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産総研

SFG分光による高分子表面・界面の研究

(1) ポリプロピレンに対する表面処理効果
 ポリプロピレンに対して大気圧プラズマによる表面処理を行った時の表面の分子挙動をIR、Raman、SFG、STEMにより検討を行っ た。IRではプラズマ処理回数に応じてC=OやOH基の増加が見られたがSFG分光では最表面にはこれらはほとんど現れておらずバルク側に潜っていること がわかった。Raman測定から、プラズマ処理により表面付近の非晶性分の増加が見られ、STEMの結果と良く対応している。また接着材に対する接着強度 も非晶質の増加と対応関係が見られており、官能基の増加が接着強度に直接関連するわけではないことが示唆された。
T. Sato et al., Surf. Sci., 677, 93-98, 2018.

(2) PNIPAM表面、PNIPAM/水界面の研究

 感温性高分子ポリ(イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM) について、その表面および水中での温度転移挙動をSFG分光を用いて解析した。側鎖末端イソプロピル基の配向を定量的に解析し、空気中ではイソプロピル基 が上に向いて配向していることがわかった。このPNIPAMは32℃で下限臨界溶液温度(LCST)を持つため、LCST前後での挙動を内部全反射SFG で測定、解析を行った。この結果イソプロピル基の配向はLCST前後で大きく変化しないが、主鎖のCH2の配向が大きく変化してい ることがわかった。また CH3、CH2いずれのピークもLCSTより高温でRed-shiftしており、これはアルキル鎖の水和に よって起きていることが明らかになった。
T. Miyamae et al., Macromolecules, 40 (13), 4601-4606, 2007.

(3) ブロック共重合体表面の研究
 自発的に表面に偏析するブロック共重合体PS−PME3MAについて、その表面構造を中性子反射率、XPS、SIMS、およびSFG分光で解 析した。SFG分光では表面にはPSセグメントが現れておらず、側鎖が表面に偏析していることが明瞭に確認できた。また定量的な解析から、側鎖末端メチル の配向を決定した。
T. Miyamae et al., e-J. Surf. Sci. Nanotech., 4, 515-520, 2006.
H. Yokoyama et al., Macromolecules, 38, 5180-5189, 2005.

(4) PET/アルミナ界面の研究

 PET表面およびPET表面にアルミナ薄膜を積層させた界面について、SFG分光を用いてその分子挙動を解析した。PET表面のC=O伸縮振 動はプラズマ処理によって増大するが、この増加はPET/アルミナの密着性の増加とよく対応している。また未処理のPETとアルミナとの界面では 1685cm-1にC=O・・・Alに由来するピークが見られた。しかしこの結合が界面に存在するかどうかは密着性とは相関がな く、むしろ化学結合による ピークがみられる方が密着性が悪いという結果になった。PET/アルミナの密着強度は表面のアモルファス化によって達成されていることが明らかとなった。
T. Miyamae and H. Nozoye, Appl. Phys. Lett., 85, 4373-4375, 2004.

(5) 有機―無機ハイブリッド材料表面の研究
poly(vinyl alcohol) (PVA)とpoly(acrylic acid) (PAA)のブレンド高分子にゾル―ゲル法によりシリカをナノ分散させたハイブリッドコート材料についてX線光電子分光(XPS)および和周波発生分光法 (SFG)を用いてその表面構造を解析した.PVAとPAAを架橋してブレンドした高分子表面は両方の高分子がバルクのモル比に従い,等しく表面に現れて いるのに対し,これにシリカをナノ分散させた場合には表面はPAAが主成分となり,シリカは表面に析出していない.これはPAAと結びついたシリカが膜内 に均一に分散し,表面エネルギーを低下させるために最表層はPAA主鎖が覆うためであると考えられる.また,水蒸気存在下でもその表面は変化せず,ガス透 過性とハイブリッド材料の表面構造は直接の相関がないことが明らかになった.
宮前孝行他, 高分子論文集, 65 (1), 73-79, 2008.


プラズマ処理したポリプロピレン表面のOHおよびC=O伸縮領域のSFG

PNIPAM側鎖イソプロピル基の配向の定義

PS-PME3MAブロック共重合体の化学構造


AlOx/PET界面のSFGス ペクトル

有機無機ハイブリッド膜のSFG