硫黄同位体比の基礎知識

硫黄同位体比の表記(でるたさんじゅうよんえす；δ34Ｓ)の定義は？
硫黄同位体比の標準物質は？
火成岩のδ34Ｓはどのぐらいの値か？
なぜ同位体比が異なるのか

硫黄同位体比の表記(でるたさんじゅうよんえす；δ34Ｓ)の定義は？

δ34Ｓ＝
[(試料の34S/32S比－ 標準物質の34S/32S比) ／ 標準物質の34S/32S比] × 1000
です。単位は‰(ぱーみる；千分偏差です)。

硫黄同位体比の標準物質は？

隕鉄(Canyon Diablo)に含まれるトロイライト(FeS; 32S/34S=22.22)です。

火成岩のδ34Ｓはどのぐらいの値か？

ソレアイト玄武岩：+0.3 to +1.6 ‰; Mid-Atrantic-Ridge 30N, by Kanehiro et al, (1973)

アルカリ橄欖石玄武岩：+1.3 ±0.5 ‰; Germany, by Schneider (1970)

ヨーロッパの花崗岩類：-4 to +9 ‰; by Hoefs (1980)によるレビュー

日本の花崗岩類：-11 to +9 ‰; by Sakai and Ishida (1979)

なぜ同位体比に違いが生じるのか

32Sと34Sとで化学的な挙動が微妙に異なるので、化学変化の過程で一方が選択的に集積されることがあります。例えば 32SとOの結合は34SとOの結合に比べて切れやすいために、 SO4-を含む固体物質から化学反応によってH2S気体が生成するような場合、そのとき発生したH2Sにはより多くの32Sが含まれることになります。逆に固体がわでは相対的に34Sが増えるので、δ34Ｓ値も大きくなります。