[A-Z]

3軸調和平均径 (harmonic diameter of the load:さんじくちょうわへいきんけい)

粒径*をあらわす方法のひとつ。粒子の短軸径をb、長軸径をl、厚みをhとおいたとき3(1/b+1/l+1/h) -1であらわされる粒径。
 〔出典〕セラミックス vol.22, p8, セラミックス協会(1987)

粒径
3軸平均径 (mean diameter of the three dimensions:さんじくへいきんけい)
 粒径*をあらわす方法のひとつ。粒子の短軸径をb、長軸径を?、厚みをhとおいたとき(b+l+h)/3であらわされる粒径。
 〔出典〕セラミックス vol.22, p8, セラミックス協会(1987)

粒径
4端子法 (electric conductivity measurement by 4 probes method:よんたんしほう)
導電率σの測定には直流(DC)法と交流(AC)法とがある。
固体イオン伝導体や電解質溶液のように、DC電流によってイオンの移動による分極が起こるような場合には、電極近傍に電圧降下が集中するため、本来のσの測定が困難になる。また、界面層の存在する場合には、電気容量効果を抑えるために、AC法を用いて、本来のσを求められる。また、AC法を用いることによって、様々な雑音を取り除くことができるので、再現性とSN比を向上させることができる。特に粉末・薄膜試料のように外部形状が特殊な場合には、AC法によらざるをえない。
 逆に、非常に高い抵抗値を測る際、微小電流の測定が必要となる場合に、AC法が困難であるために、DC法が用いられる場合がある。
 最も簡単な、測定法は電圧・電流計法であり、試料の電流Iと電圧降下Vを測定すれば、試料断面積Aと長さLの測定値から、σ=IL/VAで計算できる。これが2端子法*である。試料両端とリード線との接触抵抗が大きい誤差の原因となる場合には、電圧リードを別に設けることによって、それを取り除くことができる。これが4端子法であり、精度が上がるため、金属や半導体に広く用いられている。DCの場合には、熱起電力効果を避けるために電流Iの方向を逆転させて両者の平均をとることが必要である。
 ブリッジ法も用いられ、DC法とAC法があるが、非金属のσの測定にはAC法が特に有効である。最も簡単なDCブリッジであるホイートストンブリッジ*であるが、接触抵抗が誤差として入るので純金属などの抵抗試料の場合は、ダブルブリッジを用いるのが普通である。抵抗値10Ω以上ではホイートストンブリッジを用いるのが普通である。抵抗値10Ω以上ではホイートストンブリッジの使用が可能であるが、0.01Ω以下ならダブルブリッジを使うべきである。
AC法には、これ以上にも複数の方法(コンデンサー放電電流、パルス、高周波交流等による方法)が、対象に応じて用いられている。
〔出典〕新実験化学講座 基礎技術4, 電気 pp139-176, 丸善(1976)

anode (anode:アノード)

アノード

BET法 (B.E.T. method:べっとほう)

 比表面積*測定法の1つ。粉体粒子表面に大きさのわかった分子やイオンを吸着さえて、その量から試料の比表面積を測定する方法で、Brunauer, EmmettおよびTellerにより導かれたBET式を用いるためこのように呼ばれている。
 粉体(吸着媒)の表面積は、吸着ガス分子が吸着媒に吸着してその全表面に単分子膜を形成しているとすると、吸着ガス分子1個が占めている面積(cm2)に単分子層を形成している全分子数をかけることにより求めることができる(例えば吸着ガスがN2の場合、a=17.0A2/-183℃)。吸着媒の全表面に単分子膜を形成するために必要なガスの量を標準状態でVm(ml)とすると吸着媒の表面積A(cm2)は次式によって得られる。

A=a×Vm×NA/22400               (1)
NA=6.02×10^23

今ガス分子が吸着媒に吸着して平衡状態にある場合、ガスの気相圧力をP、吸着温度における飽和蒸気圧をPs、全吸着量をVとすると

P/V(Ps-P)=1/(VmC)+(C-1)P/(Vm・C・Ps)

となり、P/V(Ps-P)に対してP/Psをプロットすれば、その直線の傾きより、(C-1)/(Vm・C)が、また切片より1/(Vm・C)がそれぞれ求められる。これより単分子吸着量Vと定数Cが計算でき、さらに(1)より吸着媒の表面積を求めることができる。また(2)式(BET式)が実験値と一致するのはPs-Pが0.05〜0.4の範囲である。
〔出典〕粉体工学ハンドブック, 朝倉書店(1972)

単分子層吸着量比表面積
BOP (Balance of Plant:びーおーぴー)
プラントの周辺機器を指す。
改質器、ブロア、昇圧器、加湿器、熱交換器、直流交流変換器、などなど

cathode (cathode:かそーど)

カソード

EPMA (electron probe microanalyzer:いーぴーえむえー)

 電子プローブX線マイクロアナライザーともいう。 


X線マイクロアナライザー面分析

F (Faraday constant:ふぁらでーていすう)

 1モルの電子が持つ電荷の量。96485309C/mol。ネルンストの式などでよくおめにかかる。
定数が大文字なのは人名にちなむからだ(K、ケルビンなど)。

H2ゲイン (hydrogen gain:えいちつーげいん、すいそげいん)

 燃料電池の燃料極の特性を見る上で簡単な方法としてH2ゲインの測定がある。H2ゲインを測定すれば、電池特性*が低下している場合、アノードに主な原因があるのか、またはそれ以外のところに原因があるのかをおおよそ判断することができる。
 具体的なH2ゲインの測定方法は、まず燃料ガス(H2/CO2=80/20)、酸化剤ガス(Air/CO2=70/30)の条件で電流-電圧曲線を測る。次に酸化剤ガスはそのままで燃料ガスを例えばH2/CO2/N2=25/20/55に変えた時の電流-電圧曲線を測る。そして任意の電流密度*における電圧の差を計算する。この電圧の差がH2ゲインである。すなわち、この電圧の差は燃料ガス組成を変えたために生じたものであるから、H2ゲインはアノードの特性を反映していると考えることができる。
 従って、基準となる電池と比較して、H2ゲインが大きければその電池の燃料極に問題があると考えられ、その原因としては、アノードに過剰の電解質が入っていたり、電極の表面積小さいなどが可能性牲としてある。
 任意の一定電流密度における燃料ガス組成を変えた時に得られる電圧の差をH2ゲインという。

i-∨特性 (i-V characteristics:あいぶいとくせい)

→電流電圧特性
i-η特性 (i-η characteristics:あいいーたとくせい)
分極特性
ICP発光分光分析 (inductively coupled plasma atomic emission spectroscopy:あいしーぴーはっこうぶんこうぶんせき)
 ICP(高周波誘導結合プラズマ)を励起源とし、その高温中で励起された原子やイオンが輻射する光を測定し、発光線の波長から定性分析を、発光強度から定量分析を行う方法。
 外径約20mmの石英ガラス菅製のトーチの外側に誘導コイルを巻き、これに周波数20〜50Hz、出力1〜2kWの高周波電力を加え、トーチに流したアルゴンス中に発生させたフレーム状の放電をICPという。通常、水溶液ほどの液体試料を霧化し、キャリアーガス(Ar)でトーチの中心軸の試料導入管から導入する。このプラズマを上部からみるとドーナツ状の穴があいており、この中に試料が効率よく導入される。試料原子は約6000℃に加熱され、数種の非金属元素を除く多くの元素の励起が可能である。
  検出限界は0.1?10ng/?と極めて高感度であり、検量線の直線範囲が5〜7桁と広いこと、共存元莱の影響が小さいことなどの優れた持長があり、液体試料の発光分光分析法として1970年代後半から急速に発展し、現在最も広く利用されている分析法の一つである。

 溶融炭酸塩形燃料電池の研究開発では、溶融炭酸塩中に溶け出したNi、Co、Crなどの定量に用いられてきた。

in-situ酸化 (in-situ oxidation:いんさいちゅうさんか)
in-situとは、反応操作、測定などを行う場合にその対象を系外に取り出すことなく系内にあるがままの状態で行うことをいう。
 MCFCでは、in-situ酸化とは、ニッケルの多孔体をニッケルのまま電池内に組み込み、電池の起動中に、酸化剤ガスを流して酸化ニッケル電極とする酸化方法である。
 本方法では、あらかじめ酸化しておく必要がなく、電極製造工提が簡略化されるが、電池内で酸化反応に伴い体積変化を生ずるので注意する必要がある。
  なお、in-situ酸化以外の方法としては,酸化物の多孔体を電池に組み込む方法もある。

iR損 (iR loss:あいあーるそん)
→オーム損

Martin径 (Martin's diameter:まーちんけい)

不規則形状粒子の粒径*をあらわす方法の1つ。ある一定方向に対して垂直方向の粒子外径はGreen径とよばれ、Green径の1/2における一定方向の粒子内径をMartin径と呼ぶ。
〔出典〕化学工学便覧、丸善(1978)

粒径

NiO (nickel oxide:えぬあいおう)

カソードカソード溶出

O2ゲイン (oxygen gain:おーつうげいん)

 燃料電池のカソードの特性を見る上で簡単な方法としてO2ゲインの測定がある。O2ゲインを測定すれば、電池特性*が低下している場合、カソードに主な原因があるのか、またはそれ以外のところに原因があるのかをおおよそ判断することができる。
 具体的なO2ゲインの測定方法は、まず燃料ガス(H2/CO2=80/20)、酸化剤ガス(Air/CO2=70/30)の条件で電流一電圧曲線を測る。次に燃料ガスはそのままで酸化剤ガスを例えばO2/CO2=33.3/66.7に変えた時の電流一電圧曲線を測る。そして任意の電流密度*における電圧の差を計算する。この電圧の差がO2ゲインである。すなわち、この電圧の差は酸化剤ガス組成を変えたために生じたものであるから、O2ゲインはカソードの特性を反映していると考えることができる。従って、基準となる電池と比較して、O2ゲインが大きければその電池のカソードに問題があると考えられ、その原因としては、カソードに過剰の電解質が入っていたり電極の表面積が小さいなどが可能性としてある。

out-of- cellテスト (out-of- cell test:あうとおぶせるてすと)
電池外試験

SEM (scanning electron microscope:せむ)

走査型電子顕微鏡

TIG溶接 (tungsten inert-gas arc welding:てぃーあいじーようせつ)

 イナートガスアーク溶接は被覆アーク溶接あるいは、ガス溶接によって溶接が困難であった各種金属の溶接に使われる重要な方法である。
イナートガスアーク溶接には図に示すように、アルゴン(Ar)あるいはヘリウム(He)など高温でも金属と反応しないイナートガス(不活性ガス)をトーチのノズルから流しながら、その中で裸のタングステン棒あるいは裸の金属ワイヤを電極としてアーク溶接を行う方法である。これには図に示すように(a)イナートガスタングステンアーク(TIG)溶接と(b)イナートガス消耗メタルアーク(MIG)溶接がある。
 TIG溶接はタングステン棒を電極とするもので、ガス溶接と類似の操作方法で裸の溶加材をアークで溶かしつつ溶接する。また、薄板をTIG溶接する場合には溶接棒を用いず、被溶接材(薄板)をアークで溶かして溶接する。タングステン電極はほとんど消耗しないことから、非溶極式(非消耗式)イナートガスアーク溶接ともいう。TIG溶接では直流あるいは交流が用いられる。直接溶接としては溶込みが集中的に深くなる直流正極性(図31 (c))と母材の溶込みが幅広く浅くなる直流逆極性(図31(d))がある。また、アルゴンガスを用いた逆極性ではアークが母材表面の酸化膜を除去するクリーニング作用がある。交流溶接では直流正あるいは逆極性の中間状態となり、溶込みはやや幅広く深目になり(図31(e))、しかもアルゴンガスを用いればクリーニング作用がある。クリーニング作用のある直接逆極性叉は交流のアルゴンTIGは一般に軽合金に用いられる。これに対して、直接正極性はクリーニング作用を必要としない材料(炭素鋼、ステンレス鋼、銅合金など)に用いられる。
図 TIG、MIG溶接
図 TIG溶接における極性の溶込みが及ぼす影響

X線マイクロアナライザー (X-ray micro analyzer:えっくすせんまいくろあならいざー)

 微小分析方法の一つ
 きわめて細く絞った電子線を試料表面に照射して、その部分から放射される特性X線の波長と強度をX線分光器で測定することにより、その微少部に含まれている元素を定性あるいは定量する装置である。当初は、照射点の定性・定量分析を行う静止型であったが、その後、電子線で試料表面を走査して元素のニ次元分布を観測する装置も開発され、今では全てこの方式になっている。
 本装置は、元来、電子プロープX線マイクロアナライザー(EPMA)として、フランスで発表されたが、X線マイクロアナライザーの名称で国産化が行われたこともあり、わが国では、後者の名称もよく用いられている。

 溶融炭酸塩形燃料電池の研究では、腐食した金属材料の腐食皮膜の元素分布や、電解質板に析出したニッケルなどを調べるのに用いている。

EPMA


[あ]

圧縮クリープ (compressive creep:あっしゅくくりーぷ)

 圧縮荷重下におけるクリープ*をいう。通常、引張りにおけるクリープ速度と圧縮におけるクリープ速度とは異なり、ステンレス鋼、Ni、Pb等は引張りでのクリープ速度の方が大きく、一方、ウッド合金では圧縮でのクリープ速度の方が大きい。
  
 MCFCにおいては、とくにアノードの圧縮クリープが電池の寿命の原因だったが、近年アルミニウムとニッケルの合金粉末を用いるようになり、耐クリープ性が高くなったためあまり問題にされなくなっている。

クリープ
アノード (anode:あのーど)
酸化がなされる電極を指す。化学種が電子を渡す電極。
 溶融炭酸塩形燃料電池では、ニッケルおよびアルミの合金粉末を還元雰囲気で焼結させた多孔質の板状の電極である。内部には、ガスの通る比較的大きな孔と、電解質がしみこんだ小さな孔がある。

カソードanode
アノード分極曲線 (anodic polarization curve:あのーどぶんきょくきょくせん)
分極曲線
アルカリ土類金属炭酸塩 (alkaline earth carbonate:あるかりどるいきんぞくたんさんえん)
 炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム及び炭酸バリウムをさしていう。
 溶融炭酸塩形燃料電池の電解質への添加物として検討されている。
 溶融炭酸リチウムカリウムおよび炭酸リチウムナトリウムに40モル%程度とけ込み(温度による)二酸化炭素雰囲気で900℃でも安定な液体として存在する。
 アルカリ土類金属炭酸塩の添加でカソード材料の酸化ニッケルの溶解度が低下することが谷本らによって示されている。
 谷本一美,宮崎義憲,柳田昌宏, 小島敏勝,大鳥範和,児玉皓雄, 電気化学及び工業物理化学, 63, 316(1995).

アルキメデス法 (Archimedian method:あるきめですほう)
 アルキメデスの原理(液中における物件の浮力は.物体が排除した液体の重量に等しいこと)を利用して物質の密度を測定する方法。液体に沈める物体の体積をV、物体の密度をρ、空気中での重さをWまたは液沐中での重さをW'とし、液体およぴ空気の密度をそれぞれρ1およぴρairとすると次式の関係が得られる。
       V(ρ-ρair)=W
       V(ρ-ρ1)= W'
  空気の密度ρairは十分小さいので無視することができ,密度ρは上の2式からVを消去して
       ρ=ρ1W/(W- W')
 となる。

 この式から、液体の密度を求めることが出来るので、溶融炭酸塩形燃料電池の研究開発では電解質である溶融炭酸塩の密度を測定したデータがJanzら1)やSpeddingら2)によって報告されている。しかし、用いるシンカー(金パラジウム合金の玉、溶融炭酸塩に沈める)をつるす線にかかる溶融炭酸塩の表面張力が測定値を乱すので、表面張力も同時測定してこれを補正しなければならない。
 また、別法として超音波を利用した方法や3)、最大泡圧法の報告もある4)。

1) G. J. Janz, J. Phys. Chem. Ref. Data, 17, 1 (1988).
2) P. L. Spedding, J. Electrochem. Soc., 117, 177 (1970).
3) Zhu Hong-Min, T. Sato, T. Yamamura, K. Shimakage and T. Ejima, J. Japan Inst. Metals, 55, 937 (1991).
4)T.Kojima、M.Yanagida、K.Tanimoto,, Y.Tamiya, H.Matsumoto, Y.Miyazaki, Electrochemistry, 67, 593(1999).

→最大泡圧法
イオン伝導(性) (ionic couductivity:いおんでんどう)
  導件中に電位差が存在するとき.これを弱める方向に電荷の移動を起こす現象を電気伝導というが.このうち電荷を運ぶ担体がイオンである場合をイオン伝導といい.この性質をイオン伝導牲という。イオン伝導性を示すものとしては、水溶液、溶融塩等の電解質を含むもの、イオン交換樹脂等の有機高分子、および酸化物イオン伝導牲を示すZrO2、プロトン伝導性を示すBaCeO3等の酸化物がある。
 MCFCでは、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等からなる溶融炭酸塩電解質のナトリウムイオン、リチウムイオン、炭酸イオンとしてイオン伝導牲をもつ。
 また、電解質のイオン伝導性は電解質の種類、組成によってその値が異なり、電解質の選定指標の一つとなっている。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1971)

電子伝導性
一次粒子 (primary particle:いちじりゅうし)
 粉件系の基本はそれを構成している粒子であるが、その言葉の意味は、非常に曖昧である。最も基本となる粒子は、一定の比重と形態を持った単一結晶であるといえるが、一般的な粉体系における粒子では、そうでもないものが多い。
 そのため、外見上の幾何学的形態から判断して、単位粒子(ultimate particle)と考えられるものを1次粒子と称しているが、その実体は様々である。
 例えば、カーボンブラックにおいては、数百?数千のグラファイト構造の薄片の結晶子が、外見として球形の粒子、すなわち1次粒子を形作っている。また、炭酸カルシウムにおいては、約0.05μmの斜方立方体の結晶子の平行連晶により、数μmの炭酸カルシウムの紡錘形粒子、すなわち1次粒子を形作っている。
 1次粒子が複数個集合した粒子もあり、2次粒子と呼ばれる。集合するときの粒子問の力は、化学的な力による場合と、物理的な力(=Van der Waals力)による場合に大別される。前者は擬結粒子または凝集体(aggregate)と呼ばれ、後者は集団粒子または集合体(agglomerate)と呼ばれる。両者の区は顕微鏡による幾何学的形態からのみでは困難であるが、沈降法などの物理的方法によって差がつく。凝集体は、懸濁液中でこれ以上分かれないが、集合体は懸濁液の条件によって大ささ、すなわち単位粒子の数を異にする。そして後者の集合度は液中での分散度で規定される。もちろん、集合体は単一粒子の集団であることもあり、凝集体の集合であることもある。特に液中の大きな集合体を軟集粒子または最合体(f1occulate)という。
 下図にカーボンブラックの1次粒子(結晶子の集まり)と2次粒子(凝集体)の模型を示す。
         (a)結晶子の集まり (b)殺具
           図. カーボンブラック粒子の模型図
〔出典〕粉体 理論と応用, pp73〜74, 丸善(1962)

ウェットシール (wet-seal:うぇっとしーる)
 溶融炭酸塩形燃料電池のガスシールの方式。
 MCFCの構成は、平板型のセパレータ(パイポーラ板)、コルゲート板(ガス流路を碓保するためのスぺーサー兼集電体)、アノード(負極)、電解質板、カソード(正極)を単体電池としてなり、燃料ガス及び酸化剤ガスは、それぞれアノードとセパレータの間、カソードとセパレータの間を面に水平方向に流れる。従って、それらのガス出入口以外の電池周辺部はガスをシールする必要がある。しかしながら、MCFCは動作温度が高く、電解質である溶融炭酸塩の腐食性が激しいため、シール材として適当な材料が見当たらない。そこで通常電池周辺部のガスシールは、コルゲート板と電極を合わせた厚みに相当する高さ分だけのリブをセパレータ周辺部に設け、このリブ部と電解質板とによってシールする。このシール方法をウェットシールという。
 電解質板が溶融した炭酸塩によって濡れた状態であり、これを利用してシールするためウェットシールと呼ばれる。

 要するに電解質板のへりをぐちゅっとつぶしてパッキンがわりに使っているのだ。


[か]

開回路電圧 (open circuit voltage:かいかいろでんあつ)

  燃料電池で外部に負荷を取らない状態でのカソード(空気極)とアノード(燃料極)の間の電位差を言う。開回路電圧(Voc)は次式で表わされる。

 Vocl=Eo+(RT/4F)ln(PO2(PH2・PCO2,c)^2/(PH2O・PCO2,a)^2)

