目的
生活支援分野におけるロボット技術は、大きな市場に発展する可能性を持つ。そのような生活支援ロボット産業の発展が望まれているが、単に試作するだけでなく、想定されるユーザーにも実際に開発に参加してもらい、ユーザーが満足する性能を備えたシステムを開発するとともに、ユーザーが購入意欲を持てる価格にしなければ産業化することはできない。また、将来の安全認証を視野に入れ、安全性にも考慮する必要がある。
産総研では、生活支援分野で利用できるロボット技術の研究を進めている。産総研が2006年から3ヵ年計画で実施した産学官連携プロジェクト「産総研産業変革イニシアチブ」の「ユーザ指向ロボットオープンアーキテクチャの開発(UCROA)」では、2010年に実用化が可能で大きな市場が期待できる次世代ロボットのプロトタイプの開発を通じて、再利用可能な基盤技術の組み合わせにより、ユーザーの仕様に応じたロボット製品が開発できることを社会に示すことを目的としている。
UCROAで開発する3つのプロトタイプロボットの1つが今回の開発ターゲットであり、上肢に障害のある人が自分自身で操作する生活支援用小型軽量ロボットアームとした。産業化が可能な水準の価格設定を開発目標とし、安価な部品を開発するとともに、既存の技術を統合したシステム開発を目指した。