速報4/8-10(20000414-18.04.18)

From: SHINOHARA
地質調査所 有珠火山噴火対応- (2000.04.10)
■4/8-4/10の有珠火山活動状況情報
◎噴火活動続く
西山の火口群で新たな火口が形成され、成長している。金比羅山の火口群にも洞爺湖
温泉街から200mの場所に新たな火口が形成された。
噴火活動は従来からのマグマ水蒸気爆発が断続的に続いている。
火山噴火予知連絡会有珠山部会は、4/9に開かれた記者会見で、短期的には爆発的な
噴火など火山活動が急変する可能性は少ないとの判断を示した。
◎熱泥流が発生
金比羅山北西側山麓の火口付近から熱泥流が洞爺湖温泉街に向かって流れ出し、排水
路を伝って洞爺湖に流れ込んだ。
【参考】熱泥流:火山泥流の一種で,温度の高い(100℃以下)もの.例えば噴火直
後の火山噴出物等が冷えきるまでに,火山泥流として流れ下った場合,熱を帯びた火
山泥流となる.湯気を上げながら流れ下る火山泥流として,遠方からも確認すること
ができる.
■地質調査所の調査
◆現地調査
◎洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために、セオドライト(測量機器)による
観測を継続。
観測結果を解析したところ、洞爺湖温泉西部の地殻変動(上昇・北部への移動)が継
続していることが判明。
◎地下水位の観測
井戸の水位を北海道大学の調査班とともに観測。
伊達市長和中学校の自噴井戸の水量測定を行った結果、流出量は約400リットル/分
であった。
◎自動光波測距装置による連続観測
現地にて自動光波測距装置の設置場所、電源設備を検討。
◆分析・解析
◎火山噴出物分析
3/31に採取された軽石試料の組織の観察と局所化学分析を継続中。
今回採取された軽石中の鉄鉱物(マグネタイト)の分析(現在実施中)によると、鉄
鉱物の化学組成は1977年噴出物に含まれる鉄鉱物とは異なっていることが判明した.
このことから、3/31に噴出した軽石試料は,今回の噴火活動に関与したマグマが地表
に噴出したものであるという可能性が指摘できる。
【参考】噴出物の形態・組成等を調べ、過去の噴出物などとの比較を行うことによ
り、活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる。
◎衛星画像撮影
地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により4/3に
有珠火山周辺を撮影した画像を解析し,3/31から4/2までの降灰分布状況を検討し
た。この結果は、火山噴火予知連絡会に報告した。
また,4/7に有珠火山周辺を撮影した画像についても解析したところ、4/3以降の噴火
による降灰域が確認された.この火山灰は洞爺湖の北北西10kmまで伸びており,有珠
山周辺の風向変化と遠望観察結果に基づき,4/4の噴火によるものと推定された.こ
の降灰の存在については,これまであまり認識されていなかったので,急遽地表地質
調査を開始した.

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