PH2 : アノード水素分圧
PH2O : アノード水蒸気分圧
PCO2, a : アノード炭酸ガス分圧
P O2 : カソード酸素分圧
P CO2, c: カソード炭酸ガス分圧
R  : 気体定数
F  : ファラデー定数
T  : 絶対温度
E O  : 標準状態における起電力
ようにアノードに供給される気体の種類と圧力、カソードの気体の種類と圧力できまり、電極材料には無関係である。この式はネルンストの式と呼ばれ、電池反応に関与するH2、O2、CO2、H2Oの化学熱力学で定義される自由エネルギーから理論的に導くことができる。

拡散分極 (diffusion polarization:かくさんぶんきょく)
 電池から電流を外部にとりだした場合の電池の端子電圧は、起電圧より小さくなる。この現象を分極という。
 分極の種類は、活性化分極、拡散(濃度)分極*、抵抗分極の3種類がある。
 拡散分極は、電流が流れることによって電池近傍での反応関与物質の濃度が平衡状態から変化し、これらの物質を電極へ補給する速度や生成物の散逸速度の影響によって生じる分極である。

 MCFCのアノード(負極)側での反応を考えてみると、その反応は活物質であるH2やCOの酸化反応とH2OやCO2の生成反応である。アノード側での反応が起こる過程には少なくとも次の2つの段階がある。
 @ 供給された活物質が電解質に溶解して、電極表面に移動し、吸着される過程。
 A 吸着された活物質が、電極より供給される電子と結合して放電する過程。
 電流が流れていない場合、電極近傍での活物質濃度は平衡状態にある。電流を流すと、活物貰が反応によって消費され、水蒸気やCO2が発生する。そのとき件局近傍での活物質濃度が平衝状態から変化するため、活物質が補給されると共に水蒸気やCO2が電極近傍から除去されるが、それらの速度の影響によって生じる分極が拡散分極である。
 また、活物質の捕給速度や生成物の除去される速度がAが起こる速度に比べて充分遅い場合、全体の反応速度は、活物質の補給速度と生成物の除去速度の内、どちらか遅い方の速度によって決定される。この過程を律速段階といい、分極は拡散分極によって支配される(低抗分極を除く)。

 〔出典〕電気化学T, 共立出版梶i1966)

抵抗分極
カソード (cathod:かそーど)
陰極と訳される。電子が化学種に渡され、還元反応が起きる電極。溶融炭酸塩形燃料電池では、酸素が還元され、さらに二酸化炭素と反応して炭酸イオンが出来る電極である。
 金属ニッケルの粉末を還元雰囲気で焼結して多孔体のシートをつくり、これを溶融炭酸塩電解質の存在のもとで酸化して酸化ニッケルとなり、さらに電解質からLiイオンが入り込んで、結晶の電気的中性を保つために一部3価のニッケルイオンが出来る。2価と3価のニッケルイオンが電子のやりとりをすることで高い導電性が得られる。
 酸化ニッケルは、溶融炭酸塩電解質に溶け、アノード付近の還元性環境で金属ニッケルに還元され、これがつながりあって電池に短絡をもたらすことが問題となっている。

アノードcathode酸化ニッケルNiO
カソード溶出 (cathode dissolution:かそーどようしゅつ)
 カソード(正極)が電解質である溶融炭酸塩に徐々に溶解する現象をいう。
MCFCの場合、一般的なカソード材料はNiO(リチウム化した転化ニッケル)であり、これは電解質である溶融炭酸塩に微量溶解する。また、その溶解度は雰囲気のCO2分圧依存性を示し、CO2分圧が増大するほどNiOの溶解度も増大する酸性溶解であるといわれている。そのため、MCFCを加圧運転すると電解質へのNiOの溶解度が増大することが懸念されている。
 また単に電解質中にNiOが溶解するのみなら、ある一定時間経過後には飽和溶解度に達し、平衡状態(見かけ上、それ以上溶解しない)を保つはずである。しかしMCFCの場合、溶解したNiOは、還元雰囲気であるアノード(負極)ガスによって還元され、アノード近傍の電解質板中でNiとして析出する。そのため平衡状態に達することなく溶解を続ける。最終的には、析出したNiによってアノードとカソード問の短絡が起こるため、電池寿命を支配する要因になるとされている。

NiO
活性化エネルギー (activation energy:かっせいかえねるぎー)
 ある反応原系から遷移状態を経て生成系へ移る過程において、遷移状態のエネルギーとはじめの平衡状態のエネルギーとの差に相当するエネルギー。このような過程が進行するためには、系が活性化エネルギー以上のエネルギーを持つことが必要である。 〔出典〕理化学辞典,岩波書店(1976)

MCFCの場合の反応を例にとり、H2を燃焼ガスとした場合の総括反応を(1)式に表す。
H2十1/2O2十 CO2→H2O十CO2+△H …(1)
 (1)式の反応は発熱反応であり右辺の方が化学的に安定である。しかしながらこの反応は、ただ放置しておくだけでは右に進行せず、何らかの触媒または熱等のエネルギーを加えて初めて進行する。この時、必要最小限加えなければならないエネルギ?が活性化エネルギーに相当する。
  もう少し詳しく(1)の反応を逐次的に表現すると(2)?(5)式のように表せる。
H2→2H+ +2e-  …(2)
1/2O2十2e-→O2-    …(3)注
CO2+O2-→ CO32-      …(4)
CO32-十2H+→H2O十CO2    …(5)
 つまり(1)式の反応は、(2)式で生成したプロトンと(3)及び(4)式で生成した炭酸イオンとの反応であったことがわかる。この場合、(2)及(3)式は左辺の方が安定であり、右辺の遷移状態へ反応が進行するためにはエネルギーが必要である。これが上述の活性化エネルギーに相当する。

 注)単純化するため(3)式のように反応式を示したが.実際の反応活性種はO2-やO22-であり、以下に示すような複雑な模様を経て反応が進むと考えられている。しかしながら明らかにされていない部分も残されている。
O2-十e-→O22-           O22-+2e-→2O2-
             O2-十3 e-→2O2-


活性化過電圧 (activation overvoltage:かっせいかかでんあつ)
 電池から電流を外郡にとりだした場合の電池の端子電圧は、起電圧より小さくなる。この現象を分極という。また、この電池が単純電極系(ただ1種の電極反応のみが進行している電極)から構成されている場合、分極の大きさを過電圧という。
ここで注意すべき点は、ある電極系の分極は必ずしも1種の電極反応の性質によって決まるものではないのに対し、過電圧は特定の反応と直接結びつく量であることである。すなわち、ある電極系の過電圧は、そこで進行する電極反応がわかっているように単純電位系についてのみ明確に規定することがでさる。〔出典〕電気化学, 東京化学同人(1967)

MCFCの場合には、アノード(負極)側ではH2やCOの酸化反応が起こり、カソード(正極)別の反応においてもO2-やO22-を活性種とする酸素の還元反応が起こるとされているため、必ずしも1種の電極反応のみが起こっているとはいえない。
 過電圧の種類は、活性化過電圧、濃度過電圧*、抵抗過電圧の3種類がある。
 活性化過電圧は、純粋に化学的反応に起因する過電圧で、活性化エネルギー*によって支配される。例えば、電極上に吸着されたイオンが、電極より供給される電子と結合して放電する過程の影響によって生じる通電圧である。
 MCFCのアノード側での反応をとり上げると、そこではH2やCOの酸化反応とH2OやCO2の生成反応が起こる。しかし、ここでは便宜上H2の酸化反応のみを考えると、アノード側での反応が起こる過程には少なくとも次の2つの段階がある。
 @ 供給されたH2が電解質に溶解して、電極表面に移動し、吸着される過程
 A 吸着された水素(原子状?)が、電極に電子を放出(放電)する過程
 Aの水素(原子状?)が放電してH+を生成する過程が活性化の過程に相当し、この過程の速度に起因して生じる過電圧が活性化過電圧である。
 また、@の速度に対してAの速度が充分遅い場合、この反応の速度はAによって決定されるため、Aの過程を律速段階といい、活性化過電圧がこの反応における過電圧を支配する。(抵抗過電圧を除く)。
 

カレントコレクタ (current collector:かれんとこれくた)
集電板と訳される。電極とセパレーターの間の電気的な接触をよくするために用いられている。

ガス拡散性 (gas diffusibility:がすかくさんせい)
 燃焼電池で使われる多孔質電池の内部に反応ガスが供拾される際にガスの移動(拡散)の難易度を言う。多孔質電極の場合ガス拡散性は電位の気孔率が低く細孔径が小さいほど悪くなる。電極の細孔内に保持される電解質量が多すぎる場合も拡散が阻害される。ガス拡散性は電極性能の指標の?つでありこれが悪いと電池性能が低くなる。
 細孔内の拡散には通第の分子拡散の他に拡散成分の平均自由工程は(λ)に比べて細孔径(γe)が小さく細孔内壁と分子の衝突が支配的になった次式で示されるようなknudsen拡散とがある。

 Dk=4/3・ γe√(2RT/πM)= 9700γe√(T/M)

γe;細孔半径(m), T;温度(K), M;拡散成分の分子量
R;気体定数(8.314Jmol-1K-1).Dk;Knudsen拡散係数(u/s)

 〔出典〕化学工学便覧.丸善(1975)

ガス交差混合 (gas cross over:がすこうさこんごう)
 燃料電池内で燃料ガスと酸化剤ガスが電解質板を通して、相互に混合する現象。ガスクロスリーク、ガスクロスオーバーまたは単にガスクロスともいう。
 
 MCFCの場合は、電解質板の割れや耐差圧特性*の低下により燃料ガスと酸化剤ガスとが交差混合*して、セル性能が低下する。交差混合を防止するためには、電解質板の強度および耐差圧特性を向上させることが重要である。

ガス透過法 (gas permeance method:がすとうかほう)
 電解質板の一方側にガス圧力を加えて、他方側に流れ出すガス流量を測定する方法をいう。

 MCFCの場合は、電解質板の耐差圧特性*やセルのガスクロスを測定する際に適用される。

ガス利用率 (gas utilization:がすりようりつ)
 反応ガス利用率*あるいは単に利用率と呼ばれる場合もある。MCFCでは燃料利用率、空気利用率(酸素利用率)、二酸化炭素利用率がある。ここでは、燃料利用率を解説する。
 燃料電池で燃料から電気に変換される電気量は、ファラデーの法則によって決定される。MCFCでは天然ガスから石炭ガスまで多様な燃料が使用可能であるが、電池内部で大部分が水素として反応していると考えられ、その反応式は次式で示される。
     H2+CO32-=H2O+CO2+2e       (1)
よって、理論的には水素1モルあたり2×96500クーロンの電気を得ることができる。しかし、実際には理論電気量の全てを取り出すことは難しく、これより小さい電気量しか発電しない。電池セルに供給した燃料量のうち発電に利用された燃料量の割合を燃料利用率と呼び、次式で定義される。

燃料利用率(%)=実際に発電に使用した燃料量/供給した燃料量×100 (2)

  単位時間当たりでは、ファラデーの法則を用いて、

燃料利用率(%)=電流(A)/2/96500(C/mol)×22.4(l/mol)/供給した燃料量(1/sec)×100 (3)

 燃料利用率100%とすると、1Aの電流を得るためには、6.97ml/min(0℃, 1気圧)の水素が必要になる。
 一般的に,MCFCでは天然ガス燃焼の場合、排ガスを天然ガスの改質に利用するため、燃料利用率は80〜85%と言われている。また、石炭ガス燃料では、改質する必要がないため、燃料使用率をある程度高めた方が発電効率が高くなることから90%以上と言われている。しかし、あまり高く燃料利用率を設定すると、電池電圧が著しく低下するため、燃料利用率と電池電圧の積である発電効率は逆に低下する。

空気利用率ネルンストロス
気孔形成剤 (pore forming agent:きこうけいせいざい)
 MCFCの電解質板および電極は、電解質の保持および電気化学反応面積の確保のために多孔質構造である。気孔形成剤は、電解質板および電極の多孔質構造を形成するために、製品成形時に添加する物質である。一般に、電解質板および電極は薄板状に成形され、その成形方法も種々試みられている。例えば、泥しょう鋳込み、ドクタープレード法のように鋳込み成形、可塑成形、加圧成形等がある。気孔形成剤としては、発泡剤*のような物質や一般に結合剤*と言われるように無機あるいは有機質添加剤がある。製品の成形方法により、使用される添加剤は異なる。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)

結合剤
気孔率 (porosity:きこうりつ)
通常、ポロシティーと呼ばれる。
材料(焼結体)の緻密度を気孔(ポアー)に注目した場合の表示法。焼結体が閉じたポアーVc , 開いたポアーVoおよび固体の体積Vsにより捕成されていると全ポロシティーは

εt=(Vo+Vc)/(Va+Vo+Vc)=1-ρbulk/ρs

となり、見かけのポロシティーは

εt=Vc/(Va+ Vc)=1-ρapp/ρs

となる。ここで、ρbulkはかさ密度、ρsは真密度、ρappは見かけの密度である。焼結体の体積の構成成分、網点は密度を求めるときに対象となる体積を示す。
 〔出典〕セラミックス, vol.19, p520, 日本セラミックス協会(1984)

 燃料電池の電位として用いられるNi焼結体では、その気孔率はアノード用としては60%、カソード用としては70%程度である。


ポロシティー
空気利用率 (air utilization:くうきりようりつ)
 空気利用率は、燃料電池に供給された空気に対する発電に利用された空気の割合である。発電には空気中の酸素が使用されるため、酸素利用率とも言う。
 MCFCのカソード反応の反応式は次式で示される。
1/2O2十 CO2十2e-= CO32-
 カソード反応で消費される酸素量および 二酸化炭素量と発生する電気量の間には、ファラデーの法則が成り立ち、理論的には2×96500クーロンの電気を得るためには酸素1/2モルとニ酸化炭素1モルが必要である。しかし、実際には発電に伴い電池から発生する熱を除去するため、理論ガス量以上の空気を電池に供給する。供給した空気中の酸素量のうち発電に利用された酸素量の割合を酸素利用率と呼び、次式で定義される。

酸素利用率(%)=実際に発電に使用した酸素量/供給した酸素量×100 (2)

 単位時間当たりでは、ファラデーの法則を用いて、

酸素利用率(%)=電流(A)/2/96500(C/mol)×22.4(l/mol)/供給した酸素量(1/sec)×100 (3)

  酸素利用率100%とすると、1Aの電流を得るためには.3.48ml/minの酸素が必要になる。
  同様にして、二酸化炭素利用率も次式で定義される。

二酸化炭素利用率(%)=実際に発電に使用した二酸化炭素量/供給した二酸化炭素量×100 (4)



二酸化炭素利用率(%)=電流(A)/2/96500(C/mol)×22.4(l/mol)/供給した二酸化炭素量(1/sec)×100 (5)

 二酸化炭素利用率100%とすると、1Aの電流を得るためには.6.97ml/minの二酸化炭素が必要になる。
 MCFCではカソードを冷却に利用するため、80%以上に設定される燃料利用率に比較して空気利用率は低く50%以下である。

ガス利用率
クラッド (clad:くらっど)
 機能の異なる金属体同士をはり合わせることをクラッドといい、双方の機能を利用した合坂をクラッド材という。高強度ではあるがさぴやすい金属体の表面に、強度はあまりないがさびにくい金属体をはり合わせて被覆することにより、耐食性の良好な高強度材を得ることがでさる。きせ金法ともいう。
 タラッド鋼板(clad?steel plate)は、?般普通鋼と他の金属とを合わせたものであるが、その2種金属間の接着力は非宮に強く、従来の溶接板や鍛接板とまったく性質を異にしており、単一金属のごとく加工性の良い、構造用鋼をも兼ねた鋼板である。ステンレスクラッド鋼は、一般には、普通鋼板をステンレス鋼板ではさみ、普通鋼の耐食性を改善したものである。その他、普通鋼板とアームスブロンズ、モネル、ニッケル、チタニウム、ハステロイ、鋼でクラッドした鋼板などが知られている。
 クラッド鋼の製造方法としては、爆発圧着法(合せ材を爆薬の爆発圧力で母材に接合させる方法)、爆着圧延法(合せ材を母材に爆発圧着後熱間圧延する方法)、圧延法(合せ材を母材に重ね合わせて圧延する方法)、肉盛圧延法(合せ材を母材に溶接圧延した後、熱間圧延する方法)、肉盛法(母材に溶接肉盛する方法)等がある。
〔出典〕鉄鋼便覧, 丸善(1962)

 MCFCでは、燃料ガスおよぴ酸化ガスの両方に接するセパレータ材として、Niの片側にステンレス鋼板をクラッドしたNi/ステンレス(SUS316, SUS310S)クラッド材が使用されている。


セパレータ
クリープ (creep:くりーぷ)
 広義のクリープとは、固体材料に力を加えるとき時間とともに変形が進む現象をいう。狭義のクリープは、一定温度のもとで一様断面の棒状試験片に一定引張荷重を加えてそのまま放置するとき、図のような曲線を描いて伸びが退行することをいい、試験片はついに破断(rupture)する。このような曲線をクリープ曲線とよぶ。
〔出典〕金属便覧, 丸善(1982)

 MCFCにおいてはアノードクリープのことを指すことが多い。MCFCは600〜650℃で作動し、隣接する部材間の接触抵抗を低減させるために約2kg/?の面圧がかけられている。そのためアノードが徐々に圧縮変型して気孔率が低下し、これがMCFCの寿命の原因に一つになる。この現象はアノードのクリープと呼ばれ、多孔質体の圧縮クリープ*であり、上述の広義のクリープに属する。アノードのクリープ変形量(ε=-Δ?/?o)は、面圧に比例し、時間の対数に比例することが多い。



圧縮クリープ耐クリープ性
蛍光X線法 (X-ray fluorescence analysis, X-ray fluorometry:けいこうえっくすせんほう)
  X線分光分析法の代表的なもので、蛍光X線のスペクトルによる元素分析法をいう。試料中の元素の特性X線を得るために。電子流の代わりにX線管からの一次X線を用い、これを試料に照射して元素からX線を放射させる(蛍光X線)。これを分光結晶およびX線検知管を備えたX線分光計によって各波長ごとに分光し、Xスペクトルを得る。そして、X線の波長から定性分析を、ピークの高さ(X線の強度)から定量分析を行う。本分析法は、試料を塊状または板状のままで分析を行うことができ、しかも分析中に試料を破壊しない、いわゆる非破壊分析法である。また、測定時間も短く、10?15元素を2?3分で分析できるほか、属人的な技能の差が生じない。装置構成図を図1に示す。分光結晶の違いにより、平面結晶を用いる平行法と、わん曲結晶を用いる集中法とがある。一般にX線管球のターゲットとしては、タングステンやクロム、ロジウムが用いられている。
(a)平行法       (b)集中法
図15 けい光X線装置構成図
 蛍光X線分析法を利用してめっき層(または蒸着膜などの薄膜)の厚さを測定することもできる。測定方法は大別して二道理ある。(図16)
(1) めっき層の蛍光X線強度を測定する方法(方法1)
厚さdの膜から蛍光X線強度Idは、層が薄い場合、
  Id=Q1cscθ1ρwiIod (1)
ここで、Q1 :単位質量の分析元素iが入射X線を蛍光X線に変換する割合、θ1:入射X線と試料のなす角度、ρ:試料の密度、wi:試料中のi元素の重量濃度である。このように、厚みと強度とが直線関係になり、これにより厚み測定を行なうことができる。また、めっき金属が合金でない場合、Idと厚みがX線的にみて∞となったときの強度Ioの比をとれば、
  Id/Io=1-1-exp(-aiρid) (2)
∴-2.303log(1- Id/Io)= aiρid (3)
となり、aiρi(ai:)が既知ならば十分厚みのあるめっき層の蛍光X線強度を測定して、それとの比をとることにより標準試料なしに厚みを推定することができる。
図16 けい光X線によるメッキ層の厚さ測定法の原理図
(2) 下地金属の蛍光X線強度を測定する方法(方法2)
下地金属の蛍光X線を考えた場合、めっき層の厚みがdの時の強度Idと0のときの強度Isは、以下のような関係にある。
      Id=Isexp(-awρd)                      (4)
したがって厚みが増すにつれて強度は減少するが、その減少量は薄いところではほぼ直線的である。一般には、片対数のグラフによる検量線を作製し、Idの測定からdを求める。
〔出典〕X線分析, 共立出版(1968)

