吉田 聡子
理化学研究所 植物科学研究センター 植物免疫研究グループ 上級研究員
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研究課題 「ハマウツボ科寄生植物の寄生形質獲得と適応進化」
一般的に高等植物は土壌から吸収した無機栄養と、光合成でつくられた有機栄養によって成長するが、寄生植物は宿主植物の水分や光合成産物を奪って生育する。寄生植物は全被子植物の複数の独立した科に存在し、分子系統学的解析から12-13回の独立した進化によって生じたことが示唆されている。しかし、寄生形質の獲得に関わる遺伝子については、現在までほとんど分かっていない。ハマウツボ科寄生植物は、吸器と呼ばれる特殊な器官を形成し、宿主植物の根に侵入し維管束をつなげ宿主から栄養分を吸収する。寄生の程度は種ごとに異なり、独立栄養でも生育できる条件的寄生植物は、根の側面に吸器を形成するが、絶対寄生植物は、根の先端に吸器を形成する。絶対寄生植物は種子が小さく、また不十分な光合成能しか持たないため、寄生が成立しない限りは生きることができない。これらの形質は複合的に適応進化したと考えられる。
 本研究では、条件的寄生植物コシオガマ(Phtheirospermum japonicum)を用いて、寄生の鍵遺伝子の同定と寄生形質の進化過程の解明を目指す。これまでに、コシオガマの寄生成立時のトランスクリプトーム解析をおこない、逆遺伝学的手法を用いて機能遺伝子の同定に取り組んできた。さらにゲノム解析をおこなうことにより、これら寄生時に発現する遺伝子を中心に絶対寄生植物および独立栄養植物とのゲノム比較により、寄生形質の進化過程の解明を目指す。また、順遺伝学的方法からの寄生の鍵遺伝子の同定の方法を模索する。