研究内容人を見守るデジタルヒューマン

乳幼児行動観察システムを用いたモノによる興味誘発の解析

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概要
乳幼児の事故を防止するための安心・安全な生活環境が求められており,こうした環境の設計を支援するための工学的手法の確立が急務となっている.日常生活空間で出現する多様な乳幼児行動を総合的に理解するためには,乳幼児の行動現象を,乳幼児の生理・心理状態や,乳幼児周辺の環境の状態を含めて多次元的に観察・解析するシステムが必要である.本研究の目的は,日常生活空間の乳幼児行動を多次元的に観察・解析可能なシステムを構築し,構築されたシステムを用いて,乳幼児の行動を観察・解析を行い,行動の発現メカニズムを解明することにある.
乳幼児行動観察支援システム
魚眼カメラ,超音波3次元位置計測装置,ウェアラブル生体計測装置,日常生活空間を模擬した部屋から構成されている.
乳幼児行動観察実験・解析
乳幼児・母親の位置,環境中の25種のモノの位置,乳幼児の体温・発汗量などの同時計測が可能.11,14,21ヶ月の乳幼児3人で22回,合計22時間の計測実験を行った.
まとめ・今後の課題
まとめ
1.乳幼児行動観察システムを構築し,11,14,21ヶ月の乳幼児で22回の計測実験を行った.
2.得られた主な知見
 −乳幼児は実験中97%以上の時間,モノや母親に興味を持つ.
 −モノへの興味は距離に依存し,母親への興味は距離に依存しない傾向が見られた.

今後の課題
1.今度も開発した観察システムを用いて,観察・解析を継続して行っていく.
2.多数の乳幼児に対して解析を行い一般的な知見を導くこと,月齢による差,個人による差の影響を明らかにすること,乳幼児の生理的な要因などの事故に関する他の要因を探索し,モデル化することがあげられる.

参考文献