研究の背景


ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンは、カテコールアミンと総称され、生体アミンとして脳や副腎髄質および、交換神経に存在します。これらはホルモンとして働く一方、神経伝達物質としても機能することが知られています。従って、尿中や血中のカテコールアミン計測は、ストレスと交換神経の関係を知る上でも重要であると考えられています。

カテコールアミン類の構造式

カテコールアミン分析は、採血の穿刺ストレスでも上昇することがあるため、血液ではなく、尿中濃度測定として通常行われています。これは、HPLCとジフェニルエチレンジアミンによるポスト蛍光ラベルとを併せた方法ですが、この方法は前処理から分析・診断に至るまでの時間が長く、操作が煩雑なことから、高度な計測技術や知識を持つ専門家や検査技師向けといえます。

ストレスと尿中あるいは血中カテコールアミン濃度の関係性が指摘されているにも関わらず、このカテコールアミン分析が重篤な疾病(褐色細胞腫や神経芽細胞腫など)の診断や治療に用いられるに留まっているのは、これがひとつの理由と考えられます。

もしここで、簡便かつ迅速で非侵襲あるいは低侵襲なカテコール分析法が確立するならは、うつ病などの精神的な疾患やストレスの診断医療の一助になるのではないか、と私たちは考えました。身体のみならず、精神にも影響を与えるストレスを客観的に評価し、カウンセリング等と組み合わせ、精神衛生上のトラブルを未然に防ぐ有効な手立てとして、カテコールアミン類を検出対象とする光検出型の高感度センサーデバイスの開発を行うことにしました。

研究の背景と目的

私たちが考えるカテコールアミン類検出デバイスは、ディスポーザルチップ型であり、検出・診断装置のポータブル化も可能になります。病院や臨床検査機関のみならず、移動可能な機材として、広く一般社会で利用できるようになることを念頭に置いています。簡便・迅速で高感度なカテコールアミン分析が可能となれば、精神衛生管理(メンタルヘルスケア)を身体の健康管理とあわせて広く実施することができ、「心と体」の総合的診断や治療に役立てられるものと期待しています。


高感度光検出型メンタルヘルスケアチップの開発 目次へ

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