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本研究で扱った属性概念獲得課題は,各モダリティ毎の処理では
決して得られない構造抽出課題である. 現実には,そこまで複雑ではなく
モダリティ間が互いに補完し合うような形で構造抽出が行われる場面が多い
と考えられる. いずれにしても,パターン的な情報からシンボル的な構造の
抽出は,いろいろな形のクラスタリングの過程であると見なせることが多い.
この際,クラスタリングのためのモデルとして混合分布が有効に働く.
ただし,より考えを進めると混合分布だけでは能力が不足してくる.
例えば,本研究で扱った属性概念にしても,実際は均一な構造ではなく,
それ自身階層構造をなしている.
これに対しては例えば階層的な混合分布の適用可能性を示しているし,
因果関係などを扱う際にはグラフィカルモデルのような複雑なモデルを扱う
必要がある.
以上で述べた 3 段階はすべて何らかの意味で「学習」に関係しており,しかも
それぞれの要素は完全に独立しているわけではなく,互いに関連している.
学習という観点でもう一点重要なのは,本研究ではすべてデータを集めた上での
バッチ処理的な学習を行っているという点である.
切り出しや同期の問題も関係するため,オンライン化が容易ではない.
より実用的なマルチモーダル対話システムの学習への応用や,
人間の発達モデルなどへの適用を行うためには,これらの問題を一つ一つ
解決していく必要がある.
Shotaro Akaho
平成15年7月22日