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4.4 下半身への運動指令の生成法

テレイグジスタンス方式において、ロボット の上半身への制御は、触覚の提示や腕の全部分を利用した作業[62] において課題を残すものの、 これまで開発されてきた手法の軽量化・高精度化・高速化によって対応できるものと考えられる。 一方、下半身への運動指令の生成手法の開発は、未だ解決の方向が定まっていない課題である。 その大きな原因として以下の二つある。
(1).
人間型ロボットの脚による運動能力が、一般に人間に比べて著しく低く、テレイグジスタ ンス方式によって得られた運動指令を実現することが困難で あること。
(2).
下半身からの運動指令取得と下半身への適切な感覚のフィードバックの手 法開発は、VR研究における困難な問題として認識されており、マスター 装置の構築が困難であること [24][39]。
(1)の課題の解決のためには、前節[スーレブ・ロボット]4.2[スーレブ・ロボット]で述べたスレーブ・ロボットの性能向上と テレイグジスタンス方式によって得られた運動指令をスレー ブ・ロボットに実行可能な運動指令に変換する技術の開発が必要である。

(2)の課題の解決のためには、VR研究における移動・運動感覚の提示技術の研 究を一層進めることが不可欠である。

既に、操縦者の運動を平面に限定した場合については、かなりの程度の 移動感覚を提示できるシステムが開発されている [39]。ま た、可動範囲は制限されているが、地面の凸凹をシミュレートするシステム[38] が開発されている。 しかし、全身をダイナミックに動かす運動を実現するシステムの実現には数多くの難問が存在する。著者らは、 最終的には両足にマニピュレータを装着する手法が実用的ではないかと考えているが、 人間の体重を支えて、さらに、ダイナミックな運動を可能にできるほどの力を 持つマニピュレータ・システムの開発は非常に困難である。 システム開発のための実験が、操縦者にとって極めて危険であるからである。 P-2やP-3を創りだした 大手企業レベルの開発体制が無い限り、実用的なシステムの構築は難しいかも しれない。


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Eimei Oyama 2001-11-10