2010~2012年に、野外地質のひとつの可能性を探った記録です.現在では古い内容ですが、参考になることもあるので、アーカイブとして置いています.
汎用のソフトウェアを野外でテストした使用時の印象を記しています.
地図ソフト: 地図太郎 (plus)

地図太郎は,東京カートグラフィック社製のGISソフト.1ライセンス当たり約4,000 円と安価なのが特徴.地図太郎 plusは,さらにGPS機能等が利用できる上位版になる.背景図に国土地理院の地形図 (ウオッちず) が手軽に利用できる.点・線・面データの作図が可能.データはテキストベースのため,編集・変換が容易.またShapeファイルへ書き出しもサポートしている.
特徴・長所
- 地図太郎と「ウォッ地図」データの組み合わせは精細で,かなりの高倍率にしても解像度が良く,美しい.
- データがテキスト形式で保存されるため,加工しやすい.
- 表示中の画面を,位置情報付き画像ファイルとして出力できる.
- 1次~3次地域メッシュ (+1/50000地形図相当メッシュ) を表示する機能がある.
- GISソフトなので,各種のデータを個々のレイヤーに読み込ませ,切り替えて表示することができる.
要注意点・短所
- データは位置を示すファイル (.gen) と,記載内容のファイル (.csv) の2種類が作られる.
- 入力画面がカスタマイズできない.
- 点データの記号がカスタマイズできない.地質の地紋を登録できるようになると使いやすい.
- 点・線・ポリゴンはそれぞれ別レイヤーにする必要があり,ひとつのレイヤーにまとめて書けない.ただし,これは多くのGISソフトに共通する短所である.
- NMEA-0183形式のGPSログを直接読み込めない.GPX形式に変換しておく必要がある.
- 地図太郎Plusを選ぶと19,000 円となり,価格面での優位性は薄れる.
- 一度インストールすると,他のPCに移すことができないライセンス形態になっている.野外調査のようにPCトラブルの発生確率の高い場合,リスクが大きい.
(最終更新: 2012.4.12)
地図ソフト: カシミール

カシミールは3D景観CG作成もできる地図ソフトです.1990年代から広く使われているフリーソフトで,2011年のバージョンアップで「電子国土」に対応し,国土地理院の地形図を利用する場合の解像度が大きく改善されています.
特徴・長所
- 国土地理院の電子国土が、背景図として簡単に利用できる.
- 多機能でありながら,無料で使える.
- ズームレベルに応じて地図を切り替えられるため,地図ビューアとして使いやすい.
- GPSログファイルの各種フォーマットに対応しており,コンバーターとして利用できる.
- 地図上に表示するアイコンをカスタマイズできる.
要注意点・短所
- リンクファイル (.lml) の緯度経度表記はやや特殊.
- 電子国土をオフラインで利用するには,キャッシュの工夫と準備が必要.
ダウンロード
(最終更新: 2012.5.7)
テキスト入力: Microsoft XML Notepad

XML Notepadは,Microsoft社がフリーで配布しているXML編集ソフト.
特徴・長所
- 直接,XMLファイルを作成・編集できる.
- XMLの構造をツリー形式で表示でき,適宜折り畳むことができる.
要注意点・短所
- デフォルトでツリーが展開されない.
- ノードを選択した状態ではデータ入力ができない.右側のベインを選択する必要がある.また,右ベインでは表計算と同様に,文章を入力する場合にはダブルタップが必要.
- キーアサイン (ショートカットキー) は変更不可能.
(最終更新: 2012.4.12)
テキスト入力: Microsoft Excel
広く知られたMicrosoft社製の表計算ソフト.
特徴・長所
- オフィスワーク等で使い慣れている.
- Excelファイルの読み書きは,フリーのOpenOfficeでも代用できる.
要注意点・短所
- セル入力には表計算ソフトに固有の癖があるため,必ずしも文章入力に向いていない.基本的に文章を入力する場合にはセルのダブルタップが必要.
- 表計算独自の変換表示機能 (日付・数値など) がむしろ使いづらい.
- Excelファイル (.xls) の場合,テキストに比べて大量のファイルの検索性に劣る.
(最終更新: 2012.4.1)
入力補助: クリップボード拡張ユーティリティーSanvient
Sanvientは,入力支援を行うフリーのクリップボードユーティリティで,定型文や特定のコマンドの入力をキーボードを使わずに行うことができます.キーボードを持たないPCでは文字入力に苦労しますが,Sanvientのような入力支援ソフトはそれをある程度補完することができます.

