ロボット情報

 これは、「ロボット情報学ハンドブック」に書いた文章を基にしたロボット関連情報へのリンクです。国民の皆様のロボットの現状に関するご理解を助けると思いましたので、掲載します。

(1)学会組織
 日本では、日本ロボット学会[1]、計測自動制御学会システムインテグレーション部門[2]、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門[3]が、ロボットのハードウェアとソフトウェアの両者を扱うロボット学の学会である。日本ロボット学会のウェブサイトには、日本のロボット研究グループへのリンクのページ[4]が有る。ロボットや計算機の知能に特化した学会である人工知能学会[5]、情報処理研究を専門とする、情報処理学会[6]と電子情報通信学会[7]にも、ロボットの知能化に関する研究が発表される。ロボットと人間のインタラクションについては、日本人間工学会[8]、自動車のロボット化については、自動車技術会[9]等が重要であろう。
 海外各国にもロボットの学会は有るが、米国IEEE Robotics and Automation Society (IEEE RAS)[10]は、最有力の国際学会である。学会組織では無いが、欧州では、研究者のネットワークとしてEURON (EUropean RObotics research Network)[11]が有力である。
 これらの学会は、学会誌、論文誌を発行し、研究発表会として、国内外で会議を開催しており、最先端のロボット技術の情報を得て、研究開発の成果を発表するには、最低一つの学会に所属する必要がある。

(2)産業界の団体
 産業分野では、社団法人日本ロボット工業会[12]が、産業用ロボットメーカーの中心的な組織であり、ロボット研究開発の推進や利用技術の普及促進等を行うことにより、ロボット産業の振興を目指している。雑誌ロボットを発行し、そのウェブサイトには、政府各省の政策文書や政府活動へのリンク、次世代ロボットのビジネス化を推進しているロボットビジネス協議会[13]等の他の団体へのリンク、様々なロボット用基盤ソフトウェアへのリンク、ロボットシミュレータOpenHRP3やロボットの実験環境を提供する次世代ロボット共通プラットフォーム技術[14]のページへのリンクがある。

(3)マスメディア
 新聞、テレビ、ラジオ、週刊誌、月刊誌等にも、しばしばロボットが取り上げられ、さらに、日刊工業新聞[15]、日経産業新聞[16]等の産業経済誌には、頻繁に取り上げられる。日刊工業新聞社にはロボット専門のウェブサイトRobonable[17]がある。隔月刊の専門誌として、オーム社が発行しているロボコンマガジン[18]が、ロボット競技会に加えて、ロボット全般についての広い話題を提供している。惜しくも2009年末に休刊となったが、インプレス社のウェブサイトRobot Watch[19]は、様々なロボットの話題を提供していた。今後もPC Watch[20]にて、ロボットの情報提供が行われるようなので、期待したい。

