1.1 直流抵抗標準

直流抵抗の国家標準の維持・供給をしています。

直流抵抗の一次標準には量子ホール効果が用いられています。 量子ホール効果は、1980年にProf. K. von Klitzingにより発見された現象で、二次元電子系と呼ばれる電子の薄い層に、垂直に磁場を印加した際に、ホール抵抗が

  $\displaystyle  R_\mathrm {H}=\frac{h}{ie^2}  $    

$h$はプランク定数、$e$は電荷素量、$i$は正の整数)で量子化されることを見出しました。 この功績により、Prof. Klitzingはノーベル物理学賞を受賞しました。

1に量子ホール素子の対磁場特性を示します。 古典的なホール効果の場合は、デバイスの材料によりホール係数が変化し、試料形状・寸法や電極位置、温度にもホール電圧の値は依存します。 しかし量子ホール効果は2次元電子系に本質的な量子効果であり、デバイスの形状・寸法や物質によらず、経年変化が無く常に$h/ie^2$の量子化抵抗値を得ることができるので、1990年1月1日より世界中の標準研究所で直流抵抗の基準として使用されてきました。

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Figure 1: 2次元電子系を有するGaAs/AlGaAs量子ホール素子の対磁場特性

 

2は産総研にて作製した量子ホール素子の写真です。現在の国家標準素子です。

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Figure 2: 産総研にて作製した量子ホール素子


住友化学 筑波開発研究所様およびNTT物性科学基礎研究所様によりご提供いただいた、良質なGaAs/AlGaAsウェハを使用しています。

量子化ホール抵抗を基点として、図 3に示すような流れで直流抵抗の標準を供給しています。

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Figure 3: 直流抵抗の校正の流れ
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