結晶形 (crystal form:けっしょうけい)
 結晶の示す外形をいう。理想的にはその結晶独自の対称性をもつ幾何的形態であって、ふつう結晶面によって囲まれている。
同一物質の結晶の外形は、結晶が成長するときの種々の条件で定まり、条件の差によって結晶形の変化が現われる。結晶学的同価な面の発達の差異によって変わるいろいろな結晶形を晶癖(habit)といい、結晶学的同価でない各種の面の組合せ方の差異で生じた特定の結晶形を晶相という。また、同一の化学組成をもちながら、異なる結晶構造をもち、異なる結晶形を示す現象、またはその現象を示すものを多形(polymorphism)といい、同質多形、同質多像、同質異像ともいう。
 結晶形を異にする原因は主に温度、圧力であるが、そのほかの物理的、化学的条件によっても支配される。多形間の転移には、配位関係は変わらずに結晶の対称性だけが変化する転移と、結晶構造が本質的に変わる再編成転移とがある。また、可逆性の相違により互変とに区別される。〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1978)

 MCFCにおいては、例えば、電解質板のマトリックス材として用いられているリチウムアルミネート(a-, β-, γ-LiAlO2)の多形が電解質板基板の細孔分布特性、電解質保持*力等に影響を与えることが懸念されるので、その結晶形の経時的変化も含めてそ因果関係をあきらかにしておく必要がある。
なお、結晶形という言葉を晶癖のないものに限って用いることもある。


結合剤 (binder:けつごうざい)
 結合剤とは、異種物質を固着させる物質の総称であり、成形体の生強度を高めると同時に塑性混合物の成形性を増加させる。しかしながら、MCFC部材を成形する際においては、通常、電解質板および電極の構造粉体と添加剤とを混練して保形性を付与し薄板状成形を可能すると同時に、加熱等による脱脂工程を経た後に形成される空隙を部材の微細構造として利用する。空隙容量、構成粉体の配置は発泡剤*(または気泡剤)などよりも結合剤の方が容易に調整できるので、製造技術に関する面から言えば、一般的に結合剤を気孔形成剤*と呼んでいる。添加剤の種類、添加量および混練の程度により形成される多孔質構造(孔径、孔径分布など)を任意に調整することができる。

結合剤の種類としては、次のようなものがある。

1. 水系: ポリビニルアルコール      2. 非水系: ニトロセルロース
      アクリル系ポリマー              ポリエチレン
      エチレンオキサイドポリマー          ポリアクリル酸エステル
      メチルセルロース               ポリビニルアルコール
      ヒドロキシルエチルセルロース         ポリビニルブチラール
      イソシアネート                ポリメチルネタクリレート

〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)
    化学便覧,  丸善(1986)

発泡剤気孔形成剤
限界電流密度 (limiting current density:げんかいでんりゅうみつど)
 一般に、電極反応は、その反応の場における反応物の吸着、解離、電荷移動や、この場の近傍における反応物、生成物の移動等、多くの連続した過程からなっている。各過程の速度は、その過程の平衡状態(電流が0の状態)からのずれの程度(以後非平衡度という)が大きくなるほど速くなるが、この非平衡度の程度と速度の大きさの関係は、個々の過程により異なる。定常的に電流が流れている時は全ての過程の速度は同じであるので、容易に進行する過程の非平衡度は僅かであるのに対し、そうでない過程の非平衡度は大きい。ここで電流密度、すなわち電極反応速度を大きくしていくと、特に容易に進行しない過程の非平衡度は非常に大きくなり、ついには物理的限界に達する。すなわちこれ以上の電流密度*をとることは不可能となるが、このような電流密度*を限界電流密度という。

 この値を決定するのは連続する全ての過程のうち最も進行が容易でない過程(これを律速過程という)であり、MCFCにおいては反応に関与するガスの液相または気相における拡散の過程が原因となる。
 例えば液相中の溶存ガスの拡散過程が律速となる場合、反応の進行している固液界面とガスの溶存過程が進行している気液界面との間で濃度勾配が大きくなり、ついに固液界面における溶存ガスの濃度がゼロになった時が限界電流密度となる。なお、この値はガス組成、ガス利用率*、電極構造、電解質量等により大きく変わる。

原子吸光光度法 (atomic absorption spectrometry:げんしきゅうこうこうどほう)

 遊離基底状態の原子が同種の元素から放射された特定波長の光(主として共鳴線)を吸収する現象が原子吸光であり、試料成分を原子蒸気にかえ、分析元素に固有の波長において、その蒸気の吸光を測定する元素分析が原子吸光分析法であり、原子吸光法あるいは原子吸光光度法ともいう。
 測定される吸光度は、その元素の濃度に比例するので、濃度既知の標準試料について同じ実験条件で測定した吸光度と比較することにより目的元素が定量される。最も普通に用いられる原子化法は1500?3000℃の温度を与えるフレームあるいは電子加熱炉である。このような温度での原子蒸気中では大多数の原子は基底状態の中性原子として存在する。これに分析元素に固有の波長の光を照射すれば、大部分の原子は光吸収を起こすことになる。光源としては、分析元素のスペクトル線を発光する中空陰極ランプ、無電極放電ランプなどが用いられる。フレーム原子化法の原子吸光分析装置の概略図を図に示す。試料溶液を噴霧器で霧状にしてフレーム中に導入する。通常は空気-アセチレン炎を用いるが、原子化しにくい元素には一酸化二窒素-アセチレン炎を用いる。光源からの原子スペクトル線が試料の原子蒸気に照射され、その透過光は、分光器を経て分析線だけが光電子増倍管で受光され電流に変換され、その出力がディジタル表示あるいは記録計によって測定される。

 原子吸光分析法は、試料が少量ですみ、測定感度も高い。また、スペクトル構造が単純で操作が簡便迅速であり、選択性と正確さが良好であるなどの特長を有しており、金属元素の高感度測定のための優れた方法である。しかし、試料によっては分光学的干渉や化学干渉があるので、適当な対策を講じる必要がある。
〔出典〕化学大辞典, 東京化学同人(1989)
    分析化学実験ハンドブック, 丸善(1987)

元素分析 (element analysis:げんそぶんせき)
 対象物質に含まれる成分=元素の定性あるい定量分析のことであり、物質内での結合状態、形態、分布等を問題にしない。
 
 MCFCに関連する材料においては、電極、電解質やセパレータなどの構成元素、不粋物質の分析が行われるが、化学分析(湿式分析)の他に、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析*法や、原子吸光分析法などが、適宜選択されて用いられている。

減肉厚さ (thickness loss:げんにくあつさ)
  腐食に伴う試験片材料の減少の程度を表し、腐食層の厚さに相当する。
  減肉厚さは次式によって求められる。
    減肉厚さ=1/2(t0-t1)
    ここで、t0は試験前の試験片の厚さ
        t1は試験後の試験片の厚さ
 通常、腐食試験片の断面を顕微鏡で観察してt1を測定し、減肉厚さを求める。MCFC用セパレータ等の材料は厳しい腐食環境にさらされるため、高耐食性材料が要求される。特に、これらの材料の腐食量の増加は炭酸塩電解質の消耗量の増加を招き、また高抵抗酸化物スケール層も成長し、電池性能および電池寿命に直接影響を及ぼす。
そのため、材料の耐食性の評価は極めて重要であり、その評価には浸漬、塗布および分極下腐食試験*法などが用いられている。
減肉厚さはその評価指標の一つである。
〔出典〕 「超高温高圧ボイラの過熱器・再熱器官における石炭燃焼灰腐食の研究」
    vol.26, No.3, 日本学術振興会(1985)

コール・コールプロット (Cole-Cole plot, complex impedance diagram:こーるこーるぷろっと)
 電気化学の分野では、交流インピーダンス法でよく用いられる表示法である。
いま、腐食系において図1のような電気的等価回路を考えた場合、この回路の合成インピーダンスは次式で表される。

      _Cd_
     |    |
 -Rsol-      −    (雰囲気でわかってほしい図1)
     |_Rc_|     

Z=Rsol+Rc/(1+ω^2Cd^2Rc^2)-jωCdRc^2/(1+ω^2 Cd^2Rc^2) (1)

   Cd:電気二重層容量
   Rc:電荷移動抵抗
   Rsol:液抵抗

 一方、一般に電気化学において測定されるインピーダンスは、その実数成分Reと虚数成分Imとに分けられ、次式のように表される。

   Z=Re+j Im                            (2)

=Re-j Im' (Im’=-Im) (3)

(1)式と(3)の実数部、虚数部とをそれぞれ比較すると、次の関係が得られる。

Re-Rsol=Rc/(1+ω^2Cd^2Rc^2)   (4)

Im'= ωCdRc^2/(1+ω^2 Cd^2Rc^2) (5)

(4)式および(5)式の両辺を2乗したのち、加え合わせれば、次式が得られる。
{Re-(Rsol+Rc/2)}^2+(Im')^2=(Rc/2)^2 (6)
(6)式から明らかなように、横軸にインピーダンスの実数成分Re、縦軸に虚数成分Im'(=-Im)をとって表示すると、((Rsol+Rc)/2, 0)を中心とした半径Rc/2の半円となる。このように表された図をコール・コール(Cole-Cole)プロットという。コール・コールプロットにおいて、周波数無限大における抵抗値はRsolを、周波数ゼロにおける抵抗値は(Rsol+ Rc)を表す。さらに、Im'が最大となる時の角速度ωmax(ω=2πf:fは周波数)とCd, Rcとの間には次の関係がある。

ωmax=1/(CdRc)            (7)

〔出典〕vol. 23, p19, 1984, 日本金属学会報

高圧水アトマイズ法 (high pressure water atomization:こうあつすいあとまいずほう)
 水ジェットによって融体を粉化する方法は水アトマイズ法(水噴霧法)と呼ばれ、とくに高圧水ジェットを用いる方法は高圧水アトマイズ法と呼ばれる。噴霧方式はジェットの幾何学的形状によってV型、円錐型(コーン型)等に分類される。水ジェットは冷却効果が大きいため、融滴が分裂あるいは再衝突時の状態で固化し、不規則形状粒の粉末が得られる。  〔出典〕金属便覧, 丸善(1990)、R&D 神戸製鋼技報, vol.40, (1990)
 MCFCにおいては、アノード、カソードの原料合金粉としてこの方法で製造される粉末が用いられる場合もある。
 

交換電流密度 (exchange current density:こうかんでんりゅうみつど)
 電極上における電荷移動過程はみかけ上、反応物を消費し生成物を生成する一方向に進行しているが、実際にはこの方向(以後順方向と呼ぶ)と逆に生成物を消費し反応物を生成する方向(以後逆方向と呼ぶ)との両方向の反応が生じており、これらの差が見掛けの反応になっていると考えられる。これを式を用いて表すと、
  i = if  - ib
  if = io× Cf / Cf0×exp(η×A1)
  ib = io× Cb / Cb0×exp(-η×A2)
 ここで、iは全体の電流密度*、if , ibそれぞれ順方向、逆方向の電流密度*、Cf , Cbはそれぞれ反応物、生成物の濃度、ηは過電圧、A1, A2は正の数である。また添字eは平衡状態(η=0の状態)における値を表す。
 上式から分かる通り、順方向、逆方向の電流密度は過電圧ηに依存するが、平衡状態においてはいずれもioとなり、その結果全体の電流密度iは0になる。このioを交換電流密度と呼ぶ。ioは上式に示すように、反応の進みやすさを表しており、ioが大きい程電荷移動過程は速やかに進む。

 カソードにNiO、アノードにNiを用いている現在のMCFCにおいては、アノードに比べてカソードのioが一桁低いといわれており、これが大きな性能制約要因になっている。なお、ioはガス濃度の関数である。

交流インピーダンス測定 (alternating current impedance measurement:こうりゅういんぴーだんすそくてい)
 分極抵抗*測定法の一種である交流インピーダンス法は、いわゆる電気化学的非定常測定法の1つである。定常法が、直流電圧を金属に印加し、それにともなう電流変化を測定する方法であるのに対し、非定常法は、一般に金属をアノード、カソード方向に交互に分極する方法で、一方向の分極電位も小さく分極時間も長くないので、分極にともなう金属表面状態の変化をごく小さくできる。
 抵抗体のように、荷電体が比較的自由に動け、その蓄積の起こらない系に正弦波の交流電圧を印加した場合、電圧と電流は同一位相の正弦波となり、その抵抗は電圧と電流の比で表される。これは、直流電流の場合とまったく同じである。
 しかし、電荷を蓄積する要素(例えばコンデンサー)などを含む系に正弦交流電圧を加えると、図1のように、電圧と異なった位相の正弦波電流が流れる。いま、ある系に微少振幅をもった正弦交流波ΔE(jω)=|ΔE|exp(jωt)を重畳(ちょうじょう:いくつもかさねること)すると、電流値も同じ角速度ωを持ち、電圧とは位相のずれた交流成分ΔI(jω)=|ΔI|exp{j(ωt-φ)}が重畳されて観測される。この時のΔE/ΔIの比とインピーダンスZ(jω)と呼ぶ。
  Z(jω)=ΔE(jω)/ΔI(jω)
     =|ΔE/ΔI|exp(jφ)
=|Z|(cosφ+j sinφ)
=Re(Z)+j ・ Im(Z)                         (1)
 ここで、
 |Z|=|ΔE|/|ΔI|=a
 Re(Z)=a・cosφ, Im(Z)=a・sinφ
得られたインピーダンスは、実数部と虚数部とからなる複素量として記述されたり、周波数特性で記述され、これらはそれぞれ、コール・コール(Cole-Cole)プロット*(あるいは複素平面プロット), ボード線図*(あるいはボーデ線図)と呼ばれる。
 電極反応は、一般には多くの素反応(放電過程、拡散、界面反応など)からなるが、もし放電過程が遅い場合、(全反応速度が放電速度で律速され)電極インピーダンスは電気二重層容量と放電抵抗の並列結合で記述できる。しかし、放電過程が早い場合は、反応物質の界面濃度が変化し、それが放電速度に影響する。また、交流分極は界面濃度を周期的に変化させ、それが界面抵抗・容量(ワールブルグインピーダンス)の原因となる。後者を電気素子回路で表わすと図2のようになり、このような回路のことをその電気化学系の等価回路*モデルという。
交流インピーダンス法は、電極インピーダンスの周波数変化を測定するが、それによって電極系の動的特性に関する情報(反応速度論的パラメータ)を得ることができる。そのため、この方法は金属のアノード溶解、腐食、電析、電池等の電荷移動や物質移動現象を解明するための有力な手段となっている。
〔出典〕vol. 23, p19, 1984, 日本金属学会報

ボード線図
交流4端子法 (electric conductivity measurement by AC 4 probes method:こうりゅうよんたんしほう)
 物質の導電率の測定方法の一種である。
 2つの端子が電流を試料に加え、残り2つの端子でその端子間の電位を測定する。2端子法では試料につなぐリード線の抵抗が測定値に含まれてしまうが、4端子法では除去できる。

2端子法
コジェネレーション (co-generation:こじぇねれーしょん)
廃熱を用いて発電を行うこと。
溶融炭酸塩形燃料電池では650℃の廃熱が得られ、これをつかってスチーム発電を行い、総合効率を80%まで高めることが検討されている。

コニカルカップ試験 (conical cup test:こにかるかっぷしけん)
 引張試験*だけでは評価できない特性である材料の成形形態への適用性を判断するための成形性(加工性)試験の一つである。主として薄板を対象として実施されており、JIS Z 2249に規格化されている。試験方法は、開き角度60度の円錐ダイスと球底ポンチを用いて所定の寸法の試験片を絞るもので、ダイス面での絞りとポンチ部での張出しの複合成形性が評価できる。ポンチ部で割れが生じたときのカップ(ダイス面絞り部)の外径寸法(mm)の最大と最小の算術平均値をコニカルカップ値と呼び、この値で材料の複合成形性を評価する。
〔出典〕鉄鋼便覧, 日本鉄鋼協会(1981)

引張試験
固有抵抗 (characteristic resistance:こゆうていこう)
 部材の電気抵抗をいう。
 燃料電池を構成する部材の中で電気が流れる部分は、電池の抵抗損失による性能低下を最小限にするために電気抵抗ができるだけ小さいことが望ましい。各構成部材の固有抵抗を測定することが電池性能を把握するために重要である。MCFCの場合は、電解質板や酸化剤ガス側のセル部分が比較的電気抵抗が大きいため、薄膜化等の改良により性能向上を図っている。

コンポーネント (component:こんぽーねんと)
 電池(cell)またはその積層体(stack)を構成する部品材料の総称。
 電池の種類、形式により種々の名称、分類が存在するが、燃料電池の場合一般的には基本単位であるセルを構成する電極(アノード、カソード), 電解質部(電解質, 電解質保持材料など、タイルと呼称されることもある), 燃料および酸化剤の供給と電流取り出し用の部品(セパレータ, インターコネクターなど)を意味する。
この他アノード、カソードガスの混入を防ぐ目的でバブルバリアと称するものを、通常はアノード電極とタイル間に挟み込む。
 更に、電池内部でガス改質を行う場合には、このための機構もコンポーネントの一部と見なせる。
 MCFCの主なコンポーネントの一般的な材質と要求される主な性質は下記の通り。

 電極
  アノード
   材質:Niおよび添加物(Cr, Al)
   性質:水素酸化反応活性、高温下の耐クリープ性*、耐シンタリング性、導電性

  カソード
   材質:NiO(添加物を加える場合もある)
   性質:酸素還元方法(炭酸イオン生成反応)活性、炭酸塩への耐溶出性、導電性

  電解質保持材または保持部分
   材質:LiAl O2(添加物を加える場合もある)
炭酸塩(Li塩、K塩、Na塩)
   性質:電解質保持能力、形状安定性(長時間、炭酸塩浴中)

  セパレータ
   材質:ステンレス鋼または高ニッケル鋼
   性質:耐腐食性、導電性、ガス流量配分性能


[さ]

サーマルサイクル (thermal cycle:さーまるさいくる)

熱サイクル
細孔径分布 (pore size distribution:さいこうけいぶんぷ)
 粉体、多孔質体の吸着および触媒反応はその細孔内で行われるため、その特性は細孔容積と細孔半径によって決まる。燃料電池の電極反応も同様で、電池性能を決める電極特性は電極板の細孔分布によって影響を受ける。細孔が円筒状であるとすると、平均細孔径rは全細孔容積Vpおよび表面積Sとr=2Vp/Sの関係式で表わされる。しかし実際には細孔径は単一ではなく、種々の半径の細孔が混在している。細孔半径に対するそれぞれの細孔容積の関係を細孔分布という。電極板は、ガス拡散用の比較的大きな細孔(10から20μm程度)と反応サイトとなる小さな細孔(1μm以下)の大小2つの細孔径でそれぞれピークをもち、二様性の細孔構造を有することが望ましい。おもな細孔分布測定法としては吸着等温線を用いる方法と水銀ポロシメータ*を用いる水銀圧入法がある。
  〔出典〕化学大辞典, 東京化学同人(1989)

水銀ポロシメータディラトメータ
酸化ニッケル (nickel oxide, NiO:さんかにっける)
NiO ニッケルの酸化物。岩塩型構造。
 溶融炭酸塩形燃料電池において、酸素を還元する電極として用いられている。溶融炭酸塩電解質中のリチウムイオンが結晶中に入り込むと、電気的中性を保つためニッケルイオンは2価から3価となる。この3価と2価のニッケルイオンの電子の受け渡しにより酸化ニッケルは高い導電性を持つ。
 酸化ニッケルは二酸化炭素と反応して、ニッケルイオンが溶融炭酸塩電解質に溶け出してしまうことがわかっている。溶けだしたニッケルイオンはアノード側に拡散してゆき、還元雰囲気のため金属ニッケルに還元される。このような金属ニッケルが次第につながり、電池を短絡させてしまうことが問題となっている。短絡が始まるまでの時間は、溶融炭酸塩電解質へのニッケルイオンがとけ込む量、すなわち溶解度に反比例している。このため、ニッケルイオンの溶解度を減らすこころみが種々なされてきた。溶解度は、塩基性酸化物の酸化ニッケルが酸である二酸化炭素と反応して起きる酸性溶解である。このため溶解度は、溶融炭酸塩電解質の塩基性が高ければ低下する。溶融炭酸塩電解質の塩基性を高めるためにアルカリ土類金属炭酸塩の添加が有効であることがわかってきている。

カソード
参照極 (reference electrode:さんしょうきょく)
参照電極、リファレンスとも呼ばれる。
ある電極の電極電位*を測定するために、その電極と組み合わせて電池を作るのに用いる電極で、電極電位の相対値を測るときの電位の基準となる電極の総称である。
参照極は、その電極電位が安定で再現性の高いものでなければならない。そこでMCFCの場合には、AuあるいはNiO(リチウム化した酸化ニッケル)電極(安定性を考慮すると表面積の大きい多孔質電極が望ましい)とカソード雰囲気ガス(空気:CO2=70:30またはO2:CO2=33:67)を組み合わせたものがよく用いられる。O2とCO2を用いた場合、カソードの平衡電極電位は、参照極に対して、ほぼ-50mVとなる。


