Magnetのはなし
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磁石について説明しましょう。

子供の頃に、砂場で磁石に砂鉄をつけて遊んだことがあるのではないでしょうか。磁気は目に見えません。同じ目に見えなくても電気や重力は結構なじみがありますが、磁気はどうも影が薄いです。しかし、スピーカー、パソコン、発電機、モーター、電子レンジ、テープ、などいたるところに磁石は使われているのです。

磁鉄鉱(マグネタイト)の発見はとても早く、紀元前3世紀と言われています。マケドニアのマグネシア地方で沢山とれたのでマグネタイトと呼ぶようになったとか。しかし、人工的に磁石が作られるようになったのは1900年に入ってから。私の研究で使うような希土類のマグネットは、1975年頃になってからのことです。

1.磁力線

目に見えない磁力線を見るにはどうしたらいいでしょうか?小学校の理科で、下敷の下に磁石を、上に砂鉄を置いてみたことがあるのではないでしょうか?すごい模様ができてびっくりしたのでは?
もっと簡単に磁力線を見るには、磁気流体シートとか、磁界観察器というのがあります。
ちょっと、色々な磁石の様子を見てみましょう。

 

ネオジムの磁石

棒磁石

U型磁石

磁力線はN極から出てS極に入ります。(この写真ではよくわかりませんね。いい写真ができたら差し替えますので、それまでこれで我慢なさってください。)
方位磁石はN極が北を向きます。つまり北極あたりがS極、南極がN極ということになります。地球は大きな磁石なのです。

2.磁石の強さ


磁石の強さの単位は
ガウス(CGS単位系)とテスラ(SI単位系)です。
1T=10000G

地磁気:0.3-0.5ガウス=0.00003-0.00005テスラ
磁気ネックレス:0.13テスラ
ピップエレキバン:0.18テスラ
アルニコ磁石(棒磁石):0.25テスラ程度
ネオジム磁石:0.5テスラ程度
病院の超伝導磁石を用いたMRI:1.0-1.5テスラ
(独)物質・材料研究機構:37.9テスラ
USAの国立高磁場研究所:45テスラ

 

地磁気がいかに小さいか分かりますね!

3.磁石の歴史

さて、磁石がどのような発展をとげてきたか、ちょっとグラフにしてみました。縦軸は磁石の強さと思ってください。

 

4.すべてのものは磁性体

磁石は鉄を沢山吸い付けたからといって、磁力を失ったりしません。沢山仕事をしても文句も言わないけなげなやつです。
どうして、こんなにも働き者なのでしょうか。その秘密は原子の中の不対電子にあります。
【NMRのおはなし】でも説明いたしましたが、電子や原子核のように電荷をもった粒子がスピンをしていると磁場を生じます。電子や原子核は要するに小さな磁石のようなものなのです。原子の中の電子は安定な状態では打ち消しあって磁場を生じません。しかし、一匹狼の孤立した電子(不対電子)は磁場を生じます。

実はすべてのものは磁性体です。(そう定義したというのが正しい)
磁性体は下記の3つに分類されます。


(1) 反磁性体・・磁石を近づけたときに、それを打ち消すような方向に磁化される物質。例えば水や銅、ビスマス。
(2) 常磁性体・・磁石を近づけたときだけ、同じ方向に弱く磁化される物質。
(3) 強磁性体・・磁石を近づけると、スピンが全部そろって同じ方向に向き、強烈に磁化される物質。例えば鉄、ニッケル、コバルト。
(4) 反強磁性体・・内部のスピンが互いに反平行に並んでいるため、全体としては強磁性の性質を示さない。

5.磁石がくっついて離れなくなったら?

ところで、磁石に大事なものを吸い付けられて離れなくなったらどうしたらいいでしょう?

同じ方向に並んでしまったスピンがバラバラになる温度(キュリー点)があります。鉄は700℃くらいです。でもたいていの磁石は次の二通りの方法で力を失わせることができます。

  1. 80℃くらいの熱を加える。
  2. 衝撃を与える。

こうすることによって、磁化の並び方がバラバラになり、磁性を失うわけです。

 

 

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