2010~2012年に、野外地質のひとつの可能性を探った記録です.現在では古い内容ですが、参考になることもあるので、アーカイブとして置いています.
汎用のハードウェアを野外でテストした使用時の印象を記しています.
ポータブルPC:viliv X70

viliv X70は韓国Yukyungテクノロジーズ社製の7インチ型タブレットPCです.
特徴・長所
- OSはWindows 7.Windows 7 PCとしては小さく,軽い (660 g).
- SSD搭載,ファンレス設計もあって約5時間のバッテリー駆動ができる.バッテリーは交換できる.
- ホールドスイッチを備える.
- GPSチップが搭載されている.
- ハードウェアキーボードはないが,ソフトウェアキーボードの操作時に,キークリックに対応して本体が振動する仕組みがある (haptic keyboard).このため,入力感がつかみやすい.
要注意点・短所
- Windows 7の動作は重い.パフォーマンスオプションを操作する必要がある.
- ディスプレイの野外での視認性はあまり良くなく,直射日光を受ける状態ではほとんど見えない.
- タッチパネルの精度はあまり良くない.
- 個体差があるかも知れないが,GPSの動作がやや不安定.COMポートを認識しなくなっていることがある.デバイスマネージャーとGPS Switchを (4800 bpsに) 設定し直した直後には正常動作する.
- バッテリーは,1日はもたない.朝から使い始めて,午後3時前には交換する必要がある.
(最終更新: 2012.4.1)
ポータブルPC:viliv S5

viliv S5は韓国Yukyungテクノロジーズ社製の4.8インチ型タブレットPCです.
特徴・長所
- OSはWindows 7.Windows 7 PCとしては非常に小さく,軽い (410 g).汎用品のウエストバックにも無理なく収納できる.
- SSD搭載,ファンレス設計もあって約7時間のバッテリー駆動ができる.バッテリーは交換できる.
- ホールドスイッチを備える.
- GPSチップが搭載されている.
- ハードウェアキーボードはないが,ソフトウェアキーボードの操作時に,キークリックに対応して本体が振動する仕組みがある (haptic keyboard).このため,入力感がつかみやすい.
- I/Oポートには蓋があり,湿気のある水辺や砂埃のたつ海岸でもあまり神経質にならなくて良い安心感はある.
要注意点・短所
- Windows 7の動作は重い.パフォーマンスオプションを操作する必要がある.
- ディスプレイの野外での視認性はあまり良くなく,直射日光を受ける状態ではほとんど見えない.
- ディスプレイはサイズが4.8インチしかないのに,解像度が1024×600ドット(WSVGA)であるために文字が小さく,読みづらい.
- タッチパネルの精度はあまり良くない.
- 長時間の連続使用時には,本体がかなり熱を帯びる.
(最終更新: 2012.4.1)
デジタルカメラ: Pentax Optio W90

Optio W90は,防水・防塵機能に優れたコンパクトデジタルカメラです.
特徴・長所
- 小型・軽量.
- 防水・防塵・耐衝撃性能に優れる.野外向き.
- マクロ撮影に強い.LED光源を備え,顕微鏡モードもある.
- Eye-fiに対応.
要注意点・短所
- バッテリーの消耗が速い.スペアバッテリー必須.
- 軍手を着けた手には小さすぎる.ボタン類が押しづらい。
(最終更新: 2012.4.12)
デジタルカメラ: Nikon E8400

Nikon E8400は,8メガピクセルのデジタルカメラです.既に生産完了しています.
特徴・長所
- 高角24 mmからの撮影が可能.
- マクロ撮影に強い.3 cmまで近寄れ,シャッターを押し続ければ連写の中からフォーカスの合った写真を保存してくれる (BSS: Best Shot Select).
要注意点・短所
- 最近の機種に比べると,大きく,重い.
- ズームが85 mmまでと望遠側に弱い.
- Eye-fiに非対応なため,現在は予備機役.
(最終更新: 2012.4.1)
GPS: Sony GPS-CS3K