単極電位
集電板 (current collector:しゅうでんばん)
 電極と回路の電気的接触をよくするために用いられるつなぎ。
 集電板は、アノード側にニッケル、カソード側にステンレス系の穴空板などを用いており、セパレータと電極の間の電気的接触をよくする目的で用いられている。

焼結 (sintering:しょうけつ)
 粉体を融点以下あるいは一部液相を生ずる温度に加熱した場合に焼き締まってある程度の強度をもつ固体になる現象。金属加工とくに粉末冶金、サーメットや各種窯業製品の製造に広く応用されている。
 昇温速度、温度、保持時間、雰囲気等が焼結条件の因子となる。
 
 MCFCにおいては、電極に多孔質焼結体が用いられている。例えばカソードには通常Ni焼結体が用いられるが、これは純Ni粉末(インコネル#255, カルボニル粉)をドクターブレード法で成形し、脱バインダー後、H2雰囲気中、800〜1000℃に加熱、焼結して製造されている。
 〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1981)

衝撃試験 (impact test:しょうげきしけん)
 一般に硬い材料は脆く、柔らかい材料はねばい。このような材料の靱性を評価する手法。狭義には切り欠き衝撃曲げ試験をいう。試験法にはシャルピー試験法とアイゾット試験法があるが、金属材料はシャルピー試験法で評価するのが一般的。試験片の一面にV字型やU字型の切り欠きをいれ、反対面に振り降ろされたハンマーを衝突させて試験片を曲げ破壊させる。破壊時のハンマーの落下エネルギーの一部は試験片の破壊エネルギーとして吸収されるため、最初のハンマー振り上げ高さと試験片を破壊した後の振り上げ高さの位置エネルギーの差から破壊に使われた吸収エネルギーを算出する。
シャルピー衝撃試験では、吸収されたエネルギーを試験片の断面積で割った値をシャルピー衝撃値(kg f・m/cm2またはJ/cm2)とし、アイゾット衝撃試験では吸収されたエネルギーをそのままアイゾット衝撃値としている。脆い材料では衝撃値が小さく、ねばい材料では大きい。
MCFCでは特に衝撃力が加わるところはないが、材料の加工性を判断する目安にはなる。

侵食深さ (penetration depth:しんしょくふかさ)
腐食に伴う試験片の健全部の減少の程度を表し、酸化物スケール層からさらに内層に粒界腐食等で侵食した層までの厚さを意味する。
侵食深さは、腐食試験後の一方の面から発生した腐食先端から対向する面から発生した腐食先端までの健全部の厚さの平均値D(D1'?D4'の平均値)を測定し、その値と腐食試験前の試験片の厚さDから次式によって求められる。

(D0-D)/2

また、最大侵食深さ*は測定したD1の最大値をいう。
 〔出典〕「耐熱合金の高温硫化腐食」, vol.20, No.2, 耐熱材料第123委員会(1979)

 MCFC用セパレータ等の材料は厳しい腐食環境にさらされるため、高耐食性が要求される。特にこれらの材料の腐食量の増加は炭酸塩電解質の消耗量の増加を招き、また高電気抵抗酸化物スケール層も成長し、電池性能および電池寿命に直接影響を及ぼす。そのため、材料の耐食性の評価は極めて重要であり、その評価には浸漬、塗布および分極下腐食試験*法などが用いられている。
最大侵食深さはその評価指標の一つである。

浸漬試験 (immersion test:しんせきしけん)
 材料をその材料が使用される溶液に浸漬し、腐食を調べる試験方法。
淡水、海水、化学薬品を取り扱う装置用材料として使用される金属は、その溶液に浸漬させて腐食の程度を測定するのが一般的であるため、この試験方法がよく用いられる。
 試験片全体を溶液に浸漬する場合は完全試験、一部分を浸漬させる場合は部分浸漬試験または半浸漬試験といい、実際に材料が使用される状態に応じて試験の条件が選ばれる。通常は浸漬した後の試料を洗浄し、腐食生成物を除去した後にその重量を測定し浸漬前後の重量差、及び強度を測定してその耐食性を評価することが多い。
また、腐食に限らず、材料の化学的安定性(反応生成物の有無等)、及び物理的安定性(比表面積*変化等)を調べる際にも用いられる。 〔出典〕JIS工業用語大辞典, 日本規格協会(1987)

 MCFCでは、電解質に使用する溶融炭酸塩の腐食性が強く、運転温度が650℃と高いため、セパレータの耐食性が電池寿命を決定する重要な因子となっており、セパレータ材の選定、腐食処理の効果等を把握するのに用いられる。他の構成材料についても耐溶融塩性*調べる際は浸漬試験等により評価する。


時効 (ageing, aging:じこう)
 鋼等の性状が時間と共に変化する現象をいう。または、この種の変化を促進させるために適当な熱処理を施すことを指すこともある。

水銀ポロシメータ (mercury porosimeter:すいぎんぽろしめーた)
 水銀圧入法より多孔体の細孔分布を測定する装置のことで、適当な高さの圧力を発生する装置と細孔中に入った水銀量と圧力を同時に測定する装置を備えている。水銀は通常固体をぬらさないので細孔間に侵入するようになる。

     r >2γ・|COSθ|/P

 ここで、細孔は円筒型であると仮定し、γは水銀の表面張力、θは接触角である。真空引きした試料を水銀に浸し、水銀にかける圧力を増していくと、水銀は大きい細孔から順次小さい細孔へと侵入していく。侵入量と圧力との関係を実験で求める。半径rとr+drとの間の細孔の全体積をdVとし、細孔分布関数をD(r)で表すと、D(r)は

     dV=D(r)・dr

 で定義される。従って、分布関数は

     D(r)=(P/r)・(dV/dP)

 となり、実験で求めたdV/dPを用いて分布関数を求めることができる。
細孔径にたいして細孔容積の差分量(%)をプロットしたものを相対孔径分布曲線*と呼び、細孔径にたいして細孔容積の積分量(%)をプロットしたものを孔径累積分布曲線*と呼ぶ。
 〔出典〕標準化学用語辞典, 丸善(1991)

細孔径分布
水蒸気改質 (steam reforming:すいじょうきかいしつ)
 炭化水素と水蒸気を反応させ水素を製造するプロセスを水蒸気改質(スチームリフォーミング)という。
Cm-Hn十mH2O→mCO+(m+n/2)H2             (1)
本反応は吸熱反応であり、反応熱はメタンの場合49.27kcal/mol-CH4とかなり大きい。
実際にリフォーマー(改質器)では、上記の反応のほかに、下式に示すシフト(変成)反応なども同時に起こっているが、これらの生成物の組成は、温度、圧力および入口ガス組成からほぼ平衡論的に定まる。
 CO十H2O→CO2+H2                   (2)
スチームリフォーミングは、水素やアンモニア合成ガス、メタノール合成ガス、オキソ合成ガス、都市ガスなどの製造など、化学工業分野ではすでに確立された技術である。原料としては、天然ガス(メタン)をはじめLPG、ナフサなどの液状炭化水素も広く用いられている。反応器の形式は、各社によって種々のものが開発されているが、基本的にはニッケル系の触媒を充填した金属製の反応管を炉の中に多数並べ、外部よりバーナーで加熱するものである。運転条件は、触媒入口温度が約500℃、出口温度が約800℃、また圧力は5〜40kg/cm2程度のものが多い。
燃料電池のリフォーマーの原理的には同じプロセスであるが、従来の化学工業用では狭い負荷帯域の中でほとんど一定負荷で運転されるのに対し、大幅なしかも瞬時の負荷応答が要求されている。またとくにオンサイト型の場合、設置スペースの関係から極力コンパクト化する必要がある。
これに対しMCFCでは、リフォーマーと燃料電池の作動温度が近いことまた一酸化炭素も水素と同様に燃料として利用できることから、リフォーミングシステムはPAFCに比べ簡略化される。更に、燃料電池内部に改質部を設けた内部改質*型のMCFCの開発も進められている。
なおSOFCでは、作動温度が950℃と高いためメタンがそのまま燃料として使えるとして、リフォーマーを経ず、天然ガスを直接燃料電池に導入する研究も行われている。この場合は、燃料電池内部でのカーボンの析出を防止するため、燃料とともに水蒸気を供給する対策が試みられている。
 〔出典〕プロセス設計シリーズ3, 丸善(1974)

スケール (scale:すけーる)
 材料を酸化性の雰囲気で、高い温度にさらしたとき材料表面に厚く形成した酸化膜をスケールという。

 MCFCでは酸化剤と溶融炭酸塩の相互作用により大抵の金属材料は表面スケールを生じる。スケールは電気抵抗を増大させて、電池性能を劣化させるため耐酸化性のよい材料が必要である。材料の耐酸化性を評価する手段として、酸化前後の重量の変化から酸化の程度を知る方法があるが、この場合スケール中に炭酸塩を巻き込んでいると数値が不正確になる。このため、スケールを除去して腐食(酸化)によって消費された金属の量を求めてやるとよい。スケールを除去することを脱スケールという。

スタック (stack:すたっく)
燃料電池の多くは単一の電池での電圧が1V以下であるため、電圧を高めるために複数の電池を直列につないでいる。とくに平板の電池を積み重ねたものをスタックとよぶ。溶融炭酸塩形燃料電池では250個の電池を直列に積み重ねて1つのスタックにしたものがある。電池の電極面積が1平方メートルを超えるものがあり、これゆえスタックも畳を2m以上積み重ねたような大きなものがある。

セル
石炭ガス化ガス (coal gasified gas:せきたんがすかがす)
石炭の一部を燃焼させ、その熱で不完全燃焼を起こさせ一酸化炭素を多く含んだ可燃性ガスを得ることができる。
石炭ガス化ガスの組成の一例として、水素10.4%、二酸化炭素21.5%、一酸化炭素25.6%、窒素12.5%、水30.0%これに電池に害のある成分として硫化水素0.1〜20ppm、塩化水素10ppmを含むといわれている。
これに水蒸気を加え、溶融炭酸塩形燃料電池の運転温度である650℃においてはシフト平衡に達し、水素が生成するため燃料電池発電に利用できる。
   H2O  + CO = H2 + CO2  

接触角 (contact angle:せっしょくかく)
 ある気相中において、固体面上に液体が図(準備中)に示す関係にある時、固体、液体、気体3相の接触点Pで液体に引いた接線と固体面のなす角のうち、液体を含む方の角をその液体の固体に対する接触角(図中θ)という。
通常、接触角θの大小は固体面の液体による濡れ性*の尺度としてよく用いられ、θ< 90°の場合、液体は固体面を濡らし易く、θ≧90°の場合に液体は固体面を濡らしにくいという。
接触角は固体、液体、気体それぞれにおけるエネルギー的なつり合いで示すことができ、固気界面張力σs、固液界面張力をσi、液体の表面張力をγとすると、次の関係式で示すことができる。

  γcosθ=σs-σi

また、固体の液体に対する付着の仕事をWA,液体の凝集の仕事をWCとすれば、次のようにも示すことができる。

  cosθ=2WA/WC-1

接触角の測定には、固体面上に置いた液滴の形から求める方法、固体に接する液面の湾曲部が水平面になるように固体面を傾斜させた時の傾斜角測定、付着張力の測定がある。
MCFCにおいては、炭酸塩の電極および電解質保持材に対する濡れ性、保持材の指標として用いられる。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)

濡れ性
セパレータ (separator:せぱれーた)
溶融炭酸塩形燃料電池では、電池を積層するために用いられている金属の板。カソードガスにふれる側とアノードガスにふれる側があり、前者はステンレスを、後者はニッケルをもちい、それらを張り合わせている(クラッド)。
 SUS310S、SUS316LとNiのクラッド板が用いられている。
 成分に高価なニッケルの量が多いため、溶融炭酸塩形燃料電池のコストダウンの鍵となっている。

クラッド
セル (cell:せる)
単一の電池を指す。もとは小部屋の意味。溶融炭酸塩形燃料電池でも単一の電池を「単セル」などと呼ぶ(「単」はよけいか)。

スタック
セル電圧 (cell voltage:せるでんあつ)
 電池電圧ともいう。電池より得られる電圧、原理的にはアノード、カソードの電位差である。一般的には負荷(電力)を取り出す際の電圧をさすことが多い。
取り出す電流が増加するにつれて各種の過電圧(分極)が増大するためセル電圧は低下する。燃料電池の場合、起電力は約1V前後であるが、発電時の電圧は0.8V〜0.6Vで運転されることが多い。
過電圧の種類は反応過電圧と抵抗過電圧に大別され、さらに反応過電圧は活性化過電圧*と濃度過電圧に分けられる。
セル電圧(V)は次式で表される。

  V=E-(ηa-ηc+iR)

     E :開回路電圧*
     ηa:アノード側の反応過電圧
     ηc:カソード側の反応過電圧
     iR:抵抗過電圧
運転時の電圧には現在のところ特に基準はないが、電圧の低下分は電池内部でオーム損*などによる熱を発生し、電池温度を上昇させることがあるため極端な低電圧運転では注意を要する。

電流-電圧特性
線膨張率 (coefficient of linear expansion:せんぼうちょうりつ)
 一定圧力のもとで物体が熱膨張するとき、その比率の温度変化に対する割合を示す量で、一般に温度および圧力によって変化する。ふつうは膨張率には体積変化に関する体膨張率α=dV/V 0 dθ(V:体積、θ:温度、V 0 :温度0℃における体積)が用いられるが、固体では長さの変化に関する線膨張率β=dL/L0 dθ(L:長さ、L0:0℃における長さ)が用いられることもある。異方性の物質ではβの値は方向によって異なる。等方性の物質ではα?3βが成り立つ。膨張率の定義として標準にとる体積や長さをV 0やL0とせず、α=dV/Vdθ、β=dL/Ldθのように各温度での体積や長さに対する相対的な比を用いることもある。
MCFCにおいては、セパレータ、電極、電解質等各部材の膨張率が異なると部材間の接触抵抗の増大や電解質の割れなどの原因となる可能性がある。
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1981)

熱膨張
ぜいせい破面 (brittle fracture surface:ぜいせいはめん)
 材料の破壊様式のうちへき開破壊で起きるものをぜいせい(脆性)破壊といい、ぜいせい破壊した面をぜいせい破面という。一般的には材料が塑性変形を伴わず破壊することをいうが、実際には若干の延性破壊も混在する。ぜいせい破面は光沢をもち、結晶的粒状を呈しているので、破面が灰色を呈する延性破面とは区別できる。
 ぜいせい破面を示す材料に衝撃力が加わると急激に破壊しやすいため、このような材料では衝撃力が加わるような使い方は避ける。電池部分にこのような衝撃力が加わることはないうえ、作動温度が650℃と高いので、ぜいせい破壊そのものは問題ない。MCFCではむしろ、孔開き板をパンチングして作るとき、ぜいせい破壊するような材料でパンチング加工が困難になるため、その加工の難易性を予めぜいせい破面から検討しておくなどの利用の仕方がある。

走査型電子顕微鏡 (scanning electron microscope:そうさがたでんしけんびきょう)
 通常SEM(せむ)と呼ばれる
 0.5〜30kV程度に加速された細束電子線を固体表面に照射すると表面から方位、形態、形状、組織などに応じた強度の2次電子や反射電子を倍増管で検出し、その信号をCRT上に輝度変調することにより映像化する電子顕微鏡を走査型電子顕微鏡(SEM)とよぶ。
 通常、2次電子像(SEI*:secondary electron image)はSEM像と呼ばれ、反射電子像は後方散乱電子像(BEI*:back scattered electron image)と呼ばれる。反射電子は元素の情報を与え、試料表面状態が同一の場合には像の明るい方が暗い方よりも原子番号の大きい元素が存在していることを示す。反射電子像から凹凸像の効果を引くと組成像(COMPO像)となる。この場合、実際には完全な分離は難しいが、コントラスト差が大きく見やすいので組成像は組織観察によく用いられる。

 MCFCの電解質板に用いられているLiAlO2の粒子に金を蒸着し5万倍に拡大して撮影する、といった利用がある。

SEM
塑性加工性 (plastic workability:そせいかこうせい)
 一般に固体は適当な条件におかれると外力に対して理想的な弾性体としてふるまわず、永久ひずみを生じて連続的に変型する。この性質を塑性という。これに対する性質は脆性で、延性*、展性などは塑性に属する。この塑性変形による加工を塑性加工といい、荷重の形式、加工温度等によって各種の方法がある。
加工力のかけ方で分類すると、圧縮、引張り、曲げ、せん断などの方法があり、また加工温度で分類すると、冷間加工、熱間加工および温間加工とがある。
塑性加工性は広く定義すると材料の加工のしやすさの指標である。また、材料に変形エネルギーを加えたときの割れ、ひびおよびキズなどの欠陥発生の難易を表わす。
例えば、MCFC用セパレータ、コレクタあるいは波板などはプレスあるいはギア成形法などの塑性加工によって加工される。そのため、塑性加工性は材料の選定において重要な評価項目の一つである。
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1978)
      金属便覧, 丸善(1990)
    機械工学便覧, 日本機械学会(1987)


[た]

耐クリープ性 (creep resistance:たいくりーぷせい)

 クリープ*に対する耐力をあらわす用語。
 MCFCにおいては、とくにアノードのクリープが問題になるため、アノード材料は耐クリープ性に優れた材料を用いる必要がある。

クリープ
耐差圧特性 (bubble pressure:たいさあつとくせい)
 電解質板が、ガス圧力に対してどの程度ガス遮蔽能力があるかを示す特性をいう。
MCFCを安定に運転するためには電解質板の耐差圧特性が重要になる。セルに急激な負荷変動や緊急遮断がかかった場合等には、燃料ガス側と酸化剤ガス側のガス圧力の間に差圧が発生する。もし、電解質板の耐差圧が低ければ、発生した差圧に耐えることが出来なくなり、燃料ガスと酸化剤ガスが電解質板を通して直接交差混合*し、セル特性が低下することが予想される。
耐差圧特性を高めるためには、電解質板の表面により微細な粒子を用いた層を形成し、2層化電解質板にする方法(ガス交差混合障壁*機能)や、マトリックス*の細孔構造をより微細にする方法等がある。

マトリックス
体積抵抗率 (volume resistivity:たいせきていこうりつ)
 物質や材料の電気抵抗の大きさを示す係数で、ρ(Ωm)で表される。
体積抵抗(RV)とはρ=(A/d)・RV  (A:面積, d:長さ)の関係にある。温度により導体の電気抵抗は変化するのでρも温度依存性がある。

  ρT=ρt(1+αt(T-t)+βt(T-t)2…)

上式の形で温度依存性を表現したとき、, …を基準温度tに対する抵抗率の温度係数という。
 MCFCを構成する材料のなかで体積抵抗率が問題となるのは主として、電極、電解質、および電極と接触するセパレータである。その内、素材の面からでは非金属材料であるカソード、電解質(炭酸塩)が他に比較して抵抗は高く、温度に対する依存性も高い。ただし、素材がしばしば多孔質状であるなどの理由から実際の部材の抵抗計測は困難な場合が多い。
 さらにセルの抵抗では必ずしも材料自身の抵抗が占める割合が高いとは限らないため性能に与える影響は単純には評価できない。
〔出典〕理化学辞典, 丸善(1990)

面抵抗
耐熱サイクル性 (thermal cycle ability:たいねつさいくるせい)
 燃料電池を運転温度から所定の温度(室温が一般的)まで降温し、再度運転温度まで昇温する熱サイクルに対する燃焼電池の性能の耐性を意味する。
 MCFCは約650℃の温度で運転されるが、据え付け調整、プロセスの調整試験、定期点検等の際には温度を室温まで下げる必要がある。このために、室温と運転温度(約650℃)の間の熱サイクルが加えられることが予想される。ところが、電解質として用いられている炭酸塩は組成により異なるが、一般的に用いられているLi2CO3/K2CO3=62/38モルの共晶塩の場合には、その融点が約490℃でありこの熱サイクル中に電解質の相変化が起こり、これに伴う体積変化が起こる。また、セルを構成している部材の間でも熱膨張*係数が異なるために、熱サイクルにより熱応力が発生し、この結果電解質板に割れを生じセルの性能が低下することが考えられる。

熱サイクル試験
耐溶融塩性 (molten salt resustance:たいようゆうえんせい)
 材料の溶融塩中での化学的安定性(反応生成物の有無等)、及び物理的安定性(比表面積*変化等)を示す。
 MCFCでは、セパレータ、電極、集電板、電解質保持材等の各種電池材料に要求される性質であり、浸漬試験*、塗布試験*等で材料のスクリーニングを行っている。
電池構成材料の耐溶融塩性の評価項目は以下の通り。
  セパレータ材 : 腐食減量*、最大侵食深さ*、減肉厚さ*
  電極材料   : 溶融塩への溶出量
  電解質保持材料: 比表面積、粒径分布*、結晶形*(α、β、γ)の変化

