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雄山噴火口の噴気温度

撮影:気象庁

解析:地調


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 活発に 二酸化硫黄の放出 を続ける三宅島。 雄山噴火口から放出される火山ガスの温度を推定するために、 気象庁の熱映像カメラを用いた火口の撮影が行なわれました。 その結果、噴気の中には少なくとも150℃以上 (但:コメント参照のこと!) の高温部分がであることが、 確認されました。

 以下に、風早@地調よりemailで送られてきた画像等を、 宮城@地調が報告します。

 熱映像カメラとは、 高温の物体から放射される赤外線の強度を光学的に測定することにより、 離れた場所から対象物体の温度を測定することができる装置です。

--宮城コメント:ここから--
 数字だけが一人歩きするのを避けるために、コメントします。
 今回噴気温度として測定された 150℃という温度は最低見積もり (実際はもっと高い) です。 ひとつは、 噴気が大気の混合によってすぐ冷やされてしまうことです。 熱映像で観察している物は、噴気孔を出た後の混合気体です。 したがって、真の噴気温度よりも低いはずです。 ふたつめは、 測定対象が半透明の気体であることによる問題があります。 気体の厚みが十分ないと「向こう側」が透けて見えてしまい、 向こう側が低温な場合は、気体の温度を過小評価することになるからです。 みっつめは、 「黒体輻射に関するプランクの式」を用いて 赤外線強度を温度に変換する際に用いる際に用いられる「放射率」が曲者です。 放射率とは、黒体の場合を分母にその物質の赤外線放射率を割ったものであり、 この数字は物質の種類や表面の状態そして温度によって変化しますが、 手元の参考書をみると水蒸気の放射率は岩石などより一桁以上低いようです。 よっつめは、そもそも、 測定結果はあくまで目安にしかならないと思うべきでしょう。 高々数10m程度の厚みの水蒸気(半透明ガス)の温度を、 1000m以上もの厚みの大気(半透明のガス)を通して、 しかも背景に温度不明の物体を置いた状態で、測定しているのですから、。
---宮城コメント:ここまで--

--風早追加コメント:ここから--
150℃はガスの温度だが、熱映像装置で出てくる温度は目安であって、 実際の温度はさらに高いと思われる。 また、白煙部分に関していうと、白煙は周囲(低温部分)の赤外線を反射するため、 温度が低く見積もられてしまう。 熱映像装置でガスの温度を正確に測定するには、様々な補正が本来必要で、 補正不能の場合が多い。
---風早追加コメント:ここまで--



熱映像1

温度範囲10-150℃ 高温部は150℃に達する. ガスの温度が測定されている. 150℃の部分の上の赤色部分は100℃で,すぐに周囲の大気が混入し,温度が下がる.


熱映像2

火口域周辺の噴気孔の様子がわかる 温度範囲は10-50℃


熱映像撮影時の火口の様子

黒っぽい部分が高温火山ガス.温度が高いため透明になっている.
写真をクリックすると大きくなります。
9/19ガス温度測定の時は完全に透明ではありませんでした.
透明に近いが正確です.青白い部分がそうです. (風早による訂正 9月21日11時頃)

訂正とお詫び 宮城の勘違いで、ページ作成初期には 「風早@地調が撮影」と書いてしまいましたが、 実際には、気象庁所有の赤外線カメラを使って 海上保安庁のかたにより撮影が行なわれた (たまたま風早氏の席がヘリの窓側でなかったため ^^); とのことです。