特徴・長所
- 事前に登録しておけば,画数の多い漢字でも,難しい英単語でも一瞬で入力できる.
- 同様に,スペルミスを防げる.
- 同様に,曖昧さを回避できる.例えば,英語・日本語表現の統一,記憶が定かでない用語・地名も,登録しておくことで統一できる.
- プログラミング言語や仮想キーコードによるスクリプトが利用できる.このため,一連の複雑な操作が,ワンタッチで実行できる.
- 登録データはタブ区切り表形式 (.tsv) 経由で容易にインポート・エクスポートできる.
要注意点・短所
- メニューがツリー形式のため,異なるツリー下にある単語を選択するには一度戻らなければならず,手間がかかる.あまり深い階層をつくると使いづらい.ジャンプ機能が欲しい.
- インポート・エクスポート時にtsv以外のファイルを決して選択しないよう注意する必要がある (異常終了の原因となる).
- 登録・インポート等で作成しただけでは,その状態を記憶していない (iniファイルに書き込まない?).環境・状態を保存するためには,Sanvientを一度終了し,再度起動する必要がある.
(最終更新: 2012.4.1)
キーボード: PIGYソフトウェアキーボード

PIGYソフトウェアキーボードは,マウスでのキー入力を可能にするフリーのソフトウェアキーボードで,スキンを用意することで自由な配列・サイズにカスタマイズが可能です.Sanvientの入力支援を更に補完するため,独自のテンキーを作成して利用しました.
特徴・長所
- 動作が軽快.
- On Clickで色が変わるため,(タッチ操作の場合,事後にはなるが) 入力を把握しやすい.
- 複数キーの組み合わせ (Ctrl+Aなど) も可能.
- 2重起動で終了する仕様のため,タスクバーに表示させておけば,トグルスイッチで起動・終了できる.
要注意点・短所
- 文字がビットマップなので,輪郭が甘く,直射日光下では読みづらい.
- 2重起動で終了する仕様のため,複数のキーレイアウトを配置することはできない.
ダウンロード
(最終更新: 2012.4.1)
グラフィック: Inkscape

Inkscapeはオープンソースのベクターグラフィックソフトで,Windowsのほか,Mac OS,Linuxでも動作させることができます.また,保存形式はSVGなので,データの汎用性が高く,特にブラウザで直接表示できます (ブラウザをビューアーとして利用可).
野外テストでは,柱状図,スケッチ,歩測によるルートマップ作成に利用しました.
特徴・長所
- ベクター形式なので,一度書いた記録を再編集できる.
- ベクター形式なので,拡大縮小しても画質が損なわれない.
- レイヤーを使えるため,下絵と記入を分けることができる..
- 正確な長さ・角度が入力できる.
- 既存の図形にスナップできる.
- スプレーツールが使えるため,地紋の入力が容易.
要注意点・短所
- X70では動作が遅い.
- マウスによる操作が前提になっていて,スタイラスでは操作しづらい.
- メニューバーが折り返さない.横方向の画面の解像度が高くないと,メニューが入りきらない.
- 日本語のメニューに使われているフォントが読みづらい.
(最終更新: 2012.5.7)
グラフィック: Faststone Image Viewer

Faststone Image Viewerは,多くのファイル形式の読み込みに対応したフリーの画像ビューワー.画面キャプチャや簡易ドロー機能も備えています.
特徴・長所
- 動作が軽快.
- 一括リネームのほか,一括タイムスタンプ変更も可能.画像ファイルのタイムスタンプを,EXIFの撮影日時に変更できる.
- ドロー機能ではドロップシャドウが使えるため,書き込みがわかりやすい.
要注意点・短所
- ドロー機能では原寸大の画像上に書き込むことになるが,縮小表示機能がない.最近のデジタルカメラの画像は解像度が高すぎて,そのまま下絵にするのは実用的でない.事前に解像度を落とす必要がある.
(最終更新: 2012.4.1)
グラフィック: Windows Journal
Windows JournalはWindows 7に付属のペン入力ソフトです.[アクセサリ]-[Tablet PC]にインストールされています.
特徴・長所
- スケッチの修正が効く (一度書いた線を消せる) のは便利.
- 写真のコピペが可能で,下絵にできる.スケールも自動的に画面内に納めてくれる.
要注意点・短所
(最終更新: 2012.4.1)