　　　　　　　　　　　　定期火山情報
　　　　　　　　　　　　　 第１号

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成13年１月10日10時
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鹿児島地方気象台発表

１．概　　　況
　昨年の桜島南岳は、１月から２月にかけて噴火活動が活発でした。３月以降
は比較的静穏な状態で経過しましたが、10月７日に噴煙高度5,000ｍを超える
爆発があり、桜島町で車のガラスを破損する被害がありました。年間の噴火回
数は306回、そのうち爆発は169回でいずれも前年を下回りました。
　12月の桜島南岳は、噴火活動は比較的静穏でしたが、火山性地震と微動はや
や多い状態でした。１ヶ月間の噴火回数は６回で、すべてが爆発的噴火（爆
発）でした。
　今年１月に入ってから火山性地震と微動は減少しましたが、10日９時まで５
回の噴火（うち爆発４回）があり、噴火活動は現在やや活発化しています。
　今後の火山活動には十分注意して下さい。

２．噴火の状況
　12月の噴火回数は６回（前月24回）で、すべてが爆発（前月15回）でした。
上旬は噴火がなく、中旬と下旬に各３回の噴火・爆発がありました。
爆発に伴う現象は、爆発音２回（中１回、小１回）、体感空振５回（中１回、
小４回）、少量の噴石を２回観測しました。噴石は22日22時49分と26日06時16
分の爆発に伴うもので、それぞれ６合目と８合目まで飛散しました。また、26
日06時16分の爆発では、高さ200ｍの火柱を10秒間観測しました。
　12月の日別の噴火・爆発回数は次表のとおりです。

        12月の日別噴火・爆発回数
　　 日 　　16　17　18　22　26　合計
　噴火回数　１　１　１　１　２　６
　爆発回数　１　１　１　１　２　６
　注）爆発は噴火の一形式であり、噴火回数の中にも含まれています。

３．遠望観測
　６回の噴火のうち噴煙を観測できたのは３回で、噴煙量は中量２回、少量１
回でした。火口縁からの噴煙高度の最高は、26日06時16分の爆発の1,100mでし
た。

４．震動観測
　火山性地震と火山性微動は前月と比較し増加しました。上旬は地震、微動と
もに少ない状態でしたが、中旬と下旬は地震回数、微動出現時間ともに増加
し、やや多い状態で経過しました。
　震動観測点Ｂ点（南岳火口から北西 2.3km）での12月の火山性地震の回数は
1,859回で、前月（406回）より増加しました。また、火山性微動の出現時間は
月合計74.2時間で、前月（14.8時間）より増加しました。
　　
　　　　12月の火山性地震・微動回数
　　　　　　　　　　　　上 旬　中 旬　下 旬　合 計
　火山性地震回数 　　　　　４　  920  　935 　1859
　火山性微動回数　         10　  116  　166  　292
　火山性微動出現時間(h)　 0.4　 47.7 　26.1　 74.2

５．降灰の観測
　気象台における降灰の観測では、12月の降灰日数は12日（前月18日）で、月
間の降灰量は13g/㎡（前月33g/㎡）でした。12月の日降灰量は下表のとおりで
す。

      　気象台における12月の日別降灰量（g/㎡）
　　日　　１　２　３　５　７　15　20　22　25　27　30　31　計
　降灰量　１　１　２　１　１　１　１　１　１　１　１　１　13

  鹿児島県消防防災課によると、12月の１ヶ月間で降灰の多かった場所と降灰
量は次のとおりです。
　①鹿児島市有村　　1,035 g/㎡　　　　②桜島町二股上　　　837 g/㎡
　③鹿児島市黒神　　　450 g/㎡　　　　④桜島町湯之平      438 g/㎡

６．現地観測
　気象台では12月25日に桜島島内の井戸水、湧水、温泉の温度及びｐＨを測定
しましたが、特に大きな変化は認められませんでした。