塗布試験
単極電位 (single electrode potential:たんきょくでんい)
 電極に接触する電解質液相中で、電極のもつ電位を言う。電極電位*とも言う。 
 MCFC場合、カソードの単極電位とアノードの単極電位の差が電池の電圧Vとなる。各単極電位は絶対的な電位であるので直接測定することはできない。単極電位は電極性能を評価する目安である。基準となる電位(参照極*)を設定すれば、これと各電極との電位差が単極電位となる。この単極電位を測定することによりアノードとカソードの特性を分離して評価することができる。

参照極
炭酸カリウム (potassium carbonate:たんさんかりうむ)
代表的な炭酸塩。ラーメンの製造に鹹水として用いられている。
K2CO3 式量138.21 融点890℃
溶融炭酸塩形燃料電池にはかつてLi2CO3:K2CO3=62:38というモル比で電解質として用いられていたが、近年、酸化ニッケルカソードの溶解度が低い炭酸リチウムナトリウムが用いられている。

炭酸リチウム
炭酸リチウム (lithium carbonate:たんさんりちうむ)
Li2CO3 式量73.89、融点726℃(CO2雰囲気で)。アルカリ炭酸塩の中ではもっとも融点が低い。炭酸ナトリウムや炭酸カリウムと混合してより低い融点の電解質組成を得ることが出来る。

電解質炭酸カリウム
単分子層吸着量 (monolayer adsorption volume:たんぶんしそうきゅうちゃくりょう)
BET法
テープキャスティング法 (tape casting method:てーぷきゃすてぃんぐほう)
 材料粉のスラリーを薄くのばしてシート状にする技術。
 電極、電解質板は厚さ1mm程度シート状で、MCFCでは、1mx1m程度の面積が必要である上に強度面、電池コンポーネント相互での密着性の面から、 電極シート、 電解質板のシートは一様な厚さで作成する必要がある。これらを簡便、大量、安価に出来る方法として、原料紛を有機溶剤、結合剤等と混錬し、スラリーとした後、薄膜シート状に形成するテープキャスティング法が広く採用されている。これまで、薄膜形成法としてホットプレス法、カレンダーロール法、抄紙法、電気泳導法などが検討されてきたが実用面ではテープキャスティング法が優れている。

テープ試験 (tape test:てーぷしけん)
 テープはく離試験ともいう。
 テープ試験は、めっきの密着性*試験方法(JIS-H8504)の中の引きはがし試験方法の1つである。この試験は、めっき面に粘着性のあるテープをはり付け、これを急速にかつ強く引きはがすことによって、めっきの密着性を調べるものである。テープ試験は一般には貴金属のめっき等、比較的薄いめっきに適しており、厚いめっきには適さない。
しかし、密着性が良好な場合には、非破壊試験となることから完成品の確認検査として用いられる。
 また、めっき処理材を燃料電池用材料に用いる場合、電池部材は高温にさらされるので、密着性不良は、はく離の原因となる。そのためセパレータ用材料向けの密着性試験では、よりきびしい条件で行う必要がある。その一例として、試験片を図のように折り曲げてめっき層にひずみを加え、その曲げ先端部にテープを張り付けて剥がす、いわゆるテープはく離試験を行っている。
図 テープ試験
〔出典〕JISハンドブック 金属表面処理, 日本規格協会(1989)

抵抗分極 (resistance polarization:ていこうぶんきょく)
電池から電流を外部にとりだした場合の電池の端子電圧は、起電力よりも小さくなる。この現象を分極という、
分極の種類は、活性化分極、拡散(濃度)分極*、抵抗分極の3種類がある。
抵抗分極は、系に直流抵抗成分が存在し、これを通して電流が流れたとき、電流と抵抗の積によって定まる。いわゆるオーム損によって生じる分極である。
MCFCの場合、例えば、電極自身の電気抵抗や電解質の抵抗、電極と電解質板との接触抵抗等によって生じる。

拡散分極
定電圧印加 (constant voltage impression:ていでんあついんか)
 金属などの電子伝導性*を有する物体の両端に定電圧電源により一定電圧(V)を印加すると物体の電気抵抗(R)に反比例して電流(I)が流れる。
MCFC材料標準試験法ではこの関係を利用し、電池材料の導電率*を測定する方法を規定している。
〔出典〕電気化学実験法, いずみ書房(1973)

電子伝導性、 導電率
定流量 (constant flow:ていりゅうりょう)
 電流-電圧特性*を測定する場合、燃料ガスや酸化剤ガスの流量の設定条件として、「定流量」や「定利用率」という言葉が使用される。
電流密度*を変えた場合には、発電に必要な燃料ガス量や酸化剤ガス量が変化し、電流密度が大きいほど多くの燃料ガスや酸化剤ガスが必要となる。電流密度の変化に対応してガス利用率*が一定になるように、電流密度とガス流量を変化させて、電流-電圧特性を測定する場合を定利用率と呼ぶ。これに対し、ある一定のガス流量で電流密度のみを変化させて、電流-電圧特性を測定する場合を定流量という。
 定利用率の場合には、各電流密度で燃料利用率が例えば60%一定になるようんいガス流量を調整する。定流量の場合には、標準的な定格電流密度である150mA/cm2での燃料利用率60%に相当するガス流量を供給し、電流密度のみを変化させて電流-電圧特性を測定する。定流量の場合には表のように燃料利用率は変化する。

表 定利用率 定流量
            電流密度 50 100 150 (mA/cm2)
燃料利用率 定利用率 60 60 60
             定流量 20 40 60

ディラトメータ (dilatometer:でぃらとめーた)
膨張計。膨張率測定装置の呼称、水銀圧入法による細孔径分布*測定における試料セル容器もディラトメータと呼ばれている。

細孔径分布
電解質 (electrolyte:でんかいしつ)
電気を通すイオンを含んだ液体を指す。電池や燃料電池の電極反応は電解質を選択することで決まる。燃料電池ではとくに電解質の名前を頭に付けて燃料電池を呼ぶ。溶融炭酸塩形燃料電池では炭酸リチウムと炭酸ナトリウムをモル比で52:48に混合したものが使われている。融点は約500℃。かつては、炭酸リチウムと炭酸カリウムの混合塩が用いられていたが、カソードの酸化ニッケルの溶解度がより少ない現在の組成になった。今後アルカリ土類金属炭酸塩を添加した組成に変わる可能性がある。

炭酸リチウム
電解質損失 (electrolyte loss:でんかいしつそんしつ)
 電解質がなくなること。内部抵抗の増加や、他の要因により性能の低下が問題となる。
 電解質が液体であるPAFCとMCFCでは、長期間にわたる運転で液体電解質が電解質板中から散失してしまう。電解質の散失は、電解質板の電気抵抗の増加のみならず、電極多孔質内での燃料電池反サイトである気液固の3相界面の構成を変え、性能低下をもたらす。特に融点が500℃付近に融点があるので、スタック構造では、運転中の電解質の補充は困難である。そのため、長期にわたる発電中に電解質の損失を予測して電池の材料設計を行う必要がある。
 損失の原因として、@電解質が分解あるいは揮発する蒸発、A電解液が飛沫となり損失する飛散、B電解質保持材料から液体状態で沁み出ていく流失、C電極部材との反応による損耗などがある。
 MCFCではCの反応部材との反応による損耗が運転初期に起こるが反応量を予測して予め多く電解質を充填することにより対応が可能である。
 長期発電で電解質保持材料そのものが変質し保持力が低下によっても電解質の損失が多くなる。

電解質板 (electrolyte tile:でんかいしつばん)
電解質板は、リチウムアルミネート(LiAlO2)という絶縁体で溶融炭酸塩に侵されないセラミックスの粉が、溶融炭酸塩(炭酸リチウムと炭酸ナトリウムの混合物が高温で溶けたもの)を吸い込んで保持された複合体(マトリックス)である。リチウムアルミネートの粉体または炭酸塩粉体を樹脂と有機溶媒でスラリー状にし、ドクターブレード法によってうすく引き伸ばして乾燥させ、樹脂状にしたものを用意する。リチウムアルミネートのシートと炭酸塩のシートをほぼ交互に積み重ね、電池をくみ上げた後運転すると一枚の電解質板となる。

リチウムアルミネート
電解質保持 (electrolyte retention:でんかいしつほじ)
 電解質板と電極中に電解質を安定に含有することをいう。
 電解質板、電極中に電解質を安定に適量保持することが、燃料電池の性能を維持するために必要である。電解質保持能力は、電解質の表面張力*と、電極と電解質保持材との濡れ性、また、電極板とマトリックス*の細孔分布に大きく影響される。電解質保持機能を評価することで、燃料電池の電解質の移動による特性劣化を推測することができる。

表面張力
電解質マネジメント (electrolyte management:でんかいしつまねじめんと)
 MCFCの電解質は多孔体からなるアノード、カソード及び電解質板マトリックスに保持されている。これらの部材に貯蔵されている電解質の量と分配比はPAFCのように、はっ水材による制御ではなく部材のポア分布構造によってコントロールされており電池の特性と寿命に影響する重要な因子である。電解質マネージメントとはこの電解質の量と分配比を管理し、電池性能を最良の状態に設計することをいう。通常、クロスオーバーを防止する点からマトリックスには空孔容積の100%の電解質が入るように設計され電極には10?50%の電解質が入るようにする。電極の電解質が多すぎた状態をフラッティング(flooding)といい反応ガスが電極に供給されにくくなり電池特性が低下する。一方、電解質が少なすぎるとクロスオーバー発生の原因となる。電池内の電解質は蒸発、腐食などによって除々に消失するため電池の寿命と特性を考慮した最適な電解質量の設計が重要である。

電解腐食法 (electrolytic etching:でんかいふしょくほう)
 電解刻ともいう。電解液中に2枚の金属板を向かい合わせて吊るし、これに電流を通じると電気分解が起こり陽極表面が溶解して侵食を受ける。電解腐食は、このことを利用して金属表面の結晶組織を露出させたり、金属表面にあらかじめ模様を描いておき、これを深く腐食して凹凸模様の食刻板を作ったりする方法である。
MCFC用セパレータ、コレクタあるいは波板などはプレスあるいはギア成形などの塑性加工によって加工される。そのため、成形性の評価は金属材料の選定において重要な評価項目の一つである。その一方法として、成形時のひずみを測定して破断限界線を作成し、材料の成形性を判断する方法がある。
その方法では、成形前の試験材料片に円を描いておいて成形後の変形状態を調べて破断限界線を作成するのであるが、円を描く方法の一つとして電解腐食法が用いられる。
〔出典〕金属表面技術便覧, 日刊工業新聞社(1963)
    標準学術用語辞典;金属学編, 誠文堂新光社(1969)

電子伝導性 (electronic conductivity:でんしでんどうせい)
 物質中をイオン、電子等の電荷が移動することにより電流が流れる性質を電気伝導性というが、このうち後者を電子伝導性という。
例えば、固体金属は、正電荷のカチオンと、多数の可動性の自由電子からなり駆動力である電位差を与えた場合、自由電子の移動により電気が流れる。
それに対し、塩類等水溶液は、電子に対する束縛力が極めて大きく、イオンの移動により電子が流れる。(イオン伝導性*)
一般に電子伝導性をもつもののうち、比抵抗が〜10^-8Ω・cm以下のものを良導体、10-2*10^9Ω・cmのものを半導体、10^14Ω・cm以上のものを絶縁体という。
MCFCではアノード、カソード、セパレータ、集電板等に電子伝導性が要求される。このうち、カソードの酸化ニッケルは電解質中のLiと反応してLi化(Ni1-xLi2O)するため電子伝導性を有する。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1971)

イオン伝導(性)定電圧印加
電子プローブX線マイクロアナライザー (electron probe X-ray microanalyzer:でんしぷろーぶえっくすせんまいくろあならいざー)
 試料表面中の微小部分に、きわめて細く絞った電子線を照射すると、試料を構成する電子の内殻電子が殻外にとび出し、励起された原子は、その元素に固有の波長を有する特性X線を放出して安定化する。この特性X線を検出することにより元素分析を行うことができる。EPMAにおいては、10〜30eVのエネルギーをもつ電子を固体試料表面で10〜100nm径程度に絞って照射するのがふつうであり、特性X線の発生する領域は、数μm以下の深さであるため、微小な表面近傍の分析が可能となる。
 電子線を試料表面上で走査することによって、表面上の特定なミクロな領域な観察ができる。
 電子線照射によって、特性X線の他に図34に示すような信号が発生するので、これを用いることによって様々な情報が得られる。すなわち、吸収電子像や後方乱電子像、表面の凹凸に基づく2次電子像、特定元素の分布を示す特性X線像である。
 定性および定量分析は、ベリリウム(波長分散方式)あるいはナトリウム(エネルギー分散方式)よりも重い元素に対して可能であり、検出下限は、0.01wt%(波長分散方式)、0.1wt%(エネルギー分散方式)程度とされている。また、分析領域の下限は、照射電子のエネルギーと試料の平均原子番号によって変化するが1〜3μmの範囲にある。
 試料を機械的に直線上を移動させつつ電子線を照射し、分光器をある特定の元素の特性X線の波長に合わせておき、その強度、すなわち濃度変化を記録することによって、線分析ができる。また、面分析*、すなわち一種の顕微鏡像を得ることもできる。
波長分散方式では、X線の波長シフトを利用して、状態分析が可能な場合もある。
〔出典〕新実験化学講座, 分析化学U, pp322-328, 丸善(1977)

→EDS
電池外試験 (out-of-cell test:でんちがいしけん)
 電池を構成する材料のスクリーニング試験や耐久性試験等を行う場合に、試験する材料によって実際に電池を構成することなく、模擬電池雰囲気下にて行う試験方法。
 MCFCの場合、例えば、セパレータ材料の溶融炭酸塩への浸漬による耐食性試験や、電極の単極電位*の測定(試験電極と電解質と参照極*と対極で構成される)により性能試験等がこれに当たる。
 この試験方法は、実際に電池試験を行う場合に比べて、一般的に以下のようなメリットを有する。
@実際に電池試験を行うより簡易な設備で試験が行える。A試験に手間がかからない。B試験準備時間を短縮できる。C小量のサンプルで試験できる。
以上のようなメリットから、1サンプルに要する実質的な試験時間、コスト、手間が削減できるため、各種試験条件下で多量のサンプルを試験しやすい。
しかしながら、この試験方法によって得られた結果が、電池試験によっても再現性よく得られる保証はない。そこで、通常はこの試験によってスクリーニングされた材料を、もう一度電池試験によって確認する必要がある。

out-of- cellテスト
電池特性 (cell performance:でんちとくせい)
 電池の特性は次の3つに分類される。
(1)電流-電圧特性*
(2) 劣化特性
(3) 容量特性
電流-電圧特性は、電池のエネルギー変換効率に関係する基本特性である。電流-電圧特性に影響を与える因子としては、圧力、温度、ガス組成、燃料や酸化剤ガスの利用率、および電極や電解質板などのセルコンポーネントの基本特性があげられる。材料開発の面においては、電極材料とその微細構造が重要な関係因子である。
劣化特性は、連続運転におけるセル電圧の経時的変化(漸次的低下)によってあらわされる。劣化特性に影響を与える因子としては、セパレータ材の腐食特性、電極のクリープ*およびシンタリング特性や溶出特性、炭酸塩の蒸発特性などがある。セパレータや電極の材料選択と開発が劣化特性改善には必要である。
容量特性は、構成電池の出力や単位体積当たりのの出力密度、エネルギー密度を意味する。電池の実用化における容量特性の大型化に関係する因子としては、電極面積の適正な大型化、積層段数の最適な高層化、発電システムとしてのコンパクト化がある。現在、発電効率の最適化に則した電池本体の適正な大型化が求められている。現状の電池性能としては、エネルギー密度で5000〜6500kWh/m3程度であり、より高出力の電池の開発を行っている。

電流遮断法 (current interrupter method:でんりゅうしゃだんほう)
 電流遮断法とは、電池などの電極反応系において、パルス的に電流を流し、それに対する電圧応答を解析することにより、分極及びその要因を調べる方法である。
電解質溶液と電極との接合面である界面では、電荷担体である電極中の電子と電解液のイオンとが相接し反応が起こる。この界面を特長づける電流と電圧の関係をインピーダンスと呼ぶ、インピーダンスは、電解質溶液の抵抗、界面の空間電荷による電気二重層の容量、反応が起こる際の電荷や物質の移動によるインピーダンスよりなる。今、電気化学系にポテンショスタット、ファンクションジェネレーターを用いて、パルス電流を流し、オシロスコープ、あるいはレコーダーにて電圧を観察する。流れる電流に対し、観察される電圧の変化は、電流に直ちに応答する直線的な電解質溶液の抵抗等の部分と、曲線状の界面の性質による部分とのインピーダンスに分かれるので、これを利用し電解質溶液等の抵抗の測定ができる。
〔出典〕電気化学測定法, 技報堂出版(1984)

電流-電圧特性 (current voltage characteristics:でんりゅうでんあつとくせい)
 I-V特性ともいう。ある電流(I)を流した時の対照素子に生じる電位叉は電圧(V)と電流との関係をいう。電池においては開回路電圧*の状態(無負荷)から電流をとり出したときの電池電圧と電流(密度)との関係をいう。
一般にとり出す電流が増加すると電池内部の抵抗や電極の過電圧(分極)等により、電池電圧は降下傾向を示す。
 電池反応における理論上の最大電圧である起電力(開回路電圧)に対して実際に負荷(電気エネルギー)をとり出すときの電池の能力を示す指標として広く用いられる。
電流・電圧特性に関係する項目としては、電極や電解質板などのセルコンポーネントの性能以外に、操作条件(温度、圧力、ガス組成、利用率*など)がある。他の電池の特性と比較するためには燃料、酸化剤の利用率などの条件を厳密にそろえる必要がある。
なお、内部抵抗による電圧低下を補償して、IRフリー(内部抵抗なし)の状態で特性を表示する場合もある。
  〔出典〕電気便覧, 丸善(1985)
      インタープレス科学技術25万語辞典, インタープレス(1984)

セル電圧
電流密度 (current density:でんりゅうみつど)
 一般に、ある電極上で電極反応が生じている時、電極反応により消費・生成される電流値をその電極の表面積で割った値、すなわち単位面積当たりの電流値を電流密度と呼ぶ。
 MCFCの場合、電極は通常平板状の多孔体で、電極反応はこの内部の個々の孔の電解質との界面で生じている。従って、実際の反応面積当たりの電流密度としてはこの界面面積当たりの値を指すべきであるが、実際にこの値を測定することは困難なため、一般的には電極を平板とみてその面積当たりの値をとっている。このため、電流密度が々でも多孔体の比表面積*や厚さ、また電解液の量や濡れ方などにより実際の反応面積当たりの電流密度は異なっていることになる。
一般に電流密度を高くするとセル電圧*(アノード・カソード間の電圧)は低下するが、 発電効率を上げるためにはセル電圧が高いことが必要である。一方製作時のコストを低下させるためには電流密度とセル電圧の積(出力密度)を高くしなければならない。このため、電極には電流密度を高くしてもセル電圧の低下が少ないことが要求される。
 セル電圧を決定するのは実際の反応面積当たりの電流密度であるため、電極の高性能化とはすなわち多孔体の構造や電解液量の制御により平板状電極の見掛けの面積当たりの実際の反応面積の増大を計ることに帰結する。また、MCFCにおいて電極反応はガス組成や温度に依存するため、セルが大型になるとこれらの平面方向の分布が無視できなくなり、電流密度もこれに伴って分布を持つことになる。これは全体的な出力密度の低下を招くため、ガスの流し方やセル形状等の最適化によりこの均一化が図られる。

等価回路 (equivalent circuit:とうかかいろ)
 液体や固体、それらの界面での電気的な応答を、抵抗やコンデンサー等に置き換えて電気的な回路として表わす場合、この回路を等価回路という。例えば、交流インピーダンス測定*において得られた周波数応答を解析して、溶液抵抗などの各種パラメータを求める場合に使用される。
 等価回路は、対象となる系によって様々であるが、MCFCのカソード反応である、酸化還元反応の交流インピーダンスによる解析で使用される等価回路の一例としてランドルス(Randles)型等価回路を図に示す。図中でRΩは溶液抵抗に、Rctは反応の活性化抵抗に、σは反応種の拡散に関係するワールプルグインピーダンスに、Cdは界面の二重層容量に相当する。
  
        ランドルス型等価回路

塗布試験 (coating test:とふしけん)
 金属材料の耐食性を調べる腐食試験法のひとつで、試験片の表面に腐食性物質(例えば炭酸塩)を塗り、雰囲気ガスを流して腐食生成物の種類、量、及び表面の状態等を調べる試験法。
 MCFCでは、ガスの溶融塩の両方に接して使用されるセパレータ材料耐溶融塩性*評価等に用いられる。

