北海道の地形図を見ていただければわかるように,知床半島の硫黄岳,羅臼岳,遠音別岳から斜里岳,屈斜路・摩周カルデラの火山群を経て,阿寒火山群に至る北東-南西方向に延びた火山列が総延長140kmにわたって連なっています.この火山列は阿寒知床火山列と呼んでいます.この火山列の東側には,国後島や択捉島の火山列があります.また,西側には大雪山や十勝岳の火山列があります.これらの火山列は雁行状に配列しています.この雁行状の配列は,北海道の南西沖約200kmにある千島海溝に対して,太平洋プレートがまっすぐではなく西側に約30度斜めに沈み込んでいることが原因になっています.斜め沈み込みによって,沈み込まれた側のプレートの前面の領域(根釧原野や十勝平野のある地域=千島前弧)は今でも西南西方向に引きずられています.その引きずりの影響で雁行状に割れ目ができ,そこに火山ができたと考えられています.

太平洋プレートの斜め沈み込みによる千島前弧の西進と火山列(Watanabe, 1990)

阿寒カルデラ周辺の地質構造図(佐藤,1965)