募集中。メールで直接ご連絡下さい。)
ポスドク募集中
テクニカルスタッフ:都築真由美、久保田真理子


ニュース
2020/9/1 科研費基盤S採択:研究スタート
2022/6/2 SWCNTの欠陥修復進行中!
●カーボンナノチューブ研究:片浦のページに戻る