「個人情報の保護に関する法律案《逐条解説》」開示資料

経緯

現行の(2014年12月時点)「個人情報の保護に関する法律」が国会に法案として提出された2003年、法案作成を担当していた内閣官房の個人情報保護担当室が、部内用として作成していた法案の逐条解説「個人情報の保護に関する法律案《逐条解説》」が、情報公開制度によって開示されていました。開示請求したのは骨董通り法律事務所二関辰郎弁護士で、2007年8月28日に開示決定されたものです。

今日、この法律の改正が予定されており、それを見据えた議論が、「パーソナルデータに関する検討会」をはじめ、様々なところで活発に行われており、法学分野のみならず情報処理の技術分野の学会においても論説の発表が相次いでいます。こうした研究において、この開示資料は有益な参考資料となることは間違いありません。そこで、開示請求をされた二関辰郎弁護士のご賛同を頂いて、この場でWeb公開することにしました。

表紙がないため正確な文書名と作成日が不明ですが、新法案が国会に提出された直後とすれば作成日は2003年4月と推測されます。紙で頂いた開示資料のコピーをこちらでスキャンしたPDFファイルを以下に置きます。サイズは68メガバイトほどあります。

12月11日追記

昨日これを公表したところ、同様の開示請求をした他の方から、表紙と目次の付いた開示資料を頂きました。それによると作成日は「平成15年1月」とあります。内容は同一のもののようです。表紙と目次を画像で以下に示します。

資料

表紙ページの画像 表示ページの画像

注意点

「個人情報の保護に関する法律」は、旧法案新法案の2つが国会に提出されており、この逐条解説は新法案のものです。旧法案用に作成された逐条解説を、法案の修正部分に合わせて修正して作成されたものと推定され、一部修正漏れらしき部分(例:8頁の「国会、裁判所については、これに相当する規定はないが、基本原則は及ぼされており、基本原則にのっとって自律的に所要の措置を講ずることが求められる。」との記述は、旧法案の第2章(3条〜8条)に規定され新法案で削除された「基本原則」の存在を前提とした記述になっている。)が見つかります。

法成立後に担当室の職員や元職員らによって執筆され出版された逐条解説書「個人情報保護法の解説」(園部逸夫/編集 藤原静雄、個人情報保護法制研究会/著, ぎょうせい, 2005年改訂版 ISBN:978-4324075838)は、この部内用逐条解説とほぼ同一の文章が随所に見られることから、これを元に書かれたと見られます。その一方で、部内用には書かれていたのに出版書籍では削除されている段落が何か所か見つかります。その逆に、部内用には記述のなかったことについて出版書籍で詳しく書き足されているところもあり、国会審議を経た担当室の考え方の推移を垣間見ることができます。

履歴