■ ミニマルファブ構想

ミニマルファブとは、集積回路ICを一つ作るのに十分なハーフインチウェハを用いてICを1チップずつ作る、超小型製造装置群からなる最小の集積回路ファクトリーのことです。

ミニマルファブは、(1) 1ロット=1ウェーハ(ハーフインチ径) =1チップ、(2) 装置サイズ30cm幅、 (3) クリーンルームを不要とする局所クリーン化生産技術の適用、という3つの特徴を持っています。 装置が30cmですから、工場も10m四方まで縮小してゆきます。

ミニマルファブの優れた点は、ムダを省けることだけではありません。研究と開発と生産を一体化できることにあります。 研究と開発と生産を一体化するためには、研究システムにおいても、工場と同等以上の生産管理機能、 特に生産中の製品品質を保持する高い完成度を持つ搬送システムを構築する必要があります。 私たちは、微粒子とガス分子を製造環境から遮断する局所クリーン化ミニマル搬送システムを開発しました。 この搬送システムをコア技術として、各種製造装置や評価装置をミニマル化してゆきます。 このミニマル装置群では、もはや研究と開発と生産の区別はありません。 意図的に制御されたピュアな環境下で、異次元の高い再現性を持った科学実験を行えるだけでなく、 その新たな実験プロセスで作成したものは、ミニマル製造ラインを利用して、そのまま商品として販売することができるようになります。

私たちは、企業24社、4大学、1特許事務所、1公的機関とともに、 産総研コンソーシアム・ファブシステム研究会 を2010年1月に発足させ、ミニマルファブの実現へ向けて日々研究開発を行っています。

2012年6月からは、ミニマルファブ構想実現を目的とした、国家プロジェクト「革新的製造プロセス技術開発(ミニマルファブ)」が開始されました。 プロジェクト推進のための法人・ミニマルファブ技術研究組合を設立しました。 原がプロジェクトリーダーを務めています。

現在、デバイスの基礎装置群の開発が進んでいます。2013年末には、ミニマル装置群だけを用いてトランジスタを試作することに成功しました。ミニマルファブは高速化開発を行っていない現状でも、1プロセスのタクトタイムが平均6分で、トランジスタ工程39工程を、クリーンルームでない普通の部屋で僅か10時間で完遂する事ができます。


My LSI MinimalFAB

平成26年5月5日

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Last updated: May 5, 2014. Shiro HARA's Web Site