沈み込み帯のマグマ学 moji-bake-warning

沈み込み帯のマグマ学

タイトル=沈み込み帯のマグマ学
著者=巽好幸 (たつみ よしゆき) 先生
出版元=東大出版会(東京都文京区本郷7-3-1東大構内 tel 03-0811-8814)
ISBN=4-13-060708-1
大きさ・ページ=A5版・186ページ
(定価=3296円)


この本には沈み込み帯(日本など、いわゆる環太平洋火山帯がそれです)における
火山活動の源である「沈み込み帯のマグマ」について、これまでに世界中の地球
科学者らによってなされた努力の数々と、著者による「現時点で最良のマグマ発
生モデル」が、比較的詳しく紹介されています。これから火山(マグマ)を学ぼう
とする学生はもちろん、沈み込み帯のマグマについて詳しく知りたい方にお勧め
です。


以下に、「第一章 問題設定」の一部を引用します。


Q:何が火山の分布を決定しているのか?
A:沈み込み帯におけるマグマの発生は、マントルウエッジ最下部に形成された
含水橄欖岩層内での、圧力依存性の高い脱水分解反応によって、本質的に支配さ
れている。 ※第5章に詳しく書かれている

Q:なぜ冷たいプレートが沈み込んで熱いマグマが発生するのか?
A:プレートの沈み込みに伴ってマントルウエッジ内に生じる二次対流が、マン
トル深部から高温物質を運搬することで、高温領域が形成される。
※第8章に詳しく書かれている

Q:なぜ沈み込み帯と海嶺で発生するマグマの化学組成が違うのか?
A:脱水分解に伴う元素の選択的移動によって、沈み込み帯火山岩の化学的特徴
は決定される。 ※第4章,第7章に詳しく書かれている

Q:なぜ島弧横断方向に系統的な化学組成の変化が生まれるのか?
A:島弧横断方向の化学組成の系統的変化は、マグマの分離深度の違い、それぞ
れの火山列下で脱水分解する鉱物種の違いによって引き起こされている。
 ※第4章,第6章に詳しく書かれている