耐溶融塩性
トランスバレストレイン試験 (trans-varestrain test:とらんすばれすとれいんしけん)
 材料の溶接時高温割れ特性を評価するための試験法の一つであり、実際の溶接時の高温割れにはビード中央の縦割れが多いこと、試験結果の物理的意味が明確であることから最近多用されている手段である。試験法は、図に示すように、ティグアークでビード溶接しB点に到達したときに急激に強制塑性曲げを与えた後、C点まで溶接する。凝固割れは歪みを加えた瞬間の溶融池凝固線から溶接開始側(低温側)ビード中央を進展する。その最長割れ長さを求め、別途測定したビード中央各店の温度から割れの発生温度と伝播停止温度が求められる。付加歪み量を変えた試験結果から、温度-付加歪み図中に割れ域が図示され、それに接する直線の勾配をCST(critical strain rate for temperature drop)と名付け、その値が大きい程、凝固割れ感受性が低いと判定する。
(a) 上面
(b) 側面
図 トランスバレストレイン試験
〔出典〕鉄鋼便覧, 日本鉄鋼協会(1981)

導電率(性) (electric conductivity:どうでんりつ(せい))
 導電率(電気伝導率)は、電気抵抗の逆数を指すこともあるが、ふつうは導体中の定常電流の密度をi、電場をEとして局所的なオームの法則

  i=σE

に現れる定数σをいう。すなわち、比抵抗ρの逆数であり、単位は、S/m(通常S/cmも用いる)である。
σの値は温度、圧力などの条件および物質の組成などにより変わる。純金属では一般に大きく、絶対温度に反比例する。半導体では、温度が上がるにつれてσは大きくなる。
〔出典〕理化学辞典、岩波書店(1987)

MCFC材料の導電率は、溶融炭酸リチウムナトリウム(52:48mol%、923K)が2.1S/cm、NiO〜100S/cm程度



ドクターブレード法 (doctor brade method:どくたーぶれーどほう)
 ある材料の粉を均質で厚みの一定した板に加工する方法の一つ。
 原料粉末と溶媒、消泡剤、樹脂などである程度粘りけのあるスラリーとし、ドクターブレードの受け口に流し込む。ドクターブレードはアルミニウム製の水平な刃をもっており、この刃が底についているときはスラリーは漏れない。刃の隙間を調節して、刃の底部にある樹脂シートを一定速度で滑らせると厚みの均一なスラリーのシートを作ることが出来る。スラリーは溶媒を蒸発させると柔軟性のある樹脂状のシートになる。
 溶融炭酸塩形燃料電池では、アノード、カソード、保持剤、電解質の樹脂シートをこの方法で制作している。


[な]

内部改質 (internal reforming:ないぶかいしつ)

 燃料電池の燃料として電極反応に使われる物質は水素である。この水素源としてメタン等の炭化水素を使用する場合これを水素に改質する必要がある。

CH4+H2O=3H2+CO (1)

この改質反応(1)を電池の外部に設置した改質器によって行う場合を外部改質、一方、電池内部に改質器脳を持たせた方式を内部改質という。さらに、内部改質型は直接型と間接型の二種類に分類される。直接内部改質方式では燃料ガス流路内に改質触媒を設置する。電池に供給されたメタンはこの改質触媒と接触しH2を生成する。このが電極に供給され燃料となる。通常メタンを外部改質で100%改質するためには800℃以上の高温を必要とするが内部改質では電池反応により水素が消費されるため常に(1)式の平衡は水素を生成する方向に移動し650℃においても改質率100%を実現できる。さらに改質反応の吸熱をスタックの冷却に利用できる利点がある。直接型の問題点は改質触媒に電解質が付着し改質活性が低下する点にある。一方、間接型は改質器をセルから独立させることにより触媒の電解質による活性低下を防止すると共に改質反応による吸熱をスタックの冷却に利用するように設計されている。しかし、改質触媒がセルから分離されているため改質は650℃の平衡組成までしか進まず改質率は90?95%程度で効率は直接型よりは劣る。
 内部改質型燃料電池の利点は外部に改質器を必要とせず冷却負荷を低減できることにある。このため外部改質型に比べコンパクトで高効率の発電システムが可能になる。

二酸化炭素吸収滴定法 (carbon dioxide absorption-titration method:にさんかたんそきゅうしゅうてきていほう)
炭酸ガス(CO2)をアルカリ性水溶液に吸収させたのち酸性水溶液で中和滴定して試料ガス中のCO2濃度を測定する方法である。MCFCにおいては、電解質板中の炭酸塩電解質の分析などに用いられる。
電解質板中の炭酸塩の分析を例にして説明する。
電解質板試料を粉砕、乾燥、秤量後、CO2の存在しない雰囲気下で塩酸(HCl)または(H2SO4)を滴下することにより炭酸塩を分解してCO2を発生させる。一定過剰の規定濃度の水酸化バリウム(Ba(OH)2)水溶液をガス吸収装置に入れ、これに発生CO2を含むガスを導き、炭酸バリウム(BaCO3)として固定する。次に未反応のBa(OH)2をフェノールフタレインまたはチモールフタレインを指示薬としてHCl標準液またはシュウ酸(H2C2O4)標準液で逆適定してCO2を定量し、電解質板中の炭酸塩量を求める。
微量のCO2を定量するには、規定濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化ストロンチウム(Sr(OH)2)水溶液にCO2を吸収させたのち、電量適定または電位差適定する方法もある。
 〔出典〕分析化学便覧, 丸善(1988)
      化学大辞典, 共立出版(1989)

2端子法 (electric conductivity measurement by 2 probes method:にたんしほう)
導電率の測定方法の一つ。


交流4端子法
濡れ性 (wetting:ぬれせい)
 液体が固体表面から気体を押し退ける現象を濡れといい、固体面と液体との付着現象である。固気界面張力をσs、固液界面張力をσiとすると、これらの差σs-σiが濡れの自由エネルギー減少であり、濡れの親和力である。一般に、濡れ性は接触角θの大きさにより判定され、θが小さい場合には液体は固体面を濡らすといい、大きな場合は濡らしにくいという。この接触角θと液体の表面張力*γを用いて、濡れの親和力を次の関係式で示すことができる。

σs-σi=γcosθ

濡れは現象的には3形式に区分される。
(1) 拡張濡れ:固体表面を液体が薄膜状に広がるような場合であり、θ=0°で起こる。
(2) 浸漬濡れ:液体中に固体で浸す場合や、多孔体中に液体がしみ込む場合である。θ< 90°
(3) 付着濡れ:固体表面にその固体とは濡れにくい液体をおいた場合の固体表面と液体との接触部分に
ついていう。θ≦180°で起きる。
また、Bikermanによれば液体の固体表面の孔への流入は次式で示される。

Z2=Kγcosθ δt/η

ここで、Zは液体が流入した深さ、Kは定数、γは液体の表面張力、δは孔の径、tは時間、ηは液体の粘度である。
このように、濡れの現象にはγやθで説明される熱力学的な要因と共に固体の孔の状態などの物理的な要因も合わせて考える必要がある。
電極や電解質板への炭酸塩の分配挙動やその保持性を評価する上で重要な特性であるが、濡れ性を定量的に表現する方法はまだ提案されていない。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)
    化学便覧, 丸善(1988)

表面張力接触角
熱拡散率 (diffusibility of heat:ねつかくさんりつ)
 温度伝導率ともいう。
 熱伝導率*αを比熱Cと密度ρで割ったa=α/(c・ρ)を熱拡散率または温度伝導率という。SI単位系ではu/sで示される。
 熱拡散率の大きな材料ほど同じ構造では熱をよく伝えることを示す。そのためMCFCスタックの温度分布を小さくする観点からは熱拡散率の大きな材料を使用することが好ましい。
記号:SI単位
α:W/(m・K)
c:J/(kg・K)
ρ:kg/?
a:u/s

〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1987)

比熱熱伝導率
熱サイクル (thermal cycle:ねつさいくる)
 高温で運転する燃料電池を運転温度に昇温し、常温に戻すことを指す。
 溶融炭酸塩形燃料電池では電解質の融解と固化の過程があり、電解質板の割れや電解質組成の不均一凝集のおそれがあり、耐熱サイクル性が求められる。

サーマルサイクル
熱サイクル試験 (thermal cycle test:ねつさいくるしけん)
 MCFCを運転温度にあげ、室温まで温度を下げることを繰り返す試験。電解質板の割れなどで電池性能が損なわれないか等を試験する。

耐熱サイクル性
熱伝導率 (thermal conductivity, heat conductivity:ねつでんどうりつ)
熱伝導度ともいう。
物体内の各点の温度をθとすれば、各点における熱流密度Qは等温面に垂直な温度勾配∇θに比例し、Q=-α∇θである。この式中のαを熱伝導率という。SI単位ではW/(m・K)で示される。熱伝導率αは結晶などでは一般にテンソルであるが、等方的な物質では単なる定数で、その場合、熱は温度勾配の方向に流れる。
なおQ=-α∇θなる関係をフーリエの法則(Fourier's law 1822)という。MCFCの温度分布に影響し、温度分布を小さくするには密度、比熱*、形状が同程度ならば熱伝導率が大きな材料が使用するのが望ましい。
記号:SI単位
Q:W/u
θ:K
ρ:K /m
a:W/(m・K)
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1987)

熱拡散率
熱膨張 (thermal expansion:ねつぼうちょう)
線膨張率
ネルンストの式 (Nernst's equation:ねるんすとのしき)
電極反応が平衡状態O+ne←→R(Oは酸化状態の化合物、Rは還元状態の化合物)にある場合の電極電位Eを表す式
 E=E0 + (RT/nF)ln(aO/aR)
 を提案者の名にちなんでネルンストの式という。
aO、aRはOおよびRの活量。E0はaO=aR=1の場合のEの値をしめす。

溶融炭酸塩形燃料電池では、
カソード反応
O2+4e+CO2→2CO32-
 Ec=Eoc+(RT/4F)ln(PO2(PCO2,c)^2)
アノード反応
 Ea=Eoa+(RT/4F)ln((PCO2,a)^2(PH2O)^2/(PH2)^2)

 電池の電圧は、これらを差し引いて求められる。
 Ecell=Ec-Ea=Eo+(RT/4F)ln(PO2(PH2・PCO2,c)^2/(PH2O・PCO2,a)^2)

なお、Pとは電極にふれる気体の圧力でありP*=a*。また、aCO32-=1である。

ネルンストロス (Nernst loss:ねるんすとろす)
 ネルンストロスは、主にガス利用率*を変えたときに期待できる出力の傾向を見るのに使われる便宜的な値である。電池の入口から導入されたガスは、電池内で電極反応を生じてその組成は変化する。このガス組成の変化に基づく起電力の低下をネルンストロスという。その値はネルンストの式とガスの組成を基本にしている。
 ネルンストの式によれば、電池のガス組成を決めれば電池の持つ理論的な開回路電圧*は決まってくる。MCFCでは開回路電圧(V0c)は次式に示すネルンストの式で表せる。

Voc=E0+(RT/4F)ln(PO2(PH2・PCO2,c)^2/(PH2O・PCO2,a)^2)

ここで、E0は標準状態における起電力、Rは気体定数、Fはファラデー定数、Tは絶対温度、Pはアノード水素ガス分圧、PH2はアノード水蒸気分圧、PH2Oはアノード水蒸気分圧、PCO2,aはアノード炭酸ガス分圧、PO2はカソード酸素ガス分圧、PCO2,Cはカソード炭酸ガス分圧である。
ネルンストロスΔEはあるガス利用率で

ΔENL=入口ガス組成での理論的開回路電圧V0-ある場所のガス組成での理論的開回路電圧V01

で表され、ガスの利用率が変わるとその利用率に対応したΔENLがこの式から求められる。ただし、V01は電池内での正確なガス組成分布が分からないため、簡易的には入口と出口でのガス組成の平均値などから算出している。


詳しくは以下の文献を参照
燃料電池の電流ー電圧特性導出のためのネルンストロス計算法の評価.
宮崎義憲,柳田昌宏,棚瀬繁雄,谷本一美,小島敏勝,大鳥範和,奥山博信,児玉皓雄, 電気化学及び工業物理化学, 60, 816 (1992).

ガス利用率
燃料電池 (fuel cell:ねんりょうでんち)
 電池のなかで電気を作り出す化学反応を起こす物質を活物質とよぶが、これを外部から供給し、電気を継続的に取り出すことが出来るようにした電池を燃料電池という。
 

濃度過電圧 (concentration overvoltage:のうどかでんあつ)
 電池から電流を外部にとりだした場合の電池の端子電圧は、起電圧より小さくなる。この現象を分極という。また、この電池が単純電極系(ただ1種の電極反応のみが進行している電極)から構成されている場合、分極の大きさを過電圧という。
 ここで注意すべき点は、ある電極系の分極は必ずしも1種の電極反応の性質によって決まるものではないのに対し、過電圧は特定の反応と直接結びつく量であることである。すなわち、ある電極系の過電圧は、そこで進行する電極反応がわかっているような単純電極系についてのみ明確に規定することができる。MCFCの場合には、アノード(負極)側ではH2やCOの酸化反応が起こり、カソード(正極)側の反応においても、O2-やO22-を活性種とする酸素の還元反応が起こるとされているため、必ずしも1種の電極反応のみが起こっているとはいえない。
 過電圧の種類は、活性化過電圧、濃度過電圧、抵抗過電圧の3種類がある。
 濃度過電圧は、電流が流れることによって電極近傍での反応関与物質の濃度が平衡状態から変化し、これらの物質を電極へ補給する速度の影響によって生じる過電圧である。
 MCFCのアノード側での反応をとり上げると、そこではH2やCOの酸化反応とH2OやCO2の生成反応が起こる。しかし、ここでは便宜上H2の酸化反応のみを考えると、アノード側での反応が起こる過程には少なくとも次の2つの段階がある。
@供給されたH2が電解質に溶解して、電極表面に移動し、吸着される過程。
A吸着された水素(原子状?)が、電極より供給される電子と結合して放電する過程。
電流が流れていない場合、電極近傍での水素濃度は平衡状態になる。電流を流すと、水素が消費され、電極近傍での水素濃度が平衡状態から変化し、水素が電極に補給される。この補給速度の影響によって生じる過電圧が濃度過電圧である。
またAの速度に対して@の速度が充分遅い場合、この反応の速度は@によって決定されるため、@の過程を律速段階といい、濃度過電圧がこの反応における過電圧を支配する(抵抗過電圧を除く)。
〔出典〕電気化学, 東京化学同人(1967)
    電気化学T, 共立出版(1966)


[は]

発泡剤 (blowing agent, gas-foaming agent:はっぽうざい)

 部材の成形において、事前に材料に混ぜて製品とする過程で加熱などにより気体を発生し、製品中に泡を生ずる物質。発生させる気泡の大きさにより使用されている物質が異なる。気泡の発生過程により、揮発性発泡剤と分解性発泡剤とにわけられる。前者はプロパン、炭酸ガスのように加熱によって揮発する物質で、後者はアゾジカルボンアミドや炭酸アンモニウムのように分解してガスを発生するものがある。
同様な物質に、起泡剤(気泡剤、foaming agent)がある。これには、粉体と液体とを混合する際に安定な泡を作り出すもの、または、溶媒に溶けていて混練時に注入された泡を安定化させるもの等があり、各種の界面活性剤が使用されている。
MCFC部材に必要とされる多孔質構造を成形するのに、これら製品中に存在する泡を利用することができる。しかしながら、微細な多孔質構造を有するMCFC部材の製造には、構造制御の容易な気孔形成剤*を使用している。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)
    セラミックス辞典, 丸善(1986)
    セラミックス工学ハンドブック, 技報堂出版(1989)

結合剤
張出し変形 (bulging deformation:はりだしへんけい)
 プレス成形の基本的変形様式の一つ。プレス成形は、素材に各方向から張力を加えてしわを防いだり、あるいはしわの成長を制御したりして、複雑な曲面や形状の形成を行うものである。この成形方法は、必要とする形状の成形に主要な役割を果たす変形様式の違いと破断挙動の組み合わせで、張出し、絞り、ポンチ(材料押しつけ部)底部に接する材料の2軸方向の伸び変形を生じせしめて形成が行われる場合で、材料は表面積増加、すなわち板厚減少を強いられる。成形がある程度進むと、材料のどこかが破断限界に達して破断する。このような張出し性はエリクセン試験*のごとく、張出し深さで比較される場合が多いが、材料の成形前の代表的な一直線長が成形によってどれだけ伸びたか(線長増加率)を張出し成形度とする場合や成形により素板表面積増加率(板厚減少率と等価)をもって成形度を表現する場合もある。張出し性試験法としては、エリクセン試験や液圧バルジ試験等がある。
(a) 絞り (b)張出し (c)伸びフランジ (d)曲げ
図 張出し変形
〔出典〕プレス加工便覧, 丸善(1975)

バーンアウト (burn-out:ばーんあうと)
 MCFCの電解質板や電極は、通常バインダーや可塑剤等の成形助剤を含んだ状態でシート状に成形される。そこで、これらを電解質板や電極として使用する場合、成形助剤を除去する必要がある。
 電解質板の場合は、通常グリーンシート(成形助剤を含んだ状態)をそのまま電池に組み込み、電池の昇温時にこれを焼成することによって、成形助剤の除去を行う(もちろん、電池外で焼成を行う場合もある)。一方、電極の場合は、電池組立前にグリーンシートを適当な雰囲気下で焼成し、成形助剤の除去と電極の焼結を行う場合が多い(電極の焼成も電池内で行う場合もある)。
以上のようあ電解質板や電極のグリーンシートを焼成し、成形助剤を除去する過程のこと、場合によっては同時に焼結成形を行う過程のことをいう。

 現場では「とばす」といっており、焦げ臭いにおいがするので、知らない人はぼやとまちがえそうになる。

パンチング加工性 (punching workability:ぱんちんぐかこうせい)
 パンチング加工性はせん断加工の一種である。
一般の塑性加工は破壊を起こさないで被加工材料に塑性変形を与えて所望の寸法、形状の製品にするのであるが、せん断加工では、図1に示すごとく、ほとんどの場合材料を破壊までもっていき、製品を原材料から分離する加工法である。板状、線状または棒状の材料に、適当な工具を用いて所要の断面にせん断応力を発生させ、所望の寸法、形状に材料を切断し、分離する加工法であり、以下、打抜き(ブランキング, blanking)加工と穴あけ(パンチング, punching)加工について説明する。
(1)打抜き加工;打抜き加工は図41(a)のように板状の材料から所望の形状の製品を切り取る作業のことをいう。打抜き加工の場合には、図2に示すような工具を用い、ダイス穴を所要の寸法、形状に仕上げ、ポンチはそれよりあるすきま量(クリアランス)だけ小さくしておく。図43(a)のように、ダイス面に傾斜(シャー)をつけるようにし、ポンチ面は必ず工具軸に垂直でなくてはならない。材料がすべらないようにするためには、図3(b)のように工具面を左右対称にするか、または適当な板尾さえ装置を用いるようにする。
(2) パンチング加工;パンチング加工は、打抜き加工とは反対に、図1(b)のように板状の材料に所要の穴をあける作業のことをいう。パンチング加工の場合には、ポンチの寸法および形状をあけたい穴のそれにしておく。また、シャーは図3(c)または(d)のようにポンチにつけ、ダイス面は必ず工具軸に垂直にする。ふつうは板厚よりも小さい穴はあけない。
パンチング加工性は、材料に対するパンチング加工の難易および仕上がり精度の良否を表す。材料のパンチング加工性は、加工材の外観および断面によって判断される。外観的には、被加工材における割れやひびなどの欠陥の有無の検査があり、断面的には、図4に示すせん断切り口におけるかえり高さの検査などんがある。MCFCの集電板等はパンチング加工によって加工される。パンチング材のかえり高さは電池の組み立て精度に影響を及ぼすため、規定値以内にとどめる必要がある。
(準備中)
図1 せん断加工のいろいろ
図2 せん断加工用工具(型)の各種名称
図3 シャーをつけたせん断加工用工具の例
図4 せん断加工の切り口部
図1〜3は「プレス加工便覧」より引用。図4は「機械工学便覧」より引用。
〔出典〕機械工学便覧, 日本機械学会(1987)
    プレス加工便覧, 日本塑性加工学会(1975)

ひずみ (strain, deformation:ひずみ)
 物体に外力を加えたとき現れる形や体積の変化をいう。変形ともよばれる。
応力が弾性限界内であれば弾性ひずみであり、外力を除けばもとにもどるが、応力が弾性限界をこえると塑性変形が起こって永久ひずみが残る。
図に垂直応力および垂直ひずみの説明図を示す。すなわち、断面積Aの一様な太さの棒の両端に引張荷重Pが作用するとき、X-X断面に生ずる引張応力は

