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研究紹介

  パラメータ自動可変レーザー加工システム

パラメータ自動可変レーザー加工システムの外観

レーザー加工は、レーザーのパルス幅・パルス強度・繰り返しレートなど各種パラメータに大きく 依存することが知られています。 パラメータを可変することによって、様々な仕様に最適な加工を実現できる自由度がありますが、 所望の形状や品質を得るために最適なパラメータを探索するためには多大なる時間と労力がかかるという問題がありました。 我々は、最適なパラメータ探索を効率的に行うために、超短パルスレーザーの各種パラメータを 自動で可変できるレーザー加工システムを東京大学物性研究所の小林研究室と共同で開発し、 産総研柏センターにあるレーザー加工プラットフォームに設置しました。

特に、超短パルスレーザー加工では、短い時間で物質除去(アブレーション)に必要なエネルギーを与えることが できるため、熱影響の少ない加工が実現できます。 熱影響の度合いは、パルス幅に大きく依存すると考えられるため、 この装置では、パルス幅を400フェムト秒 ~ 400ピコ秒(フェムトは10-15、ピコは10-12) という3桁の広域で連続的に可変できるようになっており、 熱的領域から非熱的領域の境界を探索するのに適しています。 他に、パルスエネルギーは2桁可変(最大100マイクロジュール)で、繰り返しレートは 1 MHz の任意分数周波数に 設定できます。 また、照射するショット数もシングルショットから無限回まで任意に設定できます。 単一のコンピューターからプログラムを通して、すべてのパラメータを一括制御できるため、 多くのパラメータ可変加工データを自動的に効率よく取得することができます[1-5]。 現在、この装置を活用して、金属・ガラス・セラミックス・樹脂など各種材料のレーザー微細加工について研究を行っています。 ユーザー利用も可能となっておりますので、ご利用をご希望の際はご相談ください。

専門的な詳細については、以下の各ページをご覧ください(現在、作成中です)

関連論文・解説記事

  • [1] 吉富 大、高田 英行、鳥塚 健二、奈良崎 愛子、小林 洋平 「広域パラメータ自動可変超短パルスレーザー加工による迅速なパラメータ探索」 光アライアンス Vol. 33, No. 6,pp.11-15、(2022).
  • [2] 吉富 大、高田 英行、奈良崎 愛子、鳥塚 健二、小林 洋平 「複合パラメータ自動可変超短パルスレーザー加工システムによる最適加工条件の迅速な探索」 レーザ協会誌 Vol. 45, No. 3,pp.1-6 (2020).
  • [3] Dai Yoshitomi, Hideyuki Takada, Kenji Torizuka, and Yohei Kobayashi, "100-W Average-Power Femtosecond Fiber Laser System with Variable Parameters for Rapid Optimization of Laser Processing," Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO) (2019.5, San Jose).
  • [4] Aiko Narazaki, Hideyuki Takada, Dai Yoshitomi, Kenji Torizuka, and Yohei Kobayashi, "Ultrafast Laser Processing of Ceramics: Comprehensive Survey of Laser Parameters," Journal of Laser Applications, Vol. 33, 012009 (2020).
    doi: 10.2351/7.0000310
  • [5] Aiko Narazaki, Hideyuki Takada, Dai Yoshitomi, Kenji Torizuka, and Yohei Kobayashi, "Study on nonthermal–thermal processing boundary in drilling of ceramics using ultrashort pulse laser system with variable parameters over a wide range," Applied Physics A, Vol. 126, 252 (2020).
    doi: 10.1007/s00339-020-3410-2

  フェムト秒ファイバレーザーの開発

Yb添加ファイバーレーザー増幅器の写真

Er(エルビウム)やYb(イッテルビウム)添加ファイバーを用いた近赤外域のフェムト秒ファイバレーザーの研究開発を行っています。 波長1000~1100 nm帯のYbファイバレーザーでは、発表当時世界最短の28フェムト秒パルスを発生する モード同期発振器を開発しました[1]。 また、チャープパルス増幅法を用いて、パルスエネルギー50 μJ、パルス幅670フェムト秒の Ybファイバレーザー増幅システムを構築しました。 このシステムは、外部からTiサファイアレーザー光のパルスをファイバー発振器に注入することにより、 Tiサファイアレーザーと同期して動作するのが特長です。 これによって、Tiサファイアレーザー励起のパラメトリック発振器からの3波長同期パルスを Ybファイバレーザーの第二高調波で励起して、パラメトリック増幅を行い、 サブμJレベルまで高強度化することが可能となりました[2]。

