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広範囲に分散した発信器のための同時サンプルアルゴリズム

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概要
これまで開発してきた超音波3次元計測システムでは、超音波の発信を時分割方式で行っていたため、対象物の数が増えるとサンプリング周波数が低下する問題点があった。本研究では広範囲 (36x10m)に渡って送信器や受信器が置かれた場合に、高いサンプリング周波数を維持する手法を開発し、シミュレーションによって、開発アルゴリズムの検証を行った。シミュレーション結果から、天井に 1mおきにセンサを取り付けた場合、床から1.5mの高さに分散して20個の送信器があったとしても、平均すると対象物1個あたり約40Hzでサンプリング可能であることを確認した。

超音波同時サンプルアルゴリズム

1. 超音波発信の優先度が高いかを調べ、優先度が高い場合には超音波を発し、優先度が低い場合には発信せずに優先度を1あげる。

2. 優先度の高い発信器と干渉しないかを調べ、干渉していないときには3に進み、干渉しているときには発信せずに優先度を1あげる。

3. 発信器の位置を、超音波が受信可能な受信器の距離情報を用いて、解けるかを調べ、位置を求めることが可能な場合は超音波を発信し、不能の場合は優先度を1あげる。

シミュレーション結果
下図は広範囲(36x10m)に分散した10個、20個の発信器から同時に超音波を発信したときのシミュレーションの結果を示している。 受信器は1mおきに360個配置している。送信器が10個の場合は、送信器1個あたり約50Hzで計測でき,送信器が20個の場合は約35Hzで計測できることを確認した。


下図は、超音波を時分割発信(従来手法) した場合と同時サンプルアルゴリズム手法のシミュレーション結果を比較した図である。 時分割発信の場合は送信器の数が増加するとサンプリング周波数が急激に減少し、送信器の数を増やすことが困難である。 同時サンプルアルゴリズムでは、送信器が100個あっても送信器1個あたり約10Hzでサンプリングすることが可能であり、送信器の数を増加させても従来に比べ、高いサンプリング周波数が維持可能であることがわかる。

参考文献