σ=P/A                (1)

で、Pが圧縮荷重の場合にはσを圧縮応力といい、両者を合わせて垂直応力という。棒に引張荷重が作用すると長さLはL'に伸びる。荷重方向の長さの変化L'-Lを伸びといい、

ε=(L'-L)/L            (2)

を引張ひずみという。これに対して縮みによるひずみを圧縮ひずみという。
ひずみゲージ(strain gauge)は線または箔を抵抗体とし、その抵抗値がひずみに比例して変化することを利用したゲージであり、これを材料表面に接着してその部分のひずみを測定する。ひずみゲージは各種のものが市販されており、標点距離は最小0.2mm, ひずみ範囲は最大20%, 環境温度は-196℃〜+500℃のものまである。
図 垂直応力と垂直ひずみ(準備中)
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1978)
    鉄鋼便覧, 日本鉄鋼協会(1981)

引張強度 (tensile strength:ひっぱりきょうど)
  引張試験*において測定される引張強さのこと。

引張試験
引張クリープ試験 (tensile creep test:ひっぱりくりーぷしけん)
 材料に荷重をかけると応力に対応したひずみを生じ、低温ではその状態にとどまっているが、ある温度以上では時間と共に歪みは増大し、ついには破断に至る。このようにある応力のもとで時間の経過と共に変形が増加する現象をクリープ*という。材料のクリープ抵抗を試験するためのクリープ試験法、クリープ破断試験法はそれぞれJIS Z 2271,JIS Z 2272に規格化されている。クリープには引張、ねじり、曲げ、圧縮等の種類があるが、JISで規格化されているのは引張クリープのみである。
図 主クリープ破断曲線
クリープ試験、クリープ破断試験共に、一定の試験温度に保った電気炉内で引張試験片に一定の応力を負荷することにより行う。クリープ試験では、試験片標点間の変位を測定するためのダイアルゲージまたは差動トランス等が必要となる。クリープ強さは、一定温度のもとで比較的長期にわたる一定時間に規定のクリープ歪みを生じる応力(クリープ制限応力)をもって表す(例えば、103時間で0.01%の歪みを生じる応力)ことが一般的である。クリープ破断強さは、一定温度のもとで、一定時間で破断する応力をいい、種々の応力に対する破断時間を測定し、外挿法で求める(例えば、103時間の破断応力)。これらのデータは、高温で使用される部材の設計許容応力を定めるために用いられる。
クリープは速度論的な整理が可能であることが示されており、応力-破断時間の関係を試験温度に関わらず主クリープ破断曲線と呼ばれる曲線で表すことができる。図に一例を示すが、横軸は温度、時間を1つの式にまとめて表したLarson-Millerのパラメータであり、この図はデータの内外挿に広く利用されている。
〔出典〕鉄鋼便覧, 日本鉄鋼協会(1981)

引張試験 (tensile test:ひっぱりしけん)
 材料の引張力に対する弾性的性質、塑性変形抵抗、破断強さ、成形性などを測定することを主目的とした試験で、機械試験の代表的なものである。金属材料の引張試験法はJIS Z 2241に規格化されている。また、供試材である金属材料引張試験片についてもJIS Z 2202に規格化されている。
 試験片に徐々に引張荷重を加えたときの荷重と、それに対応する伸びの関係を線図に表したものを荷重-伸び図という。試験片は荷重を受けて伸びるにつれて、その断面積は小さくなっていくから、真の応力は荷重をそのときの断面積で除したものでなければならない。しかし、一般にはそのときの荷重で原断面積で除した応力すなわち公称応力が用いられ、一方、伸びについても、試験前の標点距離?0が?になったときの(?-?0)/?0すなわち公称歪みが用いられる。この場合、荷重-伸び線図は尺度を変えてそのまま、公称応力-公称歪み線図となる。
 (図は準備中)引張試験片に荷重を加えていくと、ある程度まで、すなわち図中P点まではそれに比例して直線的に伸びが増加する。また、E点までは荷重に対して伸びの増加の割合はいくらか大きくなって直線をやや離れて、いくぶん曲がるが、なお弾性は保たれ、荷重を取り去れば伸びもなくなり原形に復する。これ以上荷重が増加させた後、除去しても伸びが残留して原形に復さなくなる。P点に相当する応力を比例限、E点に相当する応力を弾性限という。P点あるいはE点後さらに荷重を増すと、塑性変形の領域に入り永久伸びが次第に大きくなり、S点に達すると荷重のわずかな低下を生じ、その低下した荷重の下で急激な伸びの増加が生ずる。このような現象を降伏といい、降伏を始めてから終わるまでの最大応力すなわちS点に相当する応力を上降伏点、降伏し始めた後ほぼ一定の荷重状態における最小の応力を下降伏点という。JISでは、まぎらわしくないときな、上降伏点を単に降伏点と呼んでもよい、としている。なおも変形を加えていき、降伏現象が試験片平行全域に及ぶに至って、材料は加工硬化を生じ、再び荷重が増大していく。以降荷重の増加につれて伸びの増加はますます大きくなり、M点で最大荷重(最大引張荷重*)に達し、試験片のある箇所に局部的な断面減少(ネッキング)と共に局部伸びが現れる。さらに断面収縮が大きくなるにつれ荷重が減じ、Z点に至ってついに破断する。M点に相当する応力を引張強さという。

 MCFCの金属構成部品として使用されるステンレス鋼やNi基合金をはじめとする一部の金属材料においては降伏点が明瞭に現れないが、この場合は、規定の永久伸びを起こすときの応力、あるいは荷重下における全伸びが規定値に達したときの応力を耐力と定め、降伏点に相当する特性値として用いる。
〔出典〕鉄鋼便覧, 日本鉄鋼協会(1981)

引張強度コニカルカップ試験
比抵抗 (specific resistance:ひていこう)
 比電気抵抗の略語であり、電気伝導率σの逆数ρ=1/σをいう。電気抵抗率または単に抵抗率ともいう。等方性導体については物質定数であり、断面積Sが一様な等質導線の長さLの部分の抵抗Rは、R=(L/S)ρで与えられる。ρの単位は、Ω・mである。

比熱 (specific heat:ひねつ)
 単位質量の物質の温度を単位温度だけ上昇させるのに要する熱量、普通は1g(または1mol)、1Kに対する値を用いる。単位はJ/(K・g)またはJ/(K・mol)。1molに対するときは、モル比熱、モル熱などという。一般に温度によって変化する。また温度を高めるときに一定圧力のもとで行うか、または一定体積に保つかによって異なるから定圧比熱CPと定積比熱CVとを区別する。
MCFCスタックの固体、液体材料では体積変化を無視することができ、定圧比熱CPと定積比熱CVは等しいと考えてよい。スタックの昇温設計、温度分布予測に使用される定数である。
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1987)

熱拡散率
比表面積 (specific surface area:ひひょうめんせき)
 単位量の粉体に含まれる粒子の表面積の総和で表される量で、通常は単位質量の粉体のもつ全表面積SW (u/g)で示される。比表面積の測定法としては、吸着法、湿潤熱法、透過法および拡散速度法がある。
 これらの方法の中で気体の吸着を利用する吸着法が最もよく用いられる。これは粉体粒子表面に大きさのわかった分子あるいはイオンを吸着させ、BET等温吸着式を適用し、吸着量から表面積を計算する方法である。
〔出典〕粉体工学ハンドブック, 朝倉書店(1972)

BET法
表面粗さ計 (surface roughness tester:ひょうめんあらさけい)
 仕上面またはその他の表面の凹凸状況(表面粗さ)を測定する計器である。
表面粗さ測定法としては、大別して面を直線的に触針で測定するもの(触針)と光学的に測定するもの(光切断法、光線反射法)とに分類することができる。表に代表的なものを示したが、これらの内、触針法が最も一般的に用いられている。
 触針式の粗さ計は針で表面を一定方向に動かし、針の上下動を測定するものである。これには断面曲線を求める方法と平均値を求める方法がある。
 表面粗さを定量的な数値で表すには、凹凸の高さで表すが、目的によって凹凸の傾斜、間隔あるいは間隔ごとの高さの分布で表示する必要も生じてくる。
 JIS規格では、対象物の表面からランダムに抜き取った各部分における中心線平均粗さ(Ra)、最大高さ(Rmax)及び十点平均粗さ(Rz)のそれぞれ算術平均値を表面粗さとしている。

 実際の燃料電池は、単セルを急積層した形(スタック)で使用されるため電池構成材料の板厚公差には制限がある。したがって、セパレータ材として表面処理材を用いる場合にも、セパレータ材各部における皮膜厚さの変化(膜厚分布)が問題となる。表面粗さにはこれらの膜厚変化を微視的にとらえたものである。このため、表面精度は表面粗さと膜厚分布を包括した表現である。
〔出典〕鉄鋼表面技術便覧, 日刊工業新聞社(1976)
    化学大辞典, 共立出版(1967)

表面張力 (surface tension:ひょうめんちょうりょく)
 液体または固体の内部にある分子は周囲の分子により取り囲まれているのに対して表面にある分子はその半分が取り除かれた状態にあるため、分子間引力の一部を断ち切るのに要する過剰の自由エネルギーを持っており、これを表面自由エネルギーと呼ぶ。この表面自由エネルギーの単位面積についての仕事量を表面張力と定義できる。単位は、N/mとして示されている。一般に、表面張力は液体の表面において存在すると考えられるが、固体表面においても表面自由エネルギーがあり、つまりは表面張力は存在する。広義に解する時は、任意の相異なる2相の境界面において存在するものとして、界面張力ともいう。〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)

 MCFCにおいて、電解質の電池構成部材への濡れ広がり挙動を考慮する時、接触角と共に必要とされる物性値である。(Li0.52Na0.48)2CO3の923Kでの表面張力は、235mN/mである。


電解質保持濡れ性
ビード溶接 (bead welding:びーどようせつ)
 MCFC用セパレータ材料等の溶接割れ感受性の評価方法としてトランスバレストレイン試験法*が用いられている。その方法は、片側が拘束された平板試験材にビード溶接を施し、その途中で急激な曲げ変形を加えて溶接部に発生した割れ長さや割れ数などを測定し、溶接割れ感受性を評価するものである。
 ビード溶接は、溶接棒を使用せず母材のみを溶かして溶接部を形成させる場合と溶接棒を使用する場合とにわけられる。
 溶接入熱または溶接条件は溶接部の形状、溶接金属の組成(母材希釈量)および溶接部の組織に影響を及ぼす。その影響により評価結果が異なる場合があるので溶接入熱または溶接条件の選定には実機セパレータ等の溶接入熱または溶接条件を考慮して選定する必要がある。
〔出典〕Welding handbook, American welding society(1950)

ビッカース硬さ (Vickers hardness:びっかーすかたさ)
 対面角が136度のダイヤモンド四角錐圧子を用い、試験面にくぼみをつけたときの試験荷重と、くぼみの対角線長さから求めたくぼみの表面積とから次の式で算出した値。

HV=0.102F/S=0.102×2F sin(θ/2)/d2=0.18909F/d2

ここで、HV:ビッカース硬さ、F:試験荷重(N)、S:くぼみ面積(mm2)、d:くぼみの対角線の長さの平均(mm)、θ:ダイヤモンド圧子の対面角(度) なお、HVの数値には単位はつけない。
試験法はJIS Z 2244に規定されている。

ピンホール試験 (pinhole test:ぴんほーるしけん)
 めっき皮膜にピンホールが存在し、これが素地まで達していると、防錆硬化ははなはだしく減少する。特に、Niめっきのように、素地に比べめっき皮膜の方が貴な電位な場合は、素地金属が陽極となって腐食が進行し、内部から崩壊する。したがって、めっき皮膜の多孔性は耐食性にとって好ましいものではない。このような皮膜の欠陥について、表面の皮膜を侵食しないで行う試験を有孔度試験という。実際の試験方法としてはフェロキシル法がある。
 なお、JISによるピンホール試験とは、ゴム製品などにおいて微妙な孔の存在を知るために行う試験と定義されている。したがって、めっき製品のピンホールの有無をチェックする試験法としては、有孔度試験の方が適当である。
〔出典〕めっき技術便覧, 日刊工業新聞社(1971)

フェロキシル法 (ferroxyl test:ふぇろきしるほう)
 めっき皮膜のピンホールの有無を評価する試験法の1つで、最も一般的な試験法である。この方法は、表面を清浄にした試験面に試験液をしみこませた緻密なろ紙(試験紙)をはりつけ、一定時間放置した後はがし、試験紙を水で洗って乾かす。このとき試験片にピンホールがあれば素地または下層金属の反応生成物が紙面に残留し、青色はん点(フェロシアン化鉄)となって現れる。このはん点の数により、ピンホールの有無を判断する試験液としては、適量の蒸留水にフェロシアン化カリウム(JIS K 8802, 一級品以上)10g、フェリシアン化カリウム(JIS K 8801, 一級品以上)10g及び塩化ナトリウム(JIS K 8150)60gを室温で溶解し、1?にうすめた後ろ過した溶液を使用する。試験時に新調した試験紙を使用することを原則とする。
〔出典〕めっき技術便覧, 日刊工業新聞(1971)
    表面処理ハンドブック, 産業図書(1969)

深絞り変形 (deep-drawing deformation:ふかしぼりへんけい)
 プレス成形の基本的変形様式の一つである。ダイス面(プレス機のプレス面)上の材料が縮みフラン寺変形を生じてダイス穴へと流入する変形である。縮みフランジ変形ともいう。平板からカップを絞るときにカップの側壁になるフランジ部分はおもに面内圧縮力を受けて縮み、肉厚を、増しながら絞られる。したがって、側壁部は肉厚を増すが、カップの底部では絞りに要する力を受けて引張られ、張出しを受けて肉厚が薄くなる。
 材料が流入するのに必要な力がポンチに接する材料や絞られた側壁部で支え切れずに破断する場合がその深絞り限界である。深絞りの成形は、絞り率(ポンチ直径/ブランク直径(試験板の直径)、あるいは絞り比(ブランク直径/ポンチ直径)によって表わすことが多い。
 MCFC用セパレータあるいは波板などの深絞り性の評価は金属材料の選定において重要であり、その評価方法として、カップ底部の破断を判断基準とするエリクセン試験*やコニカルカップ試験*などがある。前者ではエリクセン値が大きいほど張出し成形性がよく、後者ではコニカルカップ値が小さいほど深絞り性と張出し性の複合成形性がよい。
〔出典〕プレス加工便覧, 丸善(1975)
    金属便覧, 丸善(1971)
    精密工作便覧, 精機学会(1970)

腐食減量 (weight loss:ふしょくげんりょう)
 腐食環境から取り出した後、表面に付着した腐食生成物を取り除いた被測定体の質量減。または単位表面積当たりの質量減。
〔出典〕JISハンドブック, 鉄鋼, 日本規格協会(1988)

腐食速度
腐食速度 (corrosion rate:ふしょくそくど)
腐食度または侵食度ともいう。腐食減量*を単位時間、単位表面積当たりで表した値あるいは腐食減量から計算される単位時間当たりの平均腐食深さである。

腐食減量
分極下腐食試験 (corrosion test under polarized condition:ぶんきょくかふしょくしけん)
  所定の水溶液または溶融塩の腐食環境において、金属電極(試験片)の電位をその金属のアノード分極曲線上のある一定電位に保ったままの状態で腐食させる試験法。定電位発生装置等の外部装置を用いて、試験片電極の電位を強制的にコントロールする点で通常の浸漬タイプの腐食試験と異なる。また、アノード電流の経時変化すなわち腐食速度*の経時変化が容易に得られる利点がある。
MCFCの金属部品のように、運転中に分極された状態になる部材の腐食挙動を実験的に模擬する目的に適した試験法である。


分極曲線
分極曲線 (polarization curve:ぶんきょくきょくせん)
 分極とは反応電流が流れることによって生じる電極電位*の平衡電位からのずれとして定義でき、一般に活性化分極と濃度分極に区別される。分極の量は分極による平衡電位からのずれの絶対値、すなわち過電圧によって示され、ある電極の電位はその電極の平衡電位と各分極による過電圧の総和として表現される。
 分極曲線とはこのような電極の電位と反応電流との関係を示す曲線である。分極曲線の測定法は2つに大別され、1つは電極電流の変化に伴う電極電位の変化を測定するものであり、もう1つは電極電位の変化に伴う電流電位の変化を測定するものである。実際はこの2つの測定法による分極曲線は必ずしも一致しない。
 分極曲線を用いて金属の水溶液または溶融塩中での腐食速度*を定義することが広く行われている。金属の腐食反応は金属原子がイオン化すると共に電子を放出するアノード反応により記述できる。腐食反応が連続的に進行するためには金属表面において放出された電子を受容するカソード反応が同時に進行する必要がある。腐食の定常状態においてはアノード反応における電子放出量とカソード反応における電子受容量は常に等しく、電極電位も定常的なある値をとる。この腐食反応の特性はアノード分極曲線とカソード分極曲線と組み合わせることによって図式的に表現できる。図中Aの曲線はアノード反応の分極曲線で、電位上昇に伴って反応電流は増大する。C曲線はカソード反応分極曲線で、反応電流はアノード反応の場合と逆に電位降下と共に増大する。両曲線の交点でアノード反応電流とカソード反応電流とかが等しく、腐食反応の条件を満足する。従って、この交点が金属の腐食状態を表すことになる。この交点の電位を腐食電位*(Ecoor)、電流値を腐食電流*(icoor)と呼ぶ。腐食電流はその定義から明らかなように、金属の腐食速度と等価である。
A  :金属のアノード分極曲線
C  :カソード反応分極曲線
EA  :アノード反応平衡電位
EC  :カソード反応平衡電位
Ecoor :腐食電位
i coor :腐食電流
〔出典〕電気化学便覧, 電気化学協会(1981)

アノード分極曲線分極下腐食試験
分極抵抗 (polarization resistance:ぶんきょくていこう)
 一般にセル電圧*は電流を取らないとき(平衡状態にあるとき)には、熱力学的に定まる値(開回路電圧*)を示し、電流密度*を上げるにつれ低下してくる。これは開回路電圧を発生する定電圧電源と抵抗を直列に接続したのと回路的には等価であり、電流密度を上げることによるセル電圧の低下分すなわち分極値はこの等価回路*では抵抗の両端の電圧に相当する。このような考えから、分極値を電流密度で割った値を分極抵抗と呼ぶ。一般的には電流密度の増加に対する分極値の増加は直線的ではないが、MCFCのセル電圧は限界電流密度*の近くまでほぼ直線的に低下するため、電極性能を表す簡単なパラメータとしてこれがよく用いられる。なお、場合により分極抵抗を分極係数と呼ぶこともある。
 MCFCではネルンストロス*(開回路電圧のガス組成による変化)が無視できないため、定利用率*で電流-電圧特性*を測定しその勾配を分極抵抗*とすることが一般的である。

分極特性 (polarization characteristic:ぶんきょくとくせい)
i-η特性*ともいう。電極反応において電流を取り出した場合に生じる電極電位の平衡電位からのzれ(分極)と電流との関係をいう。この時得られる関係を分極曲線*、叉は電流-電位曲線といい、電池内反応の基礎的測定量である。
MCFCにおけるアノード反応およびカソード反応はそれぞれ(1),(2)式であり、その時ネルンスト電位は(3),(4)式で計算される。

 O2+4e+CO2→2CO32- (1)
 2H20+2CO2+4e→2H2+2CO32- (2)
 Ea=Eoa+(RT/4F)ln((PCO2,a)^2(PH2O)^2/(PH2)^2) (3)
 Ec=Eoc+(RT/4F)ln(PO2(PCO2,c)^2) (4)

また、開回路電圧*(E)は(5)式となる。

E=Ec-Ea (5)

アノード側およびカソード側の分極をそれぞれηa 、ηcとすると電池電圧(V)と分極とは(6)式の関係にある。

V=E-ηa-ηc-iR (6)

iR:抵抗分極*

電流が増加するに従って分極は増加傾向を示す。分極特性に影響を与える因子としては、温度、圧力、ガス組成、電極特性(材料、微細構造、炭酸塩含有率等)などがあげられる。

