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「りゅうきゅう」艦載ヘリからの三宅島の二酸化硫黄放出量測定


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風早(地調)は、「りゅうきゅう」艦載ヘリから、 COSPEC(correlational spectrometer)を用いて、 三宅島の二酸化硫黄放出量測定を行っています。
以下に、現地(風早@地調)よりemailで送られてきた画像に、 宮城@地調が解説文をつけて報告します。


海上保安庁の「りゅうきゅう」


「りゅうきゅう」艦載のヘリコプター。


艦載のヘリの内部。人物の膝のしたに置いてある水色の箱は、 COSPECの心臓部分であり、光学系(ミラーのみ)と、 二酸化硫黄の標準物質と、 吸光度のセンサーが入っている。


艦載のヘリの内部。COSPECの出力が紙に赤ペンでかかれている。 地調が使っているCOSPECはやや旧式。 脱硫装置の発達のおかげで工場の煙突からの二酸化硫黄測定の需要が減少し、 それにともなってCOSPECの製品開発も停滞しているそうです。


COSPECによる測定例。チャート紙が航路とともに写っている。
COSPECによる観測の手順を説明しましょう (宮城はCOSPECは素人なのでもしかすると誤りがあるかも知れません)
・まず、COSPECの測定方向を真上にむけ、 青空(紫外線強度はほぼ一定)を背景に、標準物質 (ガラスの容器に入った二酸化硫黄で、あらかじめ濃度がわかっている) の吸光度を測定する(1463ppmmと527ppmmの山ができている)。 すると、その時点の紫外線強度のときにどれだけの二酸化硫黄濃度で どれだけの吸光が起きるかが定量できます。
・次に、噴煙の下を横切るような航路を移動しながら吸光度を測定する。 すると青空(紫外線強度はほぼ一定)を背景に、 噴煙中の二酸化硫黄によって吸収された紫外線の量がわかる。
・得られた吸光度を標準物質と比べることによって、 噴煙の二酸化硫黄吸光度の断面がわかる。
・次に、これに噴煙の移動速度(測定した航路に垂直)をかければ、 単位時間の二酸化硫黄放出量がわかる、という仕組みです。


これまでにCOSPECで測定された、 三宅島の二酸化硫黄放出量(トン/日)の変遷を示したグラフ。



10月下旬までの測定結果グラフ
※吸光度と濃度との関係に非線型性があった (高濃度のときほど、過小評価がひどくなる) ので、それを補正してある。