Sony GPS-CS3Kは,表示用のディスプレイを備え,単3乾電池1本で動作するGPSロガーです.
特徴・長所
- 防水ケースが付属.
- 前機種GPS-CS1Kと比べると衛星の捕捉が早い.
- 前機種GPS-CS1Kと比べると電池の駆動時間が長い.日中連続して動作する.
要注意点・短所
(最終更新: 2012.4.1)
GPS: Sony GPS-CS1K

Sony GPS-CS1Kは,単3乾電池1本で動作するGPSロガーです.
特徴・長所
要注意点・短所
- 変則的な形状のため,安定性が悪い.
- コールドスタート性能が弱い.
- 調査用車両のバックドアに挟んで破損してしまい,後継機種 (GPS-CS3K) に買い換え.
(最終更新: 2012.4.1)
クリノメーター: GSI GeoClino

GeoClinoは,単3乾電池2本で動作するデジタルクリノメーターです.
特徴・長所
- 面に置くだけで走向・傾斜が同時に測定できる.
- 線構造も本体の長辺を合わせるだけで測定できる.
- 針が止まるのを待つ必要がなく,足場の悪い場所やオーバーハングの測定が容易.
- データを保存できる (最大999).
要注意点・短所
- 保存データの読み出しに,専用ソフトが必要.
- コネクタがシリアル (USBではない).
- やや高価 (49,800 円).
(最終更新: 2012.4.1)
無線LAN機能付きSDカード:Eye-fi Pro

Eye-fi Proは,デジタルカメラで撮影した画像ファイルを,クラウドまたはPCへ転送できるSDカードです.
特徴・長所
- 普通にSDカードとして利用できる.
- 初期設定さえ終われば,特に手間を必要としない.
要注意点・短所
- Eye-fiソフトウェアの動作が重い.転送にも時間がかかる.
- ジオタグのアラートが毎回表示され,この表示を消さないと転送が始まらない.
- カメラのバッテリー消耗が早くなる.
- 画像の選択手法は,画像にプロテクトを設定することによる.Optio W90の場合,メニュー階層をたどっていかなければならず,簡便ではない.
(最終更新: 2012.4.1)
デジタルペン
野外調査でとるスケッチをデジタルデータ化するために,複数のデジタルペンと手書きソフト (Windows Journal) を試してみました.ただし,現状では総合的には「紙のスケッチをスキャナでデジタル化する」ほうが優れていると考えます.

野外調査で使用してみたデジタルペン.左からぺんてる airpenMINI,MVPen,デジタルインクパッド.
特徴・長所
- いずれの機種も,専用のペンで描いた筆跡を,デジタルデータとしてメモリに保存する.
- 紙の質は選ばないため,使い慣れたものを利用できる.
- airpenMINI,MVPenは小型・軽量で持ち運びは苦にならない.
- ペン先は比較的一般的なリフィルで代用可能.
要注意点・短所
- [共通] 慣れもあるが,野外で機器を取り出し,紙に (紙を) セットし,スイッチを入れて描き始めるのは,結構手間に感じる.
- [共通] PCとの接続にそれぞれ専用の付属ソフトが必須になる.対応OSに制限があることもある.テスト段階でWindows 7 64bitに対応していたのはMVPenのみ.
- [共通] WYSIWYGでない.すなわち,現場でハードウェア上のトラブル (電池切れ等) や著しい誤認識があったとしても気がつかず,データをPCに移す段階で初めて気がつくことになる.この場合も紙のスケッチを再度スキャンすれば良いのだが,それならば始めから紙のみでスケッチした方が手間が省ける.
- [共通] 保存データが独自形式のものが多く,扱いづらい.一方で汎用のファイル形式へのエクスポートに制限があることがある (上限解像度など).
- [共通] どの機種でも専用のペンが必要になる.通常,調査者にはそれまでの経験から好みのペンがあるもので,専用ペンの書き味に満足できるかも評価の分かれ目となる.
- [airpenMINI] クリップのバネの力はあまり強くない.滑りやすい素材に挟む場合,スケッチ中に動いてしまう可能性がある.
- [MVPen] クリップ部が大きく開かない.野帳の表紙,クリップボード等に直接挟み込めない.
(最終更新: 2012.4.1)