ショットキー障壁問題解決のための研究

ショットキー障壁問題解決のためには、ショットキー障壁の成り立ちの原因を究明することが必要となる。 ショットキー障壁は、1.界面準位が形成し、2.そこにチャージがたまって形成する、電気的2重層である。従って、その問題解決は、

MS interface
1. 界面準位の原因を突き止める
2. 原因のわかった界面準位(全体)を制御し、界面チャージ量を制御する。

という2段階のステップになる。

「物理学的問題としてのショットキー障壁問題 〜 半導体物理分野半世紀の重要問題」のページですでに解説したように、金属誘起準位モデル(MIGSモデル)は、その量が、理論家がずっと見積もってきた値より遙かに小さいことが明らかになってきている。 現在あらゆる界面の障壁高さをuncontrollableなものにしている主たる原因は、理想界面を形成する技術力がないという人為的理由である。 従って、界面の微視的な制御を精密に行って行けば、乱れや不純物のないという意味での界面の理想性は高まり、トータルでの界面準位密度は劇的に低減できることになる。物理学的問題のページで述べたように、1013 states/cm2レベル(〜界面原子の1%オーダー)の精度での原子制御が可能なような形成方法を開発することになる。 界面準位制御のポイントは、以下のようになる。

1. 半導体の高度な洗浄技術を含むクリーン化技術を駆使する
2. 界面ダングリングボンドの発生抑制または不活性化(終端処理)

以上により界面準位を激減した後は、意図的に界面準位を形成するか、金属の仕事関数を制御する(すなわち、金属種を変更する)ことにより、第二段階の界面チャージ制御が可能となる。 シリコン微細加工の先端微細加工世代では、界面ポテンシャルの制御という命題が、MOSトランジスタ構造におけるゲートの閾値の制御という具体的問題として 現出してきており、I/I技術でカバー出来ない新たな問題として、ゲート材料を変更する技術要素を含む"ゲートエンジニアリング"技術の確立が課題となっている。 また、界面準位の形成には、その界面固有の原子配列が原因で必然的に発生するダングリングボンドを積極的に利用する方法もある。 シリサイド/シリコン界面ではフェルミ準位が強いピニングを起こしているが、その原因は、界面に存在する高濃度のダングリングボンドだと理解されている。 言い換えれば、シリサイド/シリコン界面では、バリアハイト制御は極めて難しく、これを克服するにはいくつかの重要な問題をクリアしなければならないが、 界面チャージを積極的にデザインするような考え方を導入してゆけば、活路は見いだせるものと思われる。

なお、上述の方法論で制御が実現できたのはこれまで、金属/SiC界面系だけであるが、 その手法は一般性を含んでおり、あらゆる系へ研究開発の展開が期待される。

平成15年9月22日

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