最近では、レーザー加工用光源として、複数のパラメータを可変できる平均出力100 W(パルスエネルギー 100 μJ)の フェムト秒ファイバレーザーシステムを開発しました。パルス幅は、400フェムト秒~400ピコ秒まで可変となっています。 このレーザーは、上記の「パラメータ自動可変レーザー加工システム」の光源として、活用しています[3-5]。

また、高繰返しYbファイバレーザーの第二高調波(波長517 nm)をエンハンスメント共振器に閉じ込めることにより、 高効率な第二高調波変換を行い、波長259 nmで出力1 Wの紫外フェムト秒パルスを発生しました。 紫外加工や光電子分光計測などへの応用が考えられます[6]。

ファイバレーザーをベースに、コンパクトでメンテナンスが容易な実用性の高い 光ファンクションジェネレーターの構築をめざして、 シード光となる41フェムト秒のErファイバーレーザーを開発しました。 このレーザーは完全にファイバー融着のみで構成されており、まったく自由空間部分が存在しないため、 アラインメントが不要で非常に安定な光源となっていることが特長です。

専門的な詳細については、以下の各ページをご覧ください(現在、作成中です)

  • ファイバレーザーの特長(概説)
  • 28フェムト秒Ybファイバーモード同期レーザー発振器 [1]
  • 外部発振器と同期した50 μJ フェムト秒Ybファイバレーザー増幅システム [2]
  • エンハンスメント共振器による高繰返し1 W紫外フェムト秒パルス発生 [6]
  • 41フェムト秒全ファイバー自己相似Erファイバレーザー増幅システム

関連論文・解説記事

  • [1] Xiangyu Zhou, Dai Yoshitomi, Yohei Kobayashi, and Kenji Torizuka, "Generation of 28-fs pulses from a mode-locked ytterbium fiber oscillator," Optics Express Vol. 16, Issue 10, pp. 7055-7059 (2008).
    doi: 10.1364/OE.16.007055
  • [2] Dai Yoshitomi, Xiangyu Zhou, Yohei Kobayashi, Hideyuki Takada, and Kenji Torizuka, "Long-term stable passive synchronization of 50 μJ femtosecond Yb-doped fiber chirped-pulse amplifier with a mode-locked Ti:sapphire laser," Optics Express Vol. 18, Issue 25, pp. 26027-26036 (2010).
    doi: 10.1364/OE.18.026027
  • [3] Dai Yoshitomi, Hideyuki Takada, Kenji Torizuka, and Yohei Kobayashi, "100-W Average-Power Femtosecond Fiber Laser System with Variable Parameters for Rapid Optimization of Laser Processing," Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO) (2019.5, San Jose).
  • [4] 吉富 大、高田 英行、鳥塚 健二、奈良崎 愛子、小林 洋平 「広域パラメータ自動可変超短パルスレーザー加工による迅速なパラメータ探索」 光アライアンス Vol. 33, No. 6,pp.11-15、(2022).
  • [5] 吉富 大、高田 英行、奈良崎 愛子、鳥塚 健二、小林 洋平 「複合パラメータ自動可変超短パルスレーザー加工システムによる最適加工条件の迅速な探索」 レーザ協会誌 Vol. 45, No. 3,pp.1-6 (2020).
  • [6] Xiangyu Zhou, Dai Yoshitomi, Yohei Kobayashi, and Kenji Torizuka, "1 W average-power 100 MHz repetition-rate 259 nm femtosecond deep ultraviolet pulse generation from ytterbium fiber amplifier," Optics Letters Vol. 35, Issue 10, pp. 1713-1715 (2010).
    doi: 10.1364/OL.35.001713

  2波長フェムト秒レーザーの高精度同期

2波長フェムト秒レーザーの外観

電界合成を行うために、波長の異なる2台のフェムト秒レーザー発振器からのフェムト秒パルスを高精度に同期制御する技術を研究しています。 電界合成による任意電界発生を実現するには、パルスピークのタイミングと内部の電界位相の2種類の同期を行う必要があります。 2台の独立したフェムト秒レーザーからは通常、それぞれ独立したタイミングでパルスが出射されるため、 このままでは2つのパルスを時間的に重ね合わせることができません。 我々は、一方のレーザー結晶中で両方のレーザー光路が空間的に重なり合うように、 2つのレーザー共振器を配置することによって、パルスどうしの非線形効果を利用して、 タイミングを受動的に同期する方法を考案・実証しました。 さらに、能動的な制御による補正機構を追加することにより、発表当時世界最高の 0.1フェムト秒(100アト秒)という同期精度を達成しました[1]。

電界位相についても、2台のレーザー光を非線形結晶によって同じ波長に変換し、 得られる干渉信号からレーザー間の位相差を検出した後、 その誤差信号をレーザーにフィードバックすることにより、 0.1フェムト秒(100アト秒)の精度に同期することに成功しています。 得られた同期精度は、波長1ミクロンの光電界振動周期(3.3フェムト秒)の30分の1以下に相当し、 電界合成を行う上で十分な同期性能が得られたことを意味しています[2]。

