ハイパーミニプロセスシステムのメリット


ハイパーミニプロセス生産方式

・町工場(まちこうば)の特徴
長い間人間の生産現場であった町工場は、多量にエネルギーを消費する装置を使わないことや、完全に自動化されているわけでなく人力を使う部分が多いことなどから、本質的に相当エネルギー効率の良い生産方式である。 加工装置等・比較的シンプルな構造の装置が多く、コスト的にも大型投資は必要ない。 手作りに近いので、大量生産には向いてないが、その代わり少量多品種生産には向いている。 しかし、工場(こうば)の環境は清潔であるとは言い難く、構造が簡単な装置が多いので、生産過程で発生する様々な廃棄物も同じ環境内に留まり易く排出が不完全であったりする。 働く人にとって良い環境とは言えないだろう。 廃棄物処理の問題と並んで、人が経験を頼りに製造して行く部分が多いので、どうしても品質が不均一になる、出来不出来のムラが発生しやすいという問題もある。

・半導体工場の特徴
一方、半導体工場は、町工場と対極的な生産方式であり、建設コスト・稼働コストが非常に高くつく。 このような大工場では、非常に複雑な製造プロセスをとるので、現実問題として、プロセスの一部変更は他のプロセスとの整合性をくずすので容易でなく、実際のところ単品生産に向いている。 現に半導体チップは単品の大量生産に適した商品である。 工場全体を、非常に清浄度が高い状態に維持するため、半導体工場は他業種の工場よりずっと高コストである。 そのかわり他ではまねの出来ない、ミクロン以下のスケール精度で加工された集積回路を商品化できる。本質的に高品質な生産方式である。 ここで注意しなければならないことは、半導体製造のクリーンなイメージから、そのエネルギー消費についてはあまり広く知られていないことである。 1工場(1fab)あたり、工場規模によるが、電気代1億円/月、超純水2トン/分、窒素ガス30m3/分程度の規模の、大量のエネルギーと原料を消費する。 作業者・製造環境の観点から見ると、シャワーを浴びた後最低限の下着だけ身につけた後防塵服を着用し、数時間の作業を強いられる等、人間に優しい環境とは言い難い面がある。 また、やはりあまり知られていないことではあるが、クリーンルームで清浄化されるのは、原則パーティクルだけであって、人間生理学的な観点からのガスの管理は事実上行われていない。 外気を取り入れることは、温調コストとフィルターコストを上昇させるので、外気取り込みより、空気循環が基本であり、端的に言えば密閉構造と言って良い。 従って、様々なガス分子の濃度は、外気と比較するとどうしても高くになりやすいという欠点を持っている。 最近では化学物質ガスを取り除くケミカルフィルターが登場したが、製造工程に影響のあるアンモニア除去等がターゲットで、しかも頻繁に交換が必要で高コストである。 また密閉構造であるが故に、工場内で発生するパーティクルのかなりの部分は、人が持ち込んだものになっている。 このように半導体工場では、人と生産物が同一空間に存在することで様々な妥協が図られている。

・ハイパーミニ・プロセスシステムの特徴
このような町工場と半導体工場のデメリットを大方解消し、さらに超高品質な性能を出しやすくなるのが、ハイパーミニ・プロセスシステムである。 局所クリーン化システムを汎用に具現化したハイパーミニ・プロセスシステムでは、人と製造物とを完全に空間的に分離する。 このため、人には人向け、製造物には、それに適した環境を用意することができる。 従って、半導体のスーパークリーンルームよりも超高品質・高歩留まりの生産が可能になる。 実際、局所クリーン化システムを導入した半導体工場では、品質管理・歩留まりの点で、従来型のクリーンルームよりもずっと優れた結果が出始めている。 さらに、清浄化コスト・工場建設コストなども肝心な局所だけにコストをかけるので、大幅な低減が期待できる。 さらに、今後21世紀においては、我々人類は、エコロジカルな生産方式を追求すべき時代が到来しつつあるが、このような隔離技術は、その観点で非常に本質的なアプローチである。 もはや、密閉空間で製造品に合わせた環境での労働を強いられる必要がなくなり、かつ製造廃棄物処理も非常に管理しやすくなる。 また、製造空間そのものが小さくなるので、ガスや超純水等必要な原材料もミニマムなもので済むという省資源の利点も見逃せないであろう。

このように、大変優れた21世紀の主流となるべき生産方式であるが、唯一の問題点は、それが利用可能な汎用技術になっていない点である。 これは、今後本方式の研究開発が進むにつれて解決されるので本質的問題ではないが、今後これを研究者・企業・国がサポートする必要が生じている。

平成15年8月7日

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Last updated: May. 16, 2006. Shiro HARA's Web Site