約15万年〜20万年前の激しい火山活動で3回の大規模火砕流が噴出し,阿寒カルデラが形成されました.3回の大規模火砕流は古いほうから,阿寒下部火砕流堆積物,阿寒溶結凝灰岩,阿寒上部火砕流堆積物と呼ばれています.その後,2万年前〜5万年前頃に雌阿寒岳が噴火を開始しました.この頃には,東側にある南岳,中マチネシリ(マチネシリはアイヌ語で女山を意味します),1042m峰,東岳の4つの山体が形成されました. これらのうち中マチネシリの山体が最も大きく,デイサイトや安山岩の溶岩ドームでできています.その後,1万2千年前には中マチネシリで激しい噴火が起こり,火砕流や降下軽石・スコリアなどが発生しています.この噴火で中マチネシリ山頂には長径1.1kmの火口が形成されました.9000年前にも中マチネシリから火砕流が発生し,西側の螺湾(らわん)川に流れ込んでいます.さらに6000年前にも中マチネシリからは比較的小規模な火砕流が発生していますまた,この頃雄阿寒岳が安山岩溶岩流を主体とする火山活動で形成されました.この火山活動によって,阿寒カルデラの中にできていた古阿寒湖は埋めて立てられ,現在のような阿寒湖,パンケトー,ペンケトーのような形になりました.

雌阿寒岳の地質図

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12000年前の中マチネシリ火砕流堆積物 〔宝田撮影)

9000年前の中マチネシリ火砕流堆積物 (宝田撮影)

9000年前の中マチネシリ火砕流堆積物中に含まれていた縞状スコリアの巨礫 (宝田撮影)

フレベツ岳北にあるフレベツボッケ(泥火山) (宝田撮影)

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