速報4/7(20000414-18.03.05)

From: SHINOHARA
地質調査所 有珠火山噴火対応状況(2000.04.07)
■本日の有珠火山活動状況情報
◎地殻変動は進行中
有珠山の西山西側山麓と金比羅山北西側山麓の二つの火口群が延長約2キロの断層群
でつながっていることが、4/6午後分かった。今後、この断層群に沿って新しい火口
が増える可能性が高い。
また,虻田IC北にも新たな断層が発見された。
◎噴火活動は断続的に継続中
活発に噴煙を上げている洞爺湖温泉に近い金比羅山の南の火口群の一つの直径が、前
日のほぼ2倍の約100メートルに成長している。
■地質調査所の調査
◆現地調査
◎火山噴火予知連絡会に調査結果を報告
 3/31の噴火による降灰量調査結果を,火山噴火予知連絡会に報告した.
◎洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
洞爺湖温泉周辺域の地殻変動状況を観測するために、セオドライト(測量機器)によ
る観測を実施。
◎火口調査
火山噴火予知連絡会有珠部会総合観測班の一員として,噴火活動の状況を上空から観
察。
◎地下水位の観測
 有珠火山周辺の井戸の水位を北海道大学の調査班とともに観測。
◎自動光波測距装置による連続観測
現在移動中.今夕,現地に入る予定。
◆分析・解析
◎火山噴出物分析
 3/31日の火山灰について組織の観察と分析作業を行い、2種類の火山ガラスが存在
することが判明した。
 一つは火山灰中の含有量が1%以下で結晶のない発泡したガラスで、化学組成から洞
爺カルデラ形成時(3万年以上前)の噴出物と推定される。もう一方は,今回の噴火
により放出された火山灰の約5割を占めるもので,微結晶に富み,発泡度が多様な火
山ガラスで、カリウムやチタンの量が洞爺カルデラ形成時に噴出されたものとは明ら
かに異なる。後者のガラスが、今回の火山活動を起こしているマグマの急冷物質であ
るのか、それとも1977年軽石の破片なのかは検討中である。
【参考】噴出物の形態・組成等を調べ、過去の噴出物などとの比較を行うことによ
り、活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる。
◆特記
◎衛星画像撮影
地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により、有珠
火山周辺について、11時に可視光撮影、21時に熱赤外映像撮影を行う。

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