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火山ガス源と放出機構に関する研究

斉藤元治・須藤茂・宮城磯治・伊藤順一・篠原宏志・ 松島喜雄・東宮昭彦・星住英夫

平成9年度 科学技術振興調整費 火山ガス災害に関する緊急研究 成果報告書

平成11年3月、科学技術庁研究開発局、P.21-63 (1999)

要約:

阿蘇火山の火山ガスに関する調査研究を行ない、 阿蘇火山の火山ガス放出機構を解明する上で必要な基礎データを得た。 現在の阿蘇火山の火山ガス放出の実態を把握するため、 平成9年3月に現地調査を行なった。 中岳第一火口北西側の大気中火山ガス濃度は、 30分間に二酸化硫黄濃度が0.6-9ppm、 硫化水素が0.1ppm以下から0.5ppmまで変動した。 COSPECによる火山ガス放出量観測を行なった結果、 二酸化硫黄放出量は91ton/dayであり、 阿蘇火山の静穏な活動期の典型的な値を示した。 阿蘇火山の火山ガス放出機構を知るには マグマ中の揮発性成分濃度に関するデータが必要であり、 そのために火山岩斑晶中のガラス包有物の分析を行なった。 ガラス包有物には徐冷に伴う相分離が原因と思われる不均質性があったため、 揮発性成分の分析の前に再加熱・急冷による再均質化を行なう必要があり、 その実験条件に関する予察的なデータを得た。 本研究により開発されたガラス包有物の再均質化に関する手法は、 今後のガラス包有物分析のための基盤となる研究成果である。 さらに、 本研究により初めて阿蘇火山のマグマ中の揮発生成分濃度 (水は3-5 wt.%H2O, 硫黄は最大800ppm,塩素は最大800ppm) が測定された。