専門的な詳細については、以下の各ページをご覧ください(現在、作成中です)

  • タイミング同期(概説)
  • 位相同期(概説)
  • TiサファイアレーザーとCrフォルステライトレーザーの高精度タイミング同期 [1]
  • TiサファイアレーザーとCrフォルステライトレーザーの高精度位相同期 [2]
  • 光注入によるファイバレーザーの高精度タイミング安定化 [3]
  • 温度安定化制御による高精度長時間タイミング同期の実現 [4]

関連論文

  • [1] Dai Yoshitomi, Yohei Kobayashi, Hideyuki Takada, Masayuki Kakehata, and Kenji Torizuka, "100-attosecond timing jitter between two-color mode-locked lasers by active-passive hybrid synchronization," Optics Letters Vol. 30, Issue 11, pp. 1408-1410 (2005).
    doi: 10.1364/OL.30.001408
  • [2] Yohei Kobayashi, Dai Yoshitomi, Masayuki Kakehata, Hideyuki Takada, and Kenji Torizuka, "Long-term optical phase locking between femtosecond Ti:sapphire and Cr:forsterite lasers," Optics Letters Vol. 30, Issue 18, pp. 2496-2498 (2005).
    doi: 10.1364/OL.30.002496
  • [3] Dai Yoshitomi, Yohei Kobayashi, Masayuki Kakehata, Hideyuki Takada, Kenji Torizuka, Taketo Onuma, Hideki Yokoi, Takuro Sekiguchi, and Shinki Nakamura, "Ultralow-jitter passive timing stabilization of a mode-locked Er-doped fiber laser by injection of an optical pulse train," Optics Letters Vol. 31, Issue 22, pp. 3243-3245 (2006).
    doi: 10.1364/OL.31.003243
  • Dai Yoshitomi, and Kenji Torizuka, "Long-term stable passive synchronization between two-color mode-locked lasers with the aid of temperature stabilization," Optics Express Vol. 22, Issue 4, pp. 4091-4097 (2014).
    doi: 10.1364/OE.22.004091

  多波長フェムト秒パルスの電界合成による任意光電界発生(光ファンクションジェネレーター)

多波長フェムト秒パルス増幅システムの写真

多波長フェムト秒パルスの電界合成によって、任意光電界発生を可能にする装置 「光ファンクションジェネレーター」の実現に向けて、研究を行っています。 上記の方法で高精度に同期した2波長レーザーから非線形結晶による波長変換を行い、 周波数比が2:3:4となる合計3波長の互いに位相同期したパルス光を得ることができました。 これらを時間的・空間的に重ね合わせ、電界合成を行い、独自の方法で 合成点における相対的な位相を計測し、合成電界波形を決定することに成功しました。 位相の計測には、合成点に薄い非線形結晶を配置し、複数の周波数混合過程から生じる光どうしの干渉を利用しました。 計算結果から、分散による影響は補正可能であることが分かりました。 この結果により、3波長パルスの電界合成により、たとえば、0.66フェムト秒(660アト秒)の幅を有する 電界構造を作りこむことができることを実証しました[1]。

また、Tiサファイアレーザーにタイミング同期したYbファイバレーザー増幅器を開発し(上記参照)、 これを励起光にしたパラメトリック増幅による3波長同期パルスの高強度化を行いました。 高強度化によって、多光子電離などの高次非線形現象を見ることができるようになり、 電界波形に依存した効果が観測可能になると考えています[2]。

専門的な詳細については、以下の各ページをご覧ください(現在、作成中です)

  • 光ファンクションジェネレーターの原理(概説)
  • 3波長フェムト秒パルスの電界合成と波形計測 [1]
  • 3波長フェムト秒パルスのパラメトリック増幅 [2]

関連論文

  • [1] Dai Yoshitomi, Yohei Kobayashi, and Kenji Torizuka, "Characterization of Fourier-synthesized optical waveforms from optically phase-locked femtosecond multicolor pulses," Optics Letters Vol. 33, Issue 24, pp. 2925-2927 (2008).
    doi: 10.1364/OL.33.002925
  • [2] Dai Yoshitomi, Xiangyu Zhou, Yohei Kobayashi, Hideyuki Takada, and Kenji Torizuka, "Long-term stable passive synchronization of 50 μJ femtosecond Yb-doped fiber chirped-pulse amplifier with a mode-locked Ti:sapphire laser," Optics Express Vol. 18, Issue 25, pp. 26027-26036 (2010).
    doi: 10.1364/OE.18.026027