(4)政府関連文書等
 ロボット研究開発やロボット産業に関係のある省や独立行政法人は、ロボット技術の動向やロボット研究開発政策の指針等について、文書を公開している。通常、文書の作成には、第一線のロボット研究者が協力しており、技術動向を知るには、意外に有用である。
(4-1) 科学技術基本計画 分野別推進戦略[21]
 『科学技術基本計画』は、5 年間の日本の科学技術政策を具体化するものとして策定される基本計画であり、政府全体で実行すべき主要科学技術施策が提示されることになっている。平成18(2006)年3月28日に閣議決定された第3期科学技術基本計画は、平成18(2006)年度から平成22(2010)年度までの5年間を対象としている。ロボット領域は情報通信分野の中の領域のひとつとして位置付けられている。第3期科学技術基本計画の分野別推進戦略[21]は、ロボット分野の「戦略重点科学技術」として、「世界に先駆けた家庭や街で生活に役立つロボット中核技術」を選定している。
(4-2)経済産業省技術戦略マップ[22]
 経済産業省は、新産業を創造していくために必要な技術目標や製品・サービスの需要を創造するための方策として、また、産業技術政策の研究開発マネジメントにとってのツールとして、さらに、将来社会を見据えた産学官の「研究開発の共有シナリオ」として、2005年3月30日に、技術の研究開発、実用化、社会への普及の行程に関する予測をまとめた「技術戦略マップ」を公表し、以後、毎年更新を行っている。ロボット分野は「ものづくり分野」のなかで個別に収録されているが、要素技術として、「ライフサイエンス分野」、そして「ものづくり分野」でも宇宙や人間生活技術等、随所で取り上げられている。技術戦略マップの内容は多岐に渡るが、日本の技術競争力優位性、共通基盤性、ブレイクスルー技術、市場インパクト、基礎技術開発の必要性、安全・安心の確保のための必要性、標準化の必要性等を評価基準として重要技術を選定し、そのロードマップを示している。
(4-3) ロボット分野におけるアカデミック・ロードマップ[23][24]
 これも経済産業省の委託により、日本ロボット学会、人工知能学会、人間工学会がまとめたもので、「技術戦略マップ」よりはさらに長期のロボット技術の研究開発、実用化、普及の行程の予測が行われている。「アカデミック」という名前の通り学究領域が重視されている。
(4-4) 電子情報通信分野 科学技術・研究開発の国際比較[25]
 海外のロボット研究開発の情勢については、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究開発戦略センター(CRDS)が、毎年まとめている「電子情報通信分野 科学技術・研究開発の国際比較」のロボティクス分野が良くまとまっている。

(5)その他
 海外のロボット情報を発信してくれるジャーナリスト影木准子氏のGetRobo [26],は、海外のロボット情報を発信している。サイエンスライター森山 和道氏のウェブサイト[27]もロボットの記事は多い。


リファレンス

[1]日本ロボット学会,http://www.rsj.or.jp/
[2]計測自動制御学会システムインテグレーション部門,http://www.sice.or.jp/~si-div/
[3]日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門,http://www.jsme.or.jp/rmd/
[4]日本のロボット研究室,http://www.rsj.or.jp/RIJ/index.html
[5]人工知能学会,http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/
[6]情報処理学会,http://www.ipsj.or.jp/
[7]電子情報通信学会情報・システムソサイエティ,http://www.ieice.org/iss/jpn/
[8]日本人間工学会,http://www.ergonomics.jp/
[9]自動車技術会,http://www.jsae.or.jp/
[10]IEEE Robotics and Automation Society, http://www.ieee-ras.org/
[11]EURON, http://www.euron.org/
[12]日本ロボット工業会,http://www.jara.jp/index.html
[13]ロボットビジネス推進協議会,http://www.roboness.jp/
[14]次世代ロボット共通プラットフォーム技術,
http://www.renkei.jst.go.jp/platform/robot/index.html

[15]日刊工業新聞,http://www.nikkan.co.jp/
[16]日経産業新聞,http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/
[17]Robonable, http://www.robonable.jp/
[18]オーム社,ロボコンマガジン,http://www.ohmsha.co.jp/robocon/
[19]株式会社Impress Watch,Robot Watch, http://robot.watch.impress.co.jp/
[20]株式会社Impress Watch,PC Watch, http://pc.watch.impress.co.jp/
[21]科学技術基本計画分野別推進戦略,http://www8.cao.go.jp/cstp/kihon3/index2.html
[22]経済産業省技術戦略マップ・ロボット分野,
http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/kenkyu_kaihatu/str2009/3_1.pdf
[23]人工知能学会,知能ロボットに関するアカデミック・ロードマップ,
http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/activity/rloadmap.html
[24]特集 アカデミック・ロードマップ,日本ロボット学会誌,Vol.26, No. 7, 2008.
[25]科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS) 電子情報通信分野 科学技術・研究開発の国際比較 2009年版, http://crds.jst.go.jp/output/pdf/09ic02.pdf
[26]GetRobot, http://www.getrobo.com/
[27]森山和道のサイト,http://moriyama.com/

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