前川 清人
富山大学大学院 理工学研究部 准教授
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研究課題 「ソシオゲノムの進化:カースト分化を規定する遺伝子群の解明」
社会性昆虫がもつゲノム(=ソシオゲノム)には,複数の表現型(カースト)の設計図が織り込まれており,個体としての表現型が協調して「コロニーという総体」を作り上げる設計図をも織り込まれている。特にシロアリでは,各カーストの役割や形態が特殊化しているため,コロニーから各カーストを切り離して維持することは不可能である。したがって進化の過程では,各カーストを特徴づける形質と,協調や分業をもたらす複数の因子がほぼ同時に獲得されたと考えられる。それらの実体を解明するために,兵隊・ワーカー・生殖カーストへの分化前の個体の特定に成功したヤマトシロアリに注目する。次世代DNAシーケンサーを用いた網羅的なトランスクリプトーム解析を行い,各カーストの分化時で特異的に働く遺伝子および遺伝子発現の変化を集中的に調べる。更に,日本産シロアリ複数種と近縁なゴキブリ類のトランスクリプトームデータと付き合わせて,(1) 各カースト分化を調節する遺伝子レパートリーのリストアップ,(2) カースト分化に関わる各遺伝子の発現調節機構の解明を目指す。