マイクロコンタクトプリンティング法
Micro-contact Printing Method

マイクロコンタクトプリント(mCP)法は1993年 A.Kumar, G.M.Whitesides *(米・ハーバード大) によって報告された ソフトリソグラフィー soft lithography と呼ばれる ナノ構造構築法 nanofabrication のひとつである。 ソフトリソグラフィーの由来であるスタンプは、従来法の光リソグラフィーや電子線リソグラフィーによって作製した マイクロメートル(50ナノメートルの構造までスタンプできたという報告がある)の構造の 形状パターン(マスター)をゴム状プラスチックスに写し取り作製する。マイクロコンタクトプリント法は、このスタンプ凸部表面に分子を塗布し基板に密着(コンタクト)することで、パターン化した分子の膜を基板上に作製する方法である。このスタンプの使用により、マイクロパターンを安価で簡便にコピーすることができる。この際、分子と基板表面との化学反応を利用することにより、安定した単分子厚さの膜(自己組織化膜:SAM)を基板上にパターン化することができる。例えば、チオール分子と金表面(S原子-Au)、シラン分子と酸化物、つまりOH−を持つ絶縁体表面(Si原子-O-)の組み合わせが利用されている。
*A. Kumar, G.M. Whiteside et al. Langmuir 10 (1994) 1498

【図の説明】
シリコンゴム(PDMS)によってマスターの型をとったスタンプを作り(a)、 スタンプにSAMを作る分子(チオール、アミノシランなど)の溶液を塗って、基板に押しつける(b)。 すると、マスターのパターンに従って基板上にSAM膜が作られる(c)。

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例えばアミノシランがスタンプされた表面はプラスの電荷を持つので、 マイナス電荷を持つDNAを引きつける。この表面にDNA溶液を塗布すると、DNAがアミノシラン膜の上にだけ吸着しパターニングされる。

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【我々の研究の特徴】
mCP は世界中の多くのグループで研究されている手法である。特に金・チオールの組み合わせの研究例は非常に多い。我々は mCP でも 難しいとされているシラン分子を中心に研究しており、表面が化学的に活性となるアミノシランを mCP によってパターニングし、 選択的な吸着・表面反応を成功させた。

マイクロコンタクトプリンティング法と蒸着重合法
Micro-contact Printing Method and Vapor Deposition Polymerization

分子を真空中で蒸発させて、基板表面のアミノ基と反応させることにより、パターン化した高分子薄膜の作製を行っている。

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【図の説明】
最初は基板に結合したアミノシランにTPCを結合させる。次にODAをTPCと反応させる。 二層目からは二種類のモノマー(ODAとTPC)を交互に蒸着して、一層ごとに反応を繰り返し、 最初にアミノシランが結合していた部分にだけ高分子ポリアミドを選択的に成長させる。

【表面重合の意味】
せっかく機能性の分子を合成しても、基板の特定の場所に配置できないことが考えられる。 分子量の大きな分子は溶液に溶けにくく、蒸着も難しいことが多いからだ。 大きな分子は基板の表面の指定した部分で小さい、扱いやすい分子の反応によって合成できれば、溶解性などの制限がないので 安定性などの面でも都合がよい。

アミノシラン膜の上に重合したポリアミドなど(英語の資料)


産業技術総合研究所

ナノテクノロジー研究部門

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