それぞれの分極(ηa ,ηc)は電荷移動に関係する活性化分極や、電極表面近傍の濃度変化に関係する濃度分極などにわけられる。
〔出典〕電気化学便覧, 丸善(1985)

i-η特性
分散剤 (dispersing agent, dispersant:ぶんさんざい)
 粉体-液体系で微細粒子の集合体を分散させるために加える添加剤。
分散媒(液体)のpHの調整や粉体および液体の表面活性を変化させることにより、分散媒中の分散質が熱力学的に安定な状態にさせるものである。
最適な分散特性を示す分散剤は、粉体と液体との組み合わせにより異なる。粉体の粒子特性(表面電荷、粒径等)と液体特性(水系、溶剤系、および溶剤の極性、pH等)とを考慮して選択を行うが、指標としては、一般に、分散安定性の観察から選択する。
MCFCにおいては、電極および電解質板を作製する場合に使用される。一般に、電極または電解質板の作製には、金属粉またはセラミックス粉を用いてろい、これら粉体の均一分散のために用いられる。例えば、テープキャスティング法により部材を作製する場合は、テープ成形には粉体を分散媒中に分散させたスラリを使用する。このスラリ調製において、粉体の一次分散工程に使用する。
分散剤の例としては次のようなものがある。
(1)水系
1)ポリカルボン酸塩系
2)リン酸塩系
3)ポリアクリル酸系
4)縮合ナフタレンスルホン酸系
5)アリルスルホン酸系
6)アミン系
(2)溶剤系
1)多価アルコールエステル系
2)ポリエーテル系
3)アミド系
4)アミン系
5)スルホン酸系
6)カチオン系
7)ポリエチレングリコール
〔出典〕セラミックス辞典, 丸善(1986)

プレス加工 (press forming:ぷれすかこう)
 プレス加工は往復圧縮運動を主とするプレスなどの加工機械および型工具を用いて金属その他の材料の一部もしくは全域に永久変形を与え、成形、接合、分離、矯正などを行う加工方法である。
 永久変形を利用して素材から必要とする形状、寸法の製品を作る場合を広い意味でプレス成形と呼んでいる。板材の曲げ、張出し、フランジ成形および深絞り成形*もプレス成形に含まれる。MCFC用セパレータや波板などの成形はこの加工法に該当する。分離は、材料が塑性変形して破断するまでの性質を利用して、切断、分断、打ち抜きおよび穴あけなどのせん断によるものである。MCFCの穴あき集電板(コレクタ)はこの加工法に該当する。
 矯正は、形状、寸法あるいは表面状態を高める作業である。MCFC用セパレータの溶接あるいは熱処理などの影響による変形を矯正する作業がこの加工法に該当する。
〔出典〕プレス加工便覧, 日本塑性加工学会(1975)

ボード線図 (Bode diagram〕:ぼーどせんず)
 自動制御系において、各要素がいろいろな周波数の正弦波状入力信号に対して示す周波数応答の表し方の一つ。自動制御系の解析や設計の基礎資料として重要である。電気化学の分野では、交流インピーダンス法の解析によく用いられる。図は(準備中)図中の等価回路*のボード線図を示したものである。回路の交流電圧を印加したとき、抵抗Rに流れる電流は印加した電圧の周波数に依存せず一定で、位相差は生じない。一方容量Cには周波数f(ω=2πf)に反比例した電流が流れ、位相差θは90°進む。
 C1< 領域Aでは、R1に比べ1/ωC1が大きくなるため、Zは周波数の減少とともに1/ωC1に従って増加し、位相差は90°となる。領域Bでは、1/ωC1>>R2、1/ωC2≒0となるため、電流はR2?C2の経路を流れ、Z≒R1+R2、θ≒0となる。
領域CではAと同様に1/ωC2>>R2となり、ωの減少とともにZおよびθの増加が見られる。さらに領域Dでは、1/ωC2>>R3で電流はR2〜R3の経路となるためZ≒R1+R2+R3、θ≒0となる。このように、測定されたインピーダンス値をボード線図に表せば、その形からどの等価回路が妥当であるか、また、それに含まれる抵抗成分および容量成分の値も知ることができる。ただし、横軸および縦軸は対数値で表されるので正確な抵抗および容量の値を求めるのは困難である。


交流インピーダンス測定
ポロシティー (porosity:ぽろしてぃー)
気孔率

[ま]

マイクロトラック法 (micro-track method:まいくろとらっくほう)

 粒子にあたったレーザ光は粒子のサイズに反比例した角度で粒子の近傍で回折し進行方向が変わる。粒径*が小さいほど回折角度は大きくなる。粒子によって回折した光からフラウンホーファーの回折パターンがえられる。この回折光での光の強さは以下のAiryの式で表される。

I(ω)=Ek^2a^4(J1(kaω)/kaω)^2, K=2π/λ, ω=sinθ

ここに、Eは入射光の単位面積当たりの光束、λは波長、J1はベッセル関数、θは入射光軸となす角度、aは粒子の半径である。
すなわち、各θでのIがわかればaがわかる。この時の回折光の強度分布は、粒径にのみ依存し、粒子や分散媒の特性値は測定には直接影響しない。そのため密度の異なる混合試料も一度に測定でき、また分散媒の影響も受けずに測定できる。〔出典〕粉粒体計測ハンドブック, 日刊工業新聞社(1981)

→レーザー回折式粒度分布測定、 レーザ回折式粒度分布測定
マトリックス (matrix:まとりっくす)
 燃料電池の液体電解質が保持される固体の多孔質基材をいう。電解質保持材ともいう。マトリックス材料には、燃料電池の運転温度において電解質に対して長期の安定性が必要である。
MCFCの場合には、マトリックス材料としてLiAlO2(リチウムアルミネート、アルミン酸リチウム)の微粉末が使用され、粒子の隙間に電解質である溶融炭酸塩を保持して電解質板を形成する。繊維状のAl2O4あるいはLiAlO2を混入するとマトリックスの機械的強度を高めることができる。
電解質板に、電解質を含浸したものをマトリックスと称することもある。

耐差圧特性
マニホールド (manifold:まにほーるど)
燃料電池スタックにガスを送り込む配管を指す。積層した電池それぞれにガスを行き渡らせるための配管である。スタックの側面にガスの入り口、または出口をならべ、これを覆うようにガス室を外側に取り付けるやり方を外部マニホールドという。ガス室はパッキンに相当する耐熱フェルト(アルミナウールなど)でスタック側面に押しつけられる。この耐熱フェルトに電解質がしみこみ、スタックの電圧で電解されて電解質が移動するという問題があった。現在は、電池スタックの中にあってセパレータに作り込んだ穴と溝を使った内部マニホールドが主流になっている。

面抵抗 (sheet resistivity:めんていこう)
 単位面積当たりの導電性*の逆数として示され、導電性の良好な物質は面抵抗が小さくなる。また、体積抵抗(Rv)に断面積を乗じた値でもあり、体積抵抗率*(ρ)とは次式の関係にある。

Rs=ρ×d [Ωm2]

ここで、Rsは面抵抗、dは長さ[m]である。SI単位系ではΩ・m2で表されるが、電池においては慣用的にΩ・cm2、mΩ・cm2を使用することが多い。
MCFCではその構造上、各コンポーネントの材料の固有抵抗*によって生じる抵抗のほか、発電中の部材表面に生じる導電性の低い腐食層、酸化層による抵抗、さらに部材の変形などにより部材間の接触不良による抵抗が面抵抗内に含まれる。これらの変化がセル電圧*に大きな影響を与える場合がある。
通常のMCFCでは、初期は一般に0.3〜0.5Ω・cm2程度である。
〔出典〕インタープレス科学技術25万語辞典, インタープレス(1984)

体積抵抗率
面分析 (scanning image, characteristic X-ray image:めんぶんせき)
EPMA*において、線分析のときよりも、もっと速い速度で試料上の一定領域(面積)を、電子線を掃引しながら、これと同期して、掃引している陰極線管のラスタの照度をある元素の特性X線の検出信号で変調することにより、その元素の2次元濃度分布に応じた一種の顕微鏡像が得られる、すなわち、一個のX線量子がCRT上の一個の輝点として表されるので、その密集部が高濃度部ということになる。
このことを面分析と呼ぶ場合もあるが、一般には走査像、この場合には特性X線像と呼ぶ。
また、特性X線の代わりに反射電子や二次電子の信号を用いることによっても、試料表面の様子を知るうえに都合のより顕微鏡像が得られる。
〔出典〕X線マイクロアナライザ, 日刊工業新聞社(1972)

EPMA

[や]

ヤング率 (Young's modulus:やんぐりつ)

 弾性率の一種で伸び弾性率ともいう。一様な太さの棒の一端を固定し、他端を長軸方向に引く(または押す)場合、棒の断面にはたらく応力をT、単位長さあたりの伸びひずみをεとすると、ひずみεが小さい場合、応力Tがひずみεに比例する。この比例関係が成り立つ範囲内では T=E・ε とかくことができ、この比例定数E=T/εをヤング率という。SI単位系では Pa(=N/u)で表示される。物質特有の定数である。1807年ヤングによって導入された。
MCFCの設計においてセパレータ、スタックの弾性変形を予測する際に使用する。
記号:SI単位
 T :Pa=N/u
 ε:無次元
  E :Pa=N/u
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1987)

ヨウ素滴定法 (iodometric titration, iodometry:ようそさんてきていほう)
 リチウム(Li)の容量分析法の一方法である。
試料溶液中のLiイオンを強アルカリ性で過ヨウ素酸塩(MIO4)により沈澱させこれを希硫酸(H2SO4)で溶解し、ヨウ化カリウム(KI)を加えて遊離したヨウ素(I2)を規定濃度のチオ硫酸ナトリウム(Na2S2O4)水溶液で適定してLiを定量する方法である。
 試料に王水を加えて加熱分解し、蒸発乾固後塩酸(HCl)を加えて可溶性成分を溶解し、これにアンモニア水を加えて水酸化アルミニウム(Al(OH) 3)を沈澱させこれを熟成、ろ過してAlを分離除去する。次に、ろ液中に含まれるアンモニウム塩を蒸発乾固して除去したのち、水酸化カリウム(KOH)水溶液を加えて強アルカリに性にし、過ヨウ素酸カリウム(KIO4)水溶液を加えて過ヨウ素酸リチウム(LiIO4)の沈澱を生成させる。これをフィルターで吸引ろ過後、希H2SO4で溶解し、その溶液にKIを加えてI2を遊離させる。最後に、デン粉を指示薬として遊離したI2をN/10Na2S2O3水溶液で適定する。
〔出典〕分析化学便覧, 丸善(1988)

溶融炭酸塩形燃料電池 (molten carbonate fuel cell:ようゆうたんさんえんがたねんりょうでんち)
溶融炭酸塩を電解質として用いる燃料電池。
 500℃前後の融点をもつ炭酸塩を電解質とした溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は、600〜700℃で発電する燃料電池。MCFCは、その運転温度のため高い化学反応活性を得て常温型の燃料電池が必要とする高価な触媒を必要としない。また650℃程度の排熱をさらに発電源として利用できることなどにより、高効率発電が可能であ。また、石油、石炭、天然ガスなどの多様な燃料に対応できる発電方式として注目されている。これらの燃料は改質により水素を生成させて用いる。水素はアノードで電子を放出し、炭酸イオンと反応して水と二酸化炭素を生じる。酸素はカソードで電子を受け取り、炭酸ガスと反応して炭酸イオンとなる。このため、カソードには空気と炭酸ガスを供給する必要がある。
 カソードにはLiイオンが結晶中に進入した多孔質の酸化ニッケルが、アノードにはアルミニウムとニッケルの合金粉末を焼結させた多孔質の板が用いられる。
 溶融炭酸塩電解質には炭酸リチウムと炭酸ナトリウムを混合したものが用いられており、これらは運転温度で液体であるためリチウムアルミネート(LiAlO2)の粉末に含浸させて用いている。電池を相互に積み上げ、酸化剤ガスと燃料ガスの通り道を得るためにセパレータという板が用いられている。それぞれのガス雰囲気に適した材料として燃料ガスにはニッケル、酸化剤ガスにはステンレス鋼をもちい、それらを張り合わせている。セパレータを用いて電池を積層し(積層電池をスタックと呼ぶ)、電圧をたかめている。
 
 
 

予備酸化 (preoxidation:よびさんか)
金属部材の表面処理方法の1つ。
酸化雰囲気で処理することにより、金属部材の表面に酸化皮膜を形成する方法。
MCFCを構成する部材は、運転温度での高耐食性が要求される。そこで、耐食性を改善するためにはコーティング、クラッド、予備酸化等の表面処理が施される。


[ら]

リチウムアルミネート (lithium alminate:りちうむあるみねーと)

アルミとリチウムの複合酸化物で、α、β、γなど種々の構造がある。溶融炭酸塩形燃料電池の電解質である溶融炭酸塩をしみこませる電解質保持剤として用いられている。

電解質板
粒界 (grain boundary:りゅうかい)
 結晶粒間の界面または粒子の境界面。
物質を構成する結晶の内部構造は原子やイオンが特定の配列をなして結晶格子を形成し、物質固有の結晶構造をとる。物質の多くは、一般に、多数の小さな単位結晶(結晶粒)の集まり、すなわち多結晶体である。この場合の結晶粒間の境界を結晶粒界という。粒界は、結晶方位の異なる2つ以上の粒子の間にあって、粒内の原子配列の規則性や電子的ポテンシャル等に不連続を生じるところでもある。粒界の厚みは焼結時の温度、時間、雰囲気、原子の移動度などに依存している。
 粒界の一般的な性質を次に示す。
(1)粒界の融点は粒子より一般に低い。
(2)原子、イオンの粒界拡散は粒内拡散より一般に速い。
(3)電磁気的、機械的、光学的性質が粒子と異なる。
(4)電子の捕獲中心が多く存在し、ポテンシャルバリアーが形成され易い。
 また、マクロ的視野で見た結晶集合体としての物質粒子を一構成単位とすれば、これら粒子の境界面も粒界という。一般に、粒子粒径が小さくなるにしたがって粒子を構成する全原子数に対する表面原子の比が大きくなり、表面エネルギーが無視できないほど大きくなるため、粒子表面ではバルク状態とは異なる特性を使用することが可能である。
 一般に固体の表面は、いわゆるas-grownの自由表面であるため、その表面の形成条件により表面特性も種々変化する。また、固体の表面は物質の違いによる差はあるが、必ず反応性を有している。特に、反応性の高い活性化水分子および酸素(O2-,O-)と速やかに反応する。
 MCFCにおいて、粒界の関与する現象として、粒界腐食がある。腐食媒体により境界部が局部的に侵され、粒界に沿って逐次拡大していき、セル抵抗の増加、セル内物質バランスの変化など電池の性能低下の要因となる。また、電極または電解質などは金属粒子またはセラミックス粒子を用いた多孔質構造であり、高温または溶融塩雰囲気中での長時間におよぶ使用による粒子間焼結現象の進行に伴う微細構造の変化があり、これも粒界で発生する現象である。これらの対応として、物質の結晶および粒子界面の制御が今後必要となってくる。
〔出典〕化学大辞典, 共立出版(1987)

粒径 (particle size:りゅうけい)
 粒子の形や大きさは電子顕微鏡等により直接観察でき、粒子がすべて球状あるいは立方体であればその粒径は直径や辺の長さで示すことができる。しかし、実際の粒子はその製造法や物質自身の性質によりさまざまな形をしているため、粒径の定義が必要となる。顕微鏡法以外の粒径測定法では、理想的な粒子を仮定した物理法則を利用しており、測定される粒径はその粒子の大きさと比較できる理想形状の粒子の粒径(相当径)である。表及び図に粒子径の定義を示す。
表5 粒子の代表径
図65 不規則形状粒子の代表径のとり方
MCFCの評価においては、3軸平均径*、3軸調和平均径*およびMartin径*等が用いられる。3軸平均径は、粒子の短軸径をb、長軸径をL(b⊥L)、厚みをhをおいたとき(L+b+h)/3で表される。3軸調和平均径は3(1/b+1 L+1/h)-1となる。またGreen径はある一定方向に対して垂直方向の粒子径として定義され、Martin径*は、Green径の1/2における一定方向粒子内径として定義される。
〔出典〕セラミックス, vol.22, pp8-14 (1987)

Martin径3軸平均径3軸調和平均径
粒径分布 (particle size distribution:りゅうけいぶんぷ)
 一般には粒度分布と呼ばれる。
 粉体は天然で存在するものにせよ、生産工程でつくられるものにせよ必ず大きさの分布をもっている。粒径分布とは粉粒体の粒径を適当な粒子間隔をえらんで、これらの間隔に属する粒子数(頻度)を測定し、横軸に粒子径をとり、ヒストグラム、頻度曲線、累積曲線などにより表したものである。
 粒径分布を測定する方法としては、比較的あらい粒子に対しては標準ふるいによるふるい分けが用いられ、ふるい分け域以下の試料に対してはストークスの法則に基づく沈降法が広く利用されている。通常、沈降法では一定の距離hを沈降するのに要する時間tを測定してそれから粒子径を求めるのが普通である。
 濁り度の時間的変化を測定する光透過式粒度測定法も沈降法の一種である。光透過法の原理はLambert-Beerの法則で入射光強度と透過光強度の比は粒子濃度、光路長の関数であるとともに、ある粒径の二乗とその粒径成分の単位重量、当たりの粒子数の積の関数でもあることに利用しているのである。特に微小な粒子に対しては光線やX線の散乱も利用される。光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて顕微鏡法は粒子の種類や粒径範囲などに制限のないのが特徴であるが他の方法に比べて測定粒子個数がきわめて少ないために精度は低い。
〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1974)

レーザ回折式粒度分布測定 (laser diffraction particle size analysis:れーざかいせつしきりゅうどぶんぷそくてい)



マイクロトラック法
レーザフラッシュ法 (laser flash method:れーざふらっしゅほう)
 材料をレーザでパルス加熱して熱伝達率、熱伝導率*、比熱*などの材料の熱定数を求める手段である。試料の片面にレーザパルスの閃光を瞬間照射して加熱し、そのときの試料の反対面の温度上昇とその時間変化を測定する。レーザによって与えられた熱量Qと試料裏面の上昇温度の最大値(飽和値)Tmaxおよび試料の密度Dと厚さLから次式により材料の比熱Cが算出できる。

Tmax=Q/D・C・L

また、Tmaxに達するまでの時間の1/2の時間t1/2と試料厚さLから次式により熱拡散性kが求まる。

k=1.37L3/π2・t1/2

さらに次式に示す熱伝導率Kと熱拡散率kおよび比熱Cの関係から熱伝導率が求まる。

K=k・D・C

これらの熱定数は電池やスタックの熱分布や性能分布の解析、あるいは材料に発生する応力を求める基礎定数になる。

ろう付け (brazing:ろうづけ)
 金属同士や金属とセラミックスなどを接合する手法でろう接ともいう。
一般的には融点が450℃以上のものを硬ろう、これより低い物を軟ろうもしくははんだという。通常、強度を必要としない接合法として利用される。Agろう材を用いたAgろう付け法や接合材の表面を活性化するためにろう材中にTiなどの活性金属を添加する活性金属法などがある。接合する材料よりも融点を低くした金属や合金をろう材といい、代表的なろう材であるAgとCuの共晶系でその融点は650?800℃である。
材料を接合するには、ろう材を接合する材料間に挟み、必要に応じて加圧しながら全体を加熱する。融点まで加熱するとろう材は溶け、接合部の隙間を毛細現象で埋め接合材料表面をろう材が濡らす。従って、ろう材と接合材との濡れ性*が良いほど接合には有利である。ろう材を溶融させた後冷却・凝固させると両材料は接合する。
MCFCではセパレータ板を端部に設けられるシール用板をろう付けすることがあるが、高温で炭酸塩が共存する酸化性雰囲気に長時間耐えるろう材がないこと、大型部品に適用するには処理が複雑になるなどの問題があり、さらに材料、プロセスの面から開発が必要である。

ロックウェル硬さ (Rockwell hardness, Rockwell superficial hardness:ろっくうぇるかたさ)
 ダイヤモンド圧子叉は球圧子を用いてmまず基準荷重を加え、次に試験荷重を加え再び基準荷重にもどしたとき、前後2回の基準荷重における圧子の侵入深さの差hによって表の硬さ(HR)の定義式から求めた値。基準荷重が98.07N(10kgf)のときロックウェル硬さといい、基準荷重が29.42N(3kgf)のときロックウェルスーパーフィッシャル硬さという。
試験法はJIS Z 2245に規定されている。


露点 (dew point:ろてん)
 気体中で物体を冷却していって表面に露ができはじめる時の表面の温度をいう。物体に接している気体はこのとき飽和状態にあるので、その水蒸気の分圧は露点の飽和水蒸気圧に等しい。
MCFCの実験室レベルの運転試験では、燃料ガスへの加湿のために簡便であるという理由からバブラーが使用される。バブラー内では、燃料ガスの温度はバブラー水温と等しくなり、この温度の飽和水蒸気圧に相当する水蒸気が燃料ガスに加湿される。燃料ガス中の水蒸気分圧は、バブラーの水温によって制御され、バブラーの水温の飽和水蒸気圧に等しい。このため、露点で水蒸気量を知ることができる。
 〔出典〕理化学辞典, 岩波